妊娠糖尿病のリスクが高いのはどんな人?原因やリスクの高い人について解説


「わたし、妊娠糖尿病になりやすいのかな?」

これから妊娠したいと考えていたり、妊娠がわかると、女性は妊娠中の病気についてとても敏感になります。
妊娠中の病気はいろいろありますが、気をつけたい病気の1つが妊娠糖尿病です。

この記事では、妊娠糖尿病について、症状や種類、リスクが高い人の特徴などを紹介します。
予防についても紹介しますので、リスクが高いと心配な方はぜひ取り組んでみてくださいね。

また、高齢出産について詳しく知りたい方はこちらの記事もお役に立ててください。

妊娠糖尿病とは?

妊娠糖尿病のリスクが高いのはどんな人?原因と症状を解説妊娠糖尿病とは、妊娠中に、お母さんの血糖値が高い状態が続く糖代謝異常のことをいいます。
日本内分泌学会によると、全ての妊婦さんに糖負荷試験をした場合、12.08%の妊婦さんが妊娠糖尿病であるといわれています。
症状はほとんど無いため血液検査などで発覚する場合が多いですが、血糖値をコントロールできない状態が長期間続くとお母さんにも胎児にも影響があるため、早期発見することが大切です。

妊娠糖尿病には3つ種類があります。

  • 妊娠糖尿病
  • 糖尿病合併妊娠

それぞれ見ていきましょう。

妊娠糖尿病

妊娠するまで糖尿病と言われたことが無く、妊娠してはじめて糖代謝異常を指摘された場合で、糖尿病の診断基準を満たさない人を妊娠糖尿病といいます。

「糖尿病の診断基準を満たさない」とは、下の表のどれか1つでも当てはまる場合のことをいいます。

測定タイミング血糖値
空腹時92mg/dL以上
フドウ糖負荷試験
1時間後
180mg/dL以上
フドウ糖負荷試験
2時間後
153mg/dL以上

糖尿病合併妊娠

もともと糖尿病になっていた方が妊娠した場合は「糖尿病合併妊娠」と診断されます。
糖尿病合併妊娠の中には、妊娠してから糖代謝異常と分かったものの糖負荷試験の血糖値が下の表のように高く、妊娠前から糖尿病だったのではないかと疑われる場合は糖尿病合併妊娠と診断されます。

測定タイミング血糖値
空腹時126mg/dL以上
HbA1c 6.5%以上(※)
フドウ糖負荷試験2時間後
または、随時
200mg/dL以上
糖尿病網膜症の存在が認められる

糖尿病合併妊娠は、妊娠してから診断されたものも含めて全妊婦さんのおよそ3%程度いるとされています。
もともと糖尿病の方が妊娠した場合と妊娠してから分かった場合とを区別するために、妊娠してから分かった場合を「妊娠中の明らかな糖尿病」としたりする場合もあるようです。

※ HbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)とは

HbA1cは赤血球の中にあるヘモグロビンにブドウ糖が結合したもので、高血糖の状態のときにこの結合が起こります。
ヘモグロビンとブドウ糖は、結合するとかんたんには離れず、赤血球の寿命(約4ヶ月)が続く限りブドウ糖が結合し続けます。
このことから、HbA1cの値で測定前1〜2ヶ月の平均血糖値がわかります。
HbA1cの基準値は下の表の通りです。

正常要注意
(対策が必要)
糖尿病の可能性あり
(対策が必要)
糖尿病が強く疑われる
(治療が必要)
〜5.6%
(5.6%未満)
5.6%〜5.9%6.0%〜6.4%6.5%〜


※ 糖尿病網膜症とは

糖尿病が原因で網膜が障害を受け、視力が低下する病気のことです。
糖尿病腎症、糖尿病神経症と並んで、糖尿病の三大合併症といわれます。

妊娠糖尿病のリスク

糖尿病合併妊娠も含めて妊娠糖尿病には妊婦さんにもお腹の赤ちゃんにもリスクがあります。

妊婦さんのリスク

  • 妊娠高血圧症候群
  • 早産
  • 流産
  • 羊水過多(生理的な羊水量を大きく超えること)
  • ケトアシドーシス(呼吸困難や吐き気、嘔吐、腹痛、意識障害などを引き起こす糖尿病昏睡)
  • 網膜症
  • 腎症の悪化

妊娠高血圧症候群は、以前は妊娠中毒症といわれていた症状で、妊娠20週から産後12週までに血圧が上がった状態のことをいい、けいれん発作(子かん)や脳血管障害などを合併しやすくなります。

赤ちゃんのリスク

  • 巨大児
  • 新生児低血糖
  • 子宮内胎児死亡
  • 先天奇形
  • 発育遅延
  • 新生児高ピルピリン血症
  • 低カルシウム血症
  • 呼吸窮迫症候群

