XYY症候群(ヤコブ症候群)とは?症状や向き合い方を解説
自分の息子がXYY症候群だと診断されたらとても不安になりますよね?
ですが、しっかりとした知識を身につければ、XYY症候群は恐れるに足りません。
今回は、XYY症候群(ヤコブ症候群)について解説していきます。
この記事を読めば、XYY症候群とは何か、どう向き合っていけばいいのかがわかります。
- XYY症候群(ヤコブ症候群)とは
- XYY症候群(ヤコブ症候群)の原因
- XYY症候群(ヤコブ症候群)の症状
- XYY症候群(ヤコブ症候群)の検査方法
- XYY症候群(ヤコブ症候群)の治療法
- XYY症候群(ヤコブ症候群)によって受けられる手当
- XYY症候群(ヤコブ症候群)との向き合い方
- 個性として捉える姿勢が大切
以上のトピックで解説していきます。
XYY症候群(ヤコブ症候群)とは
XYY症候群とは、男の子にしか出ない染色体異常のことで、通常X染色体とY染色体が一本ずつのところを、X染色体一本とY染色体が二本持って産まれてくる性染色体異常を指します。
別名はヤコブ症候群です。
XYY症候群は1000人に1人の確率で発現するので、そこまで珍しいことでもありません。
XYY症候群の特徴
XYY症候群の方に現れる特徴は、日常生活には影響しないものが多いです。
具体的には、以下のような特徴が発現することがあります。
- 身長が平均以上
- 家族と比較してIQが10〜15ポイントほど低い
- 性的発達に影響はない
また、XYY症候群と自覚せずに一生を終える方もいます。それくらい症状は軽微であるということです。
XYY症候群は遺伝子しにくい
XYY症候群は遺伝しにくいです。
なぜなら、XYY症候群の発生はランダムとされているから。
そのため、あなたやあなたの子供がXYY症候群の場合、その次の世代もXYY症候群である確率は低いでしょう。
逆に言えば、健常者のカップルからでもXYY症候群は発症することがあります。
XYY症候群(ヤコブ症候群)の原因
XYY症候群の原因は、簡単に言えば人間を作る設計図の異常です。
人間は染色体という設計図の中で、体が作られていきます。
この染色体に異常があれば、作られる体にも異常が生まれるということです。
XYY症候群は性染色体異常
人間には染色体が46本あり、そのうち二本がXとYの種類を持っています。
このXとYの染色体を性染色体と呼び、男性と女性どちらで生まれるかを決定しています。
通常、男性で産まれてくる場合は、XとYの性染色体が一本ずつです。
しかし、なんらかの異常でX一本とYが二本で産まれてくることがあります。
つまり、性染色体が3本になっているのです。
この性染色体が通常よりも増えてしまうことによって発生するのが、XYY症候群ということになります。
クラインフェルター症候群との違い
似たような原因の染色体異常で、クラインフェルター症候群が挙げられます。
クラインフェルター症候群は、性染色体がXYYではなく、XXYになる遺伝子異常です。
クラインフェルター症候群は、ヤコブ症候群と違って、生殖能力がないケースがほとんどとなっています。
XYY症候群(ヤコブ症候群)の症状
XYY症候群で現れる症状は以下の通りです。
- 学習障害
- 発話の遅延
- ADHD
- 自閉症スペクトラム障害
- 喘息
ただ、これらの症状は人によってかなり個人差がありますが、適切なサポートをすることで健常者と変わらない生活を送ることが可能です。
発達障害の対処法
先ほど紹介した「学習障害」「発話の遅延」「ADHD」「自閉症スペクトラム障害」をまとめて発達障害と呼びます。
発達障害では、以下のような症状が現れます。
- 言葉の遅れ
- コミュニケーションが苦手
- こだわりが強い、変化が苦手
- 癇癪、自傷行動
- 感覚過敏
- 感覚鈍磨
それぞれの症状と対処法について解説していくので、参考にしてみてください。
言葉の遅れ
言葉が思うように出てこないなど、年齢に見合った言語発達と大きく離れている症状です。
周囲の子供や大人と思うように意思疎通を図ることが困難で、自分の希望を伝えたり、相手が求めることを理解することが難しいです。
