ターナー症候群の原因は親の疾患?特徴や治療方法をわかりやすく解説


染色体の異常によって起こる病気には、ダウン症候群・エドワーズ症候群・パトウ症候群などの疾患が有名です。
ターナー症候群も上記の疾患と同様、染色体の突然変異によって症状が現れる疾患で、根本的な治療方法はありません。

ただしこれらは、適切な治療を行うことで、ほかの人と同様に日常生活を送れます

この記事では、ターナー症候群の概要や検査方法、治療方法などを網羅的に解説しています
身近に相談できる人がいない、どんな病気なのか不安に感じている人は、ぜひこの記事を読んで、安心の材料にしてください。

ターナー症候群とは

ターナー症候群とは、女性のみに発症する先天性の体質(染色体異常)のことです。

別症については以下の通りとなります。

  • ts症候群
  • turner症候群(syndrome)
  • ターナー病

発症する割合は、1,000人~2,500人に1人です。
大多数が母体にいるうちに発症し、ターナー症候群の症状が現れた胎児は自然流産となる可能性が高いと言われています。

また症状が出現する時期は人によって異なり、成長とともに症状が発覚する場合もあります。
ターナー症候群が発覚しても、適切な治療とケアを行っていれば、平均寿命まで生きることができるパターンも少なくありません。

また、仮に症状が出ている場合でも、問題なく日常生活をおくれるので、発見次第早期治療を行うことが大切です。

ターナー症候群の原因は?

ターナー症候群の原因は、モノソミーXと呼ばれる染色体の異常です。
モノソミーとは、染色体の一部が欠けている状態を指します。

精子と卵子ができる前後や、受精卵が分裂する過程で突然変異が起こり、性別に関する染色体が不足します。

ターナー症候群の人は、性別に関するX染色体が一部、またすべてが欠損しています

Xが一部欠けているタイプはモザイク型と呼ばれ、Xがすべて欠けているタイプと比較して、症状が軽い傾向にあります。

ターナー症候群の特徴

ターナー症候群は、幼児期と青年期で異なる特徴がみられます

ここからは、身体的特徴と精神的特徴にわけて、ターナー症候群の特徴を紹介します。
しかし、これから紹介する特徴がすべて現れるわけではありません

気になる症状があれば、小児科や内分泌科、産婦人科を受診しましょう

身体的特徴

ターナー症候群は、首から肩にかけて身体的特徴が発生します。

最も多いのが、翼状頚と呼ばれる首から肩の皮膚のたるみです。
翼状頚は発生すると、身体に対して首が太く見えます。

また、肘から腕にかけてが外側を向く「外反肘」の症状が出現することも多いです。

幼児期

ターナー症候群が幼児期に出現した場合、以下のような特徴が見えられます

  • 中耳炎
  • 上まぶたのたるみ
  • 手足のむくみ
  • 後ろ髪の生え際が低い位置にある
  • ほくろが多い
  • 爪が伸びるのが遅い
  • 首が太く見える

ターナー症候群の症状が幼児期に出現すると、リンパ浮腫や手足のむくみによる動きの制限が起こることも多いです。

新生児期にターナー症候群と診断された人のほとんどが、リンパ浮腫と翼状頸によるターナー症候群の特徴を指摘されています。
このほかにも、ターナー症候群と類似した症状がみられる場合、かかりつけの小児科に相談しましょう

青年期

ターナー症候群が青年期に出現した場合、以下のような特徴が見えられます

  • 低身長
  • 肥満
  • 首の後ろがたるんでいる
  • 第二次性徴がない(月経・乳腺の発達の遅れ)
  • 不妊症

早期に適切な治療が受けられると、低身長の治療を受けられます。
治療しないまま青年期に突入したターナー症候群の平均身長は140cm前後です。適切な治療を行った場合は、145cm以上になりますし、
ターナー症候群の場合、卵巣が機能しておらず自らの卵子では妊娠が難しいといわれています。

しかし、ターナー症候群の方でも不妊治療によって出産ができる可能性はあります。ターナー症候群の場合、早ければ10代で閉経する可能性もあるため卵子の凍結もしくは卵子提供によって妊娠可能性もあるため、お子様が生まれるために調べておくのも良いでしょう。