血糖値のコントロールができないことで、お腹の赤ちゃんに必要以上の栄養を送ってしまい大きくなりすぎ巨大児になってしまうと、出産時に赤ちゃんが骨盤に引っ掛かり難産になる可能性が高まるため帝王切開などでの出産になるなど自然分娩が難しくなります。

こちらに挙げたリスクは血糖値コントロールをせずに妊娠期間を過ごし続けた場合に高くなりますが、早期発見して血糖値をコントロールして過ごすことができればリスクを下げられます。妊婦検診を定期的に受けるようにしましょう。

妊娠糖尿病の原因

妊娠糖尿病のリスクが高いのはどんな人?原因と症状を解説妊娠糖尿病の詳しい原因についてはまだ分かっていませんが、胎盤から血糖値のコントロールに必要なインスリンの働きを妨害するホルモンが分泌されるために血糖値が高くなると考えられています。

妊娠糖尿病になりやすいのは下に当てはまる場合と言われます。

  • 糖尿病の家族がいる
  • 肥満
  • 35歳以上の高齢出産である
  • 巨大児を出産した経験がある
  • 原因不明の早産の経験がある
  • 原因不明の子宮内胎児死亡の経験がある
  • 先天奇形児の出産経験がある
  • 強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性が出た
  • 妊娠高血圧症候群である
  • 羊水過多症である

肥満や運動不足、食べ過ぎなどの生活習慣病は原因になりやすいですが、糖尿病の家族がいる場合には遺伝が原因の場合もあります。
遺伝的に膵β細胞の機能が低下していると、糖尿病になりやすいといわれています。

* 膵β細胞とは
膵臓β細胞のこと。膵島でインスリンとアミリンの合成と分泌を行う細胞で、膵島の50〜70%を占めています。
糖尿病患者は膵β細胞の量と機能が低下するのでインスリンの分泌不全に陥ります。

妊娠糖尿病の予防としてできること

妊娠糖尿病のリスクが高いのはどんな人?原因と症状を解説妊娠糖尿病を予防するためにできることは、食生活に気をつけることです。

食生活

妊娠中は、つわりで食べられたり食べられなかったりと食生活も乱れがちになります。
食生活に気をつけることは難しいかもしれませんが、妊娠中に推奨されているエネルギー量を摂取できるように心がけましょう。

妊娠中の適正エネルギー量

  • 初期(〜16週)  :標準体重(kg)×30kcal+50kcal
  • 中期(16週〜28週):標準体重(kg)×30kcal+250kcal
  • 後期(28週〜)  :標準体重(kg)×30kcal+450kcal

標準体重の計算方法は
身長(m)×身長(m)×22 で計算できます。

さらに、食事のとり方や内容についてもポイントがあります。

食事のポイント

  • 主食と副食のバランスをとる
  • 食物繊維を意識してとる
    (野菜、根菜、キノコ、海藻 など)
  • 分割して食事する
  • ミネラルをとる
  • ビタミンB1をとる
    (玄米、そば、小豆、枝豆、のり、ごま、豚ヒレ など)

サプリメントをうまく利用するのも良いかもしれません。
担当医に相談して、自分の状態に合わせて無理のないように食事にも気を配れるといいですね。

妊娠糖尿病QA

妊娠糖尿病のリスクが高いのはどんな人?原因と症状を解説妊娠糖尿病についてよくある疑問をまとめました。

出産後には糖尿病は無くなるの?

出産するとインスリンの働きを妨げていたホルモン分泌が無くなるので、インスリン治療が不要になることがほとんどです。
多くは出産から3ヶ月後に、ブドウ糖負荷試験を行い血糖値を調べます。

しかし妊娠糖尿病と診断された方は、もともと血糖値が上がりやすい傾向にあった可能性が高いため、出産後に血糖値が落ち着いたとしても定期的に検査が必要です。

日本糖尿病・妊娠学会によると、
出産後1年以内で 2.6%〜38%
出産後5年〜16年で 17%〜63%
の頻度で糖尿病を発症するといわれています。

他にも、妊娠糖尿病になった女性とならなかった女性を比べると、ならなかった女性の7.43倍の確率で将来糖尿病になるという報告もあります。

このことから出産後も定期的に検査に通って様子を見ていくことをおすすめします。

一度妊娠糖尿病になると、次の妊娠でもなるの?

妊娠糖尿病の反復率は36%〜70%程度と言われます(日本糖尿病・妊娠学会より)。
前回の妊娠で赤ちゃんが大きかったり、インスリン投与をしていたり、肥満の場合は、より確率が上がります。

つまり次の妊娠でも同様に妊娠糖尿病にかかる確率は高いため、妊娠の際には担当医にあらかじめ妊娠糖尿病のことを伝え、対応していくようにするとよいでしょう。

妊娠糖尿病と診断されて仕事を続けてもOK?