このような症状が見られた場合、言語の発達が遅れているからといって、責めないことが重要になります。
ここで責めてしまうと、しゃべれないこと=ダメという考え方が植え付けられてしまうため、より喋れなくなったり、吃音症を発症することもあるでしょう。
ですので、上手に喋れなくても良いということを優しく伝えてあげることが大切です。
コミュニケーションが苦手
発達障害の子供は、コミュニケーションが苦手です。
周りと何かをするよりも、一人遊びをすることもよく見受けられます。
コミュニケーションが苦手に見えた場合は、本人がコミュニケーションに対してどのような感覚を持っているのかを見極めることが重要です。
本人が人と関わりたいと思っているなら最低限のコミュニケーション能力を身につけるための考え方が必要ですし、人とそもそも関わりたくないと思っているなら、無理にコミュニケーションを取らせる必要はありません。
大事なのは子供本人の意思です。
親御さんが導いてあげたい気持ちもわかりますが、グッと堪えて本人の主張を優先してあげましょう。
こだわりが強い、変化が苦手
同じおもちゃでしか遊ばない、スケジュールの急な変更に対応できないなど、こだわりが強い面があります。
対処法としては、変化を強要しないことや、前もってスケジュールを言ってあげることが重要です。
発達障害全般に当てはまることですが、症状は生まれ持った個性のようなものなので、根っこから変えるということは難しいです。ですので、子供の生きやすい環境を整えてあげることが、何より子供の幸せや成長に繋がります。
癇癪、自傷行為
発達障害の子供は、思いがけないことに直面した時に、癇癪を起こしたり、頭を壁にぶつけるなどの自傷行為に走ることがあります。
ただ、癇癪については子供が自我を芽生える上で大事な成長過程です。
そのため、少々面倒だなと思っても、無視するのではなく、しっかり受け止めて聞いてあげるようにしましょう。
むしろ無理に辞めさせようとすると、さらに親の注意を引こうと悪化する可能性があるので注意が必要です。
大事なことは、しっかりと子供の主張に耳を傾けることです。
感覚過敏
感覚過敏とは、光や音に敏感で、そういった刺激を嫌がることを指します。
敏感であるが故に人との関わりを避けたり、活動範囲が狭くなることもあるでしょう。
光の刺激を弱めるためにサングラスをかけたり、音を小さくするためにイヤーパッドをつけたりすることで、対処可能です。
感覚鈍磨
感覚の反応が鈍く、刺激や痛みを感じにくい症状です。
人に声をかけられても気づかなかったり、ケガをしていても気づかなかったりします。
対処法としては、色々な経験をさせてあげることが挙げられます。
さまざまな経験をすることで刺激になり、少しずつ感覚が研ぎ澄まされることがあるので、広い範囲の経験をさせてあげましょう。
喘息の対処法
XYY症候群の方は、喘息を発症することがあります。
大抵は日常生活に支障が出るほど重度のものにはなりにくいですが、場所や環境によって症状が変化することもあるので、注意が必要です。
例えば、布団やカーペットなどにダニやほこりなどのアレルギー物質が溜まっていると、喘息を引き起こしやすくなります。
喘息の可能性がある場合は、できるだけ換気を良くし、家の中にアレルギー物質を溜め込まないようにしましょう。
XYY症候群(ヤコブ症候群)の検査方法
XYY症候群の検査方法には、大きく分けると「非確定検査」と「確定検査」の2つになります。
非確定検査
非確定検査とは、胎児に染色体異常の可能性があるかどうかを評価するための検査です。母体への負担が少なく、胎児への直接的なダメージもないため、流産するリスクは限りなく低くなっています。
非確定検査は以下のようなものが代表的です。
- 超音波検査(エコー検査)
- 母体血清マーカー検査
- コンバインド検査
- NIPT(新型出生前検査)
非確定的検査はリスクが少ない
非確定的検査は、流産や死産になるリスクが少なくなっています。
なぜなら、母体の血液のみで検査するからです。
ただ、非確定的検査は染色体異常の可能性を判断するだけなので、陽性=結果となるわけではありません。ですが、NIPTと呼ばれる新型出生前診断は、陽性確率が95%と、かなり高い確率をマークしていて精度がのでオススメ。
