先天性疾患とは?どんな種類がある?発生率はどのくらい?

先天性疾患とは?

先天性疾患とは、生まれつき持っている疾患のことです。生まれてきた赤ちゃんの約3-5%は、先天性疾患を持つといわれています。先天性疾患の原因は、染色体の異常、遺伝子の異常、環境因子の影響などが挙げられます。時々、先天性疾患を持つ赤ちゃんを妊娠または出産したお母さんが自分を責めてしまうことがあります。しかし、染色体や遺伝子の異常による先天性疾患は、精子と卵子が受精した時にすでに起こっているので、妊娠に気づく前や妊娠初期の行動や食事などが影響するものではないと考えられています。

先天性疾患にはどのような種類がある?

先天性疾患とひとことでいっても、さまざまな種類があります。代表的なものは以下のようになります。

①染色体の異常によるもの

先天性疾患の約25%は、染色体の数や構造の異常による染色体疾患といわれています。ヒトは、2本で1組になっている染色体を23組、合計で46本持っています。22組は常染色体、1組は性染色体で、性染色体がXXであれば女性、XYであれば男性となります。常染色体の数の異常による染色体疾患としては、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)などがあります。他にも常染色体の一部が欠けていることで起きる微小欠失症候群や性染色体の数が増減することによるターナー症候群、クラインフェルター症候群などが染色体疾患に含まれます。

②遺伝子の異常によるもの

遺伝子の異常により起こる先天性疾患は、両親または片方の親の遺伝子の異常を受け継いでいる場合や胎児だけに遺伝子の異常が起きている場合があります。先天性疾患の中で、遺伝子の異常によるものは約20%です。

③多因子遺伝によるもの

特定の遺伝子の異常ではなく、遺伝子や環境因子などさまざまな要因が影響して、胎児が何かしらの疾患を持つことがあります。さまざまな因子が影響することを、医学的に多因子遺伝と呼びます。生まれてきた赤ちゃんの100人に1人は先天性心疾患(心臓の病気)を持つといわれており、多因子遺伝によると考えられています。多因子遺伝による疾患は、先天性疾患の約半分を占めます。

④環境因子や催奇形因子によるもの

今までの医学的な研究報告で、胎児に先天的な異常が起きる原因がいくつか明らかになっています。妊娠中のタバコ、アルコール、放射線、薬などは、胎児に影響が出る可能性があります。妊娠中のタバコやアルコールは少しであっても、胎児に悪影響が出ることがあります。ただし、薬に関しては妊娠中に内服できるものもあるので勝手に内服を中断せず、医師に相談するようにしてください。

妊婦さんの年齢と先天性疾患の発生率の関係とは?

日本では晩婚化が進み、妊娠する女性の年齢も上昇傾向にあります。妊婦さんの年齢が35歳以上になると、胎児が先天性疾患を持つ確率が上がることがわかっています。2015年の日本からの報告によると、35歳以上の方に実施された15,852件の羊水検査結果から、21トリソミーや18トリソミーなどの常染色体の数の異常による染色体疾患の発症率が上昇することがわかりました。例えば21トリソミーに関しては、出産時の年齢が20歳では1/1441、30歳では1/959、35歳では1/338、40歳では1/84と年齢の上昇と共に、発生する確率が上がるというデータがあります。

出生前診断でわかる先天性疾患は?

出生前診断は、赤ちゃんが生まれてくる前に先天性疾患がないかどうか検査することです。出生前診断には、超音波検査、コンバインド検査、母体血清マーカー検査、NIPT、羊水検査、絨毛検査などさまざまなものがあります。羊水検査と絨毛検査では、もし染色体に異常があれば胎児が染色体疾患を持つと確定診断できます。ただし、お腹に針を刺す検査のため流産や早産、死産、出血、感染などのリスクがあります。一方で、超音波検査やコンバインド検査、母体血清マーカー検査、NIPTは胎児が先天性疾患を持つリスクについて超音波や採血のみで判定できるので、スクリーニング検査として有用です。
出生前診断の種類によって、検査の対象となる先天性疾患が異なります。例えば、母体血清マーカー検査では染色体疾患である21トリソミーと18トリソミー、先天性の形態異常である開放性神経管欠損症を調べることができます。新しい出生前診断の検査法として注目されているNIPTでは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミーだけでなく、染色体の微小欠失や性染色体の異常なども検査できます。羊水検査や絨毛検査では、染色体異常による疾患をほとんど全て調べられますが、目で見ても確認できないくらいの小さい染色体異常の場合にはわからないこともあるので注意が必要です。
また、それぞれの出生前診断で調べることのできる先天性疾患は限られているので、生まれた後に赤ちゃんの病気がわかることもあります。

まとめ

先天性疾患とは、生まれつき持っている疾患のことです。先天性疾患の約25%は染色体疾患で、約半数は複数の因子が影響している多因子遺伝によるものといわれています。出生前診断では、胎児が先天性疾患を持つかどうか調べることができますが、検査方法によって対象となる疾患が違います。事前に医療機関に問い合わせて、検査内容についてよく理解してから受けるようにしてください。

参考文献
http://jsog.umin.ac.jp/70/jsog70/2-1_Dr.Sekizawa.pdf
http://www.nipt.jp/botai_03.html

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(ヒライシ タカヒサ)


専門は内科、消化器科、スポーツ医学。
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