妊娠糖尿病のリスクが高いのはどんな人?原因と症状を解説医師から仕事を休むように言われた場合はもちろん休むべきですが、そうではない場合は休む方もいれば、可能な限り働く方もいるようです。

妊婦糖尿早い段階でしたが仕事は産休育休とるつもりだったのでギリギリまで働きました。出典元:mamari

結構早い時期に妊娠糖尿病になりました。
辞めた方がいいとは言われませんでしたが何となく6ヶ月位で辞めました💦出典元:mamari
私の場合は店長やレジのリーダーさんに病気で血糖測定や時間通りにインスリンや食事をできるだけ出きるように協力してもらいました。
遅い出勤になった場合も休憩時間をすこし早めて貰ったり、病院には仕事上毎日の測定が不可能な事を話したら、決まった曜日のみの測定でいいと言われたのでその日をできるだけ休みにしてもらいました。
途中出勤中に計測もしてほしいと言われた時もレジの人に頼み抜ける時間を作って貰ったりもしました。
出典元:mamari

妊娠糖尿病と診断されると、血糖値を定期的に測るよう指示があることが多いようです。仕事を続けていると、勤務時間が血糖値測定の時間と被ることがあり得ます。
そういったことができる環境作りをしてくれる会社であれば、状態が安定していることが前提ですが働き続けられそうですね。

妊娠糖尿病の治療方法

妊娠糖尿病のリスクが高いのはどんな人?原因と症状を解説妊娠糖尿病の治療方法は2つあります。

妊娠糖尿病の治療方法

  • インスリン投与
  • 食事療法

1つずつ見ていきましょう。

インスリン療法

インスリン療法には通常、飲み薬によるものと、注射によるものがありますが、お腹の赤ちゃんへの影響を考慮すると飲み薬は使用できないため注射によるインスリン療法を行います。
インスリンは胎盤を通過しないので、注射で直接インスリンを投与する方法は妊婦さんにとって安心できる方法です。

目指す血糖値

測定タイミング血糖値
空腹時95mg/dL以下
フドウ糖負荷試験
1時間後
140mg/dL以下
フドウ糖負荷試験
2時間後
120mg/dL以下

インスリンにも種類があり、妊娠時に使用して問題ないインスリンを注射することになります。

低血糖に注意する
妊娠糖尿病と知ると、糖分を控えすぎてしまう場合がありますが、実は高血糖よりも低血糖の方が怖いといわれます。
低血糖になると、
発汗・手足の震え・動悸などの初期症状からはじまり、強い眠気集中力が無くなったりモノが二重に見えたりし、最悪は昏睡状態にまで陥り命の危険もあります。低血糖が起きたら、ブドウ糖を摂取して血糖値を上げることで症状は解消されていきます。

食事療法

症状が軽度の場合は、食事療法を行いながら様子を見ることが多いようです。
予防のところでお伝えした食事のポイントと同様に、摂取エネルギーや食事の摂り方を実践して血糖値をコントロールします。

血糖値の乱高下を防ぐためにも、食事回数を増やして1回の食事量を減らす方法は効果的です。
担当医と相談してすすめていきます。

妊娠糖尿病のリスクが高いのはこんな人

妊娠糖尿病のリスクが高いのはどんな人?原因と症状を解説妊娠糖尿病になる原因や予防について紹介してきました。
妊娠糖尿病のはっきりした原因までは分かっていませんが、胎盤からインスリンの働きを抑えるホルモンが分泌されることが影響して発症すると考えられています。

妊娠糖尿病になりやすいのは下に該当する人です。

  • 糖尿病の家族がいる
  • 肥満
  • 35歳以上の高齢出産である
  • 巨大児を出産した経験がある
  • 原因不明の早産の経験がある
  • 原因不明の子宮内胎児死亡の経験がある
  • 先天奇形児の出産経験がある
  • 強度の尿糖陽性もしくは2回以上反復する尿糖陽性が出た
  • 妊娠高血圧症候群である
  • 羊水過多症である

遺伝によりなりやすい場合もあるため家族に糖尿病の方がいる場合はどうしてもリスクが高くなりますが、そうでない場合は生活習慣を整えることで妊娠糖尿病になるリスクを抑えることができます。

特に食事については重要ですので、この記事で紹介したエネルギー量や食べ方をぜひ参考になさってくださいね。

妊娠糖尿病で大切なことは、予防と早期発見です。
妊婦検診に通い、もし妊娠糖尿病と診断されたら医師の指示に従った生活をするように心がけましょう。

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