精神的特徴

ターナー症候群の人が知的障害を併発することは稀といわれています。

知能や言語に関する検査に異常は見られませんが、視覚や空間情報の認識を苦手とする人が多い傾向にあり
具体的には、学生時代に数学や体育を苦手とするケースが多く見られます。

また、多動や注意欠如といった、ADHDの症状を併発する事例も報告されています
ADHDの症状は以下の通り。

  • 1つの物事に集中できない
  • 期限が守れない
  • 物事を順序立ててやり遂げられない
  • 物をなくしやすい
  • じっとしていられない
  • おしゃべりが多い
  • すぐ感情的になる

気になる症状がある人は、小児科や発達外来などで相談してみることをおすすめします。

合併症・なりやすい病気

ターナー症候群の人は、生まれつき20%の割合で心臓や血管に異常があるとされています。

合併することの多い心臓、血管の異常は以下の通り。

  • 大動脈縮窄症
  • 僧帽弁逸脱
  • 大動脈二尖弁

また、腎臓の形や腎臓の血管に奇形が見られることもあります
しかし、多くの場合日常生活で問題になることはありません。

また、合併症がある場合でも、早期発見できれば、病気の進行を抑えられます。
ターナー症候群であることがわかったら、血液検査や超音波検査を行い、合併症の早期発見に努めましょう

乳幼児期になりやすい病気

乳幼児期にターナー症候群の症状が出現していると、中耳炎になりやすい傾向にあります。

中耳炎を放置したり繰り返したりすると、難聴になることがあるので注意が必要です。
とくに乳児期は、中耳炎が悪化してから発見されるケースが多いため、十分に気を配りましょう。

また、発育性股関節形成不全と呼ばれる股関節の発育不足が起こる可能性もあります。
早期発見による治療と手術で対応が可能なので、異変を感じたら、かかりつけの小児科や整形外科に行き、超音波検査を受けましょう。

股関節脱臼が続く場合は、正常な位置に戻すための手術が必要です。

成人

ターナー症候群の10%は、青年期に脊柱側湾症が出現します

脊柱側湾症は背骨に変形が見られ、成長に伴い悪化し、重度になると内臓への影響を及ぼします。
また重度の場合装具の装着や手術が必要です。

ターナー症候群の人が併発することの多い病気は以下の通り。

  • 糖尿病
  • 甲状腺ホルモン分泌低下
  • 骨粗鬆症
  • 不妊症
  • 脊柱側弯症
  • セリアック病
  • 高血圧
  • 甲状腺炎

とくに、甲状腺や糖尿病の発症リスクが高いため、注意が必要です。

ターナー症候群の検査方法

ターナー症候群は、リンパ浮腫や翼状頸といった特徴から、乳幼児期に診断が確定することも多いです。

しかし、症状が比較的軽い場合、小学生に上がってから発覚するケースも多いです。

ターナー症候群を調べる方法は以下の通り

  • 新型出生前検査(NIPT)
  • 血液検査

出生前にターナー症候群を調べる場合、新型出生前検査(NIPT)が行われます。
ダウン症を疑い、新型出生前検査(NIPT)をした結果、ターナー症候群だったと判明することも少なくありません。

出生後にターナー症候群が疑われる場合は、血液検査によって染色体を調べます

NIPT(新型出生前検査)

NIPT(新型出生前検査)とは、出生前に胎児の染色体異常を調べる方法です。

従来の出生前検査と比べて精度が高いとされています。
羊水検査や絨毛検査は、お母さんのお腹に針を入れて子宮内の羊水や絨毛を採取するため流産や破水のリスクがあります。

一方NIPT(新型出生前検査)は、お母さんの腕から血液を採取するため、流産の心配がない上、妊娠10週から検査が行え、99.9%の感度を誇ります。

認可施設・認可外施設ともに検査を行えますが、認可外施設は認可施設よりも多くの項目の染色体異常を調べることが可能です。

認可施設では基本的に3大トリソミー(13・18・21番の染色体)のみの検査となり、23対ある染色体の中の一部の検査をしていますが、認可外施設となると23対すべての染色体についての異常を調べることが可能です。

