妊婦の風邪はまずい?医師が教える正しい治し方と注意点

妊娠中は免疫力が低下しているので、風邪をひきやすいだけでなく、重症化しやすいといわれています。
胎児への影響を考えると、風邪の症状に対する薬を飲んでよいかどうか迷う人も多いのではないでしょうか。
また、風邪による胎児への影響も心配になってしまうかもしれません。
今回は、妊婦が風邪をひいた時の注意点や正しい治し方、妊娠中でも内服できる薬、予防法などについてわかりやすくまとめます。

妊娠中は風邪を引きやすい

健康な状態では、細菌やウイルスなどに感染しても、体の中の免疫細胞が対応して発熱、咳、鼻水、嘔吐、下痢などの症状は出るものの約1週間程度で改善することがほとんどです。
しかし、妊娠中は免疫力が低下するので風邪やインフルエンザ、胃腸炎などにかかりやすく、症状も重症になる可能性があります。
なぜ妊娠中に免疫力が低下するかというと、胎児を異物と判断して攻撃しないようにするため、自分の免疫の力を弱める必要があるからと考えられています。

症状をチェック!風邪以外が原因かも

一般的な風邪は、ウイルス感染によるものがほとんどで80-90%を占めます。
風邪は、医学的には急性上気道炎とよばれ、典型的な症状は発熱、咳、鼻水、痰などです。
風邪だと思っていたら、他の病気が原因ということもあるので症状に注意するようにしてください。
例えば、インフルエンザであれば発熱、咳、鼻水、くしゃみ、痰などの風邪で見られるような症状に加えて関節痛や頭痛、全身倦怠感、下痢などの症状が出ることがあります。
感染性胃腸炎の場合には、発熱に加えて、腹痛や嘔吐、下痢などの症状を認めます。
肺炎の場合には、発熱、黄色や緑色など色のついた痰、呼吸困難という症状が出ることが多いです。
妊娠中は膀胱炎や腎盂腎炎にもなりやすいですが、典型的な腎盂腎炎では発熱だけでなく、背部痛を認めます。
最近、成人の感染率が上昇しているといわれている百日咳では、風邪に似たような咳、くしゃみなどの症状から始まり、なかなか治らない咳が特徴です。

妊娠中の風邪、胎児への影響は?

いわゆるウイルス感染による一般的な風邪であれば、妊娠中にひいたとしても胎児への影響はないと考えられています。
しかし、風邪だと思っていたら胎児に影響があるような他の感染症の場合があるので注意が必要です。
例えば、風疹(発熱、発疹、リンパ節腫脹など)やサイトメガロウイルス感染症(発熱、肝機能障害、首のリンパ節腫脹など)、トキソプラズマ症(発熱、倦怠感、リンパ節腫脹など)、伝染性紅斑(発熱、発疹、頭痛、関節痛など)などが妊娠中に感染すると胎児への影響がある感染症として知られています。
発熱が長く続く、症状が悪化している、咳や鼻水、痰などの風邪によく見られる症状以外の症状がある、などに当てはまる場合には早めに医療機関を受診するようにしましょう。

妊娠中に風邪薬を服用しても大丈夫?

風邪を引き起こすウイルスの種類は200以上と多いので、残念ながら風邪自体を治す特効薬はありません。
妊娠中は免疫力が低下しているので風邪をひきやすいものの、通常は健常人と同様に約1週間程度で改善します。
ただ、妊娠中に発熱や咳などの症状があるとつらい方も多く、体力も消耗するので、症状を緩和するための対症療法として医療機関で内服薬が処方される場合があります。
薬局やドラッグストアなどで、風邪薬として市販薬を購入することもできますが、妊娠している場合には胎児への影響のある成分が含まれている可能性があるので医療機関で処方された薬が安心です。
医療機関では、妊婦が内服しても胎児の形態異常のリスクを上げない、つまり今までのデータから判断して妊婦でも安全に使用できる薬が処方されます。
妊娠中は、薬を内服する利益が、薬を内服しないで症状が悪化するリスクより上回ることを前提に、“最低限の量を短期間内服する”というのが考え方です。
妊婦の風邪に対して処方される主な薬について、以下にまとめます。

解熱鎮痛薬

一般的に、解熱鎮痛薬としてはイブプロフェン、ロキソプロフェンなどが処方されることが多く、市販薬としても同じ成分のものを購入できます。
発熱や頭痛、腰痛などの各種の痛みに対して有効です。
ただし、イブプロフェンやロキソプルフェンは妊娠中に内服してはいけない薬になっています。
なぜかというと、イブプロフェンやロキソプルフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs; Non-Steroidal Anti-Inflammatory drugs)に分類される解熱鎮痛薬は、胎児の血液の循環のために重要な動脈管を閉じてしまう作用があるからです。
そのため、妊娠中はアセトアミノフェンとよばれる薬が解熱鎮痛薬として処方されます。
最近、アセトアミノフェンにも動脈管を収縮させる作用があるというデータが発表され、薬の添付文書の改訂もあり、医療者の間でも心配されました。
しかし、データを検討したところ、現時点ではアセトアミノフェンは妊婦に対して使用できると結論付けられています。
ただし、アセトアミノフェンも長期大量投与で母体の肝障害、腎障害、新生児の腎障害の報告があるので、他の薬と同様に最低限の量で短期間が望ましいです。