NIPTについてはこちらで詳しく解説しているので、気になった方はぜひご覧になってみてください。
確定検査
確定検査とは、胎児の疾患を確実に判別するための検査です。
非確定検査よりも確実に疾患がわかります。代わりに、非確定検査よりも母体と赤ちゃんにダメージがかかるので注意が必要です。
主な検査方法は以下の2つになります。
- 羊水検査
- 絨毛検査
確定的検査はリスクはあるが確定できる
確定的検査は、直接お母さんのお腹から細胞や羊水を採取するので、母体や赤ちゃんにかける負担が大きくなります。
そのため、非確定的検査に比べて、流産や死産に繋がる可能性が高い検査です。
ただ、陽性的中率はほぼ100%に近い数字となっています。
確定的検査である絨毛検査や羊水検査の詳しい説明や違いについては、こちらで解説しています。
XYY症候群(ヤコブ症候群)の治療法
XYY症候群自体への治療はありません。
親御さんとしては発達障害が気になるかと思いますが、適切にサポートをしてあげることで、一般的な生活を送ることができます。
発話の遅延や自閉症が見られる場合は、療育が効果的です。
療育とは
療育とは、一人一人の特性に合わせた教育支援のことを指します。
オーダーメイドの教育支援を受けることで、生活への支障を最低限に抑えることが可能です。また、自閉症スペクトラムでパニック障害などを引き起こしてしまった場合は、対症療法として薬が処方されることもあります。
注意欠陥や多動症が見られた場合は、カウンセリングや行動療法を受けることで、改善可能です。
サポートを利用すれば高等教育も受けられる
学習障害があっても周りのサポートや支援事業によって、高等教育を受けることが可能です。
場合によっては少人数クラスや補助教員をつけることで、子供の不安を減らしましょう。
発達障害を持つ子供を育てる場合は、どんな制度を使えるかという点に着目して教育について考えると、自然とあなたも子供も過ごしやすい環境に行き着くことができます。
XYY症候群(ヤコブ症候群)によって受けられる手当
XYY症候群だからと言って受けられる手当は日本にはありません。
ただ、発達障害の度合いによっては手当を受け取れることもあります。
発達障害は、さまざまな種類がある障害者手帳のうち、精神障害者手帳に含まれます。
精神障害者手帳の等級は以下の通りです。
1級
(精神障害であって、日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの)
2級
(精神障害であって、日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの)
3級
(精神障害であって、日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの)
引用元:厚生労働省
受けられる手当
精神障害者手帳を持っていると、以下のような手当を受けることができます。
- NHK受信料の免除
- 所得税、住民税の免除
- 相続税の免除
- 生活福祉資金の貸付
- 障害者職場適応訓練の実施
もし、子供の将来が不安でたまらないという場合は、少しでも負担なく日本で生きていけるように、障害者手帳をもらっておくと良いかもしれません。
XYY症候群(ヤコブ症候群)との向き合い方
お子さんがXYY症候群とわかると不安になると思います。ですが、一般的には症状は軽度であり、過度に心配する必要はありません。
むしろ、親御さんの不安が子供に伝わってしまうと、子供も伸び伸び成長できなくなってしまいます。
愛情を持って子供を気にかけてやり、必要な時に必要最低限のサポートをしてあげることを心がけましょう。
個性として捉える姿勢が大切
XYY症候群は、症候群という名前ではありますが、個性として捉える考え方が一般的です。
そのため、無理に治療する必要があるものでもないですし、治すという考え方そのものが少しズレているかもしれません。治すというよりは、個性として認めて、能力を最大限伸ばしてあげるという感覚が重要です。