染色体の検査

ターナー症候群と疑われる症状が現れてまず行われるのは、血液検査です。

リンパ球に含まれる染色体を観察し、構造の異常を探します。
この血液検査でX染色体に異常が見つかると、ターナー症候群と断定されます

しかし、血液検査による染色体検査の精度は100%とはいえません。
X染色体の一部が欠損しているモザイク型は、血液検査で見つからないことがあります

ターナー症候群が疑われている場合は、さらに皮膚繊維芽細胞や性腺細胞を用いた検査を行います。

FISH法・WCP解析

血液や細胞を採取して検査した結果、よりくわしく調べる必要があると診断されると、FISH法やWCP解析が行われます

FISH法は、特定の染色体のみを光らせ、染色体の異常を探す検査です。
過剰マーカー染色体と呼ばれる、通常の血液検査では調べられなかった染色体や、染色体が由来不明な構造異常を持つ場合でも、由来を識別できます。

WCP解析は、特定の遺伝子や遺伝子の座位、不均衡転座を確認するために用いられます

とくに、低身長などの骨格を左右する責任遺伝子のSHOXを調べるのに有用です。

染色体に異常がない場合や、染色体に異常があるのにターナー症候群の症状が見られない場合は、以下の診断名がつけられます。

  • X染色体長腕欠失による二次性無月経
  • SHOX異常症

ターナー症候群の治療方法

ターナー症候群の治療は、根本的な治療法がなくそれぞれの症状にあわせた対処両方を行います。

低身長の症状が出た場合成長ホルモンを注射し、発育を促すことで予防可能です。
また月経が来ない場合12歳前後になると、女性ホルモンを投与して、定期的に月経が来るように調整します

そのほかの合併症についても適切な治療を行い、症状の改善・緩和をめざします。

また、ターナー症候群の人は、卵巣の性腺に癌ができる可能性もあります。

そのため、癌化する前に手術で切除してしまうことが多いです。

ターナー症候群は遺伝する?

「ターナー症候群が遺伝するのではないか?」と不安に感じている人も多いでしょう。

結論を先にお話してしまうと、ターナー症候群が遺伝することはありません。ターナー症候群の発症原因は、染色体の突然変異です。
そのため、お母さんがターナー症候群だったとしても、生まれてくる子どもに与える影響はほぼないと考えられます

また、生活習慣や高齢出産、不妊といった要因が、ターナー症候群に関係することもありません。

ターナー症候群の有名人はいる?

「ターナー症候群の有名人はいるのだろうか?」と気になる人もいるでしょう。
しかし、現在まで有名人でターナー症候群を公言した人はいません

ターナー症候群はアレルギーと同様、体質であるため、わざわざ公言する人もいないのかもしれませんね。

一方、成長ホルモン分泌症として治療を行っていた有名人には、パリ・サンジェルマンFCに所属するリオネル・メッシがいます。
メッシ選手は、13歳のときにバルセロナの下部リーグで養成を開始するとともに、成長ホルモン投与の治療をはじめています。

現在では他の選手と見劣りしないほど、たくましい身体付きのメッシ選手が、成長ホルモン分泌症だったとは、おどろきですよね。
ターナー症候群の人も、早い段階で治療をはじめれば、問題なく日常生活を送れます。

気になる症状がある場合は、病院で検査や治療を受けることが大切です。

ターナー症候群が親から遺伝する確率は限りなく低い

ターナー症候群は、遺伝子の突然変異によって、誰にでも起こる可能性があります。

たとえ親がターナー症候群であっても、子どもに遺伝する確率は限りなく低いといえるでしょう。
逆にいうと、親がターナー症候群ではないのに、子どもにターナー症候群が現れる可能性があります。
疑わしい症状や気になる症状がある場合は、早い段階で検査を行うことが大切です。

また、ターナー症候群であっても、適切な治療を行えば、問題なく日常生活を送れます。
一方、適切な治療が行えなければ、QOL(生活の質)が著しく下がってしまうため注意が必要です。

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