咳止め

妊娠中に激しい咳が続くと子宮収縮の原因となり、切迫早産を起こす可能性もあります。
咳止めとして、妊婦への使用実績が多く、胎児の形態異常のリスクが増えないことがわかっているデキストロメトルファンが内服できます。

鼻水止め

鼻水止めとして、多くの産婦人科医が使用しており、歴史も長いクロルフェニラミンが内服できます。
ただし、動物実験で胎児の形態異常を起こすというデータはないものの、ヒトにおいては妊娠初期にクロルフェニラミンを内服すると胎児の形態異常の起きる確率が上がるという報告もあります。
漫然と飲み続けるのは避けた方がよいでしょう。

漢方

漢方は、熱を下げる、咳を止める、鼻水を止める、というような1つの症状に対して1つの効果がある薬とは異なり、複数の症状にはたらきかけて全身の状態を良くするような薬です。
そのため、強い副作用が出ることも少なく、体に優しいと考える人も多いです。
しかし、漢方も薬なので副作用が出る可能性はありますし、妊婦に使用してはいけない成分を含んでいることもあるので注意が必要です。

風邪の時によく処方される漢方としては、葛根湯が知られていますが、麻黄(まおう)という成分を含むので妊婦は長期に内服することを避けた方がよいです。
妊娠中は、症状に合わせて香蘇散、参蘇飲、麦門冬湯などが処方されます。

妊娠中の風邪、早期回復に効く食事はこれ!

風邪の治療の基本は、十分な栄養と水分をとって、休養することです。
妊娠中の風邪の時に、少しでも早く回復するためにとるべき栄養素やおすすめの食事について紹介します。

妊娠中の風邪のときに取りたい栄養は?

風邪のときには、免疫力や新陳代謝を高める栄養素をとるようにするとよいです。
特に意識してとりたい栄養素は以下のようなものです。

ビタミンC

免疫力を高めるはたらきがあるといわれており、イチゴやキウイ、みかん、レモン、柿、ブロッコリーなどに多く含まれます。
ビタミンCは熱に弱いので、生のまま食べるようにしましょう。

ビタミンB1

ビタミンB1には、体の疲れや怠さをとるはたらきがあります。
大豆や胚芽米、豚肉などに多く含まれます。

ビタミンA

ビタミンAは、のどや鼻の粘膜を保護するはたらきがあります。
緑黄色野菜(ほうれん草、にんじん、かぼちゃなど)やうなぎ、レバー、チーズなどに多く含まれます。
ただし、ビタミンAは脂溶性ビタミンでとりすぎると体に蓄積し、妊娠している場合には胎児の形態異常を引き起こす可能性があるので注意が必要です。

たんぱく質

たんぱく質は、新陳代謝を高めます。
豆腐などの大豆製品、卵、肉、魚介類、乳製品などに含まれます。

妊娠中の風邪におすすめの食事

妊娠中の風邪のときには、消化の良い食事で十分なエネルギーをとるようにしましょう。
例えば、お粥、雑炊、スープ煮、うどん、白身魚、豆腐、卵などはおすすめです。
体を暖めるような食材である生姜、ねぎ、にらなどを利用するとよいです。
一方で、風邪をひいている時には消化しづらいようなタコ、イカ、山菜、ごぼう、こんにゃく、きのこなどは控えた方がよいでしょう。

妊娠中の風邪にサプリメントはあり?なし?

風邪に対して有効なビタミンを含むサプリメントは、ドラッグストアや薬局などで購入することはできます。
しかし、妊娠中はサプリメントも含めて自己判断で内服しない方がよいです。
ビタミンのサプリメントの中には、妊娠中に摂り過ぎてはいけないビタミンAを含むものもあるので注意が必要です。
風邪をひいてしまった時には、医療機関で相談して内服薬も含めて治療法を相談してください。
基本的に、風邪に対しては安静にして、十分な栄養をとって、体を休めることが一番の治療法です。

妊婦に風邪は大敵!体調管理を徹底して予防に努めましょう!

妊娠中は免疫力が低下しているので、風邪をひきやすいといわれています。
妊婦に対して安全に使用できる薬はありますが、なるべく薬は飲まない方がよいです。
十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動などの規則正しく良い生活習慣は、風邪をひきづらい体を作ります。
妊娠中は体調の変化もあり、ストレスが多かったり、よく眠れなかったりしますが、休める時には暖かくして体をゆっくり休めるようにしましょう。
手洗いやうがいを徹底し、人ごみを避けるようにすることも日頃からできる風邪予防対策のひとつです。
手洗いやうがいは、手やのどについたウイルスが体の中に入って風邪の症状を引き起こすことを防ぎます。
水うがいで風邪を予防できたという報告があります。
妊娠中は、ヨウ素が含まれているうがい薬を使用すると胎児が甲状腺機能低下症を起こす可能性があるので水でのうがいが推奨されます。
また、感染予防のためには、部屋の湿度を40-60%に保つことが理想です。
空気が乾燥しているとウイルスが空気中を漂いやすいだけでなく、のどの粘膜も痛めやすいからです。
体調管理を徹底して、風邪の予防に努めましょう。

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