発達障害の特徴と診断方法|治療はどのように行われる?

発達障害は生まれつきの「特性」として捉えられており、子どもの育て方やしつけの問題で起こるものではありません。多くの方は幼少期に発達障害が発覚しますが、なかには大人になってから発覚する方もいらっしゃいます。

ここでは、発達障害の基礎知識や診断方法、治療方法などをご紹介していきます。発達障害の症状を治療するうえで、本人や身の回りの方が特性を理解することが大切です。医療機関で診断されたら、適切な治療や社会生活でのサポートを受けましょう。

そもそも発達障害とは?

まずは、発達障害の基礎知識をお伝えします。発達障害の定義や、発達障害の主な種類について確認しながら、周囲の方が理解するための基本を押さえましょう。

発達障害に関する基礎知識

発達障害とは、脳機能の発達に関する障害の総称です。生まれつき脳の機能の一部に障害がありますが、個人差が大きく、「病気」ではなく「特性」として考えられています。国内における発達障害は、「発達障害者支援法」第二条において、以下のように定義されています。

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの

発達障害は、何らかの脳機能の障害によるもので、子どもの育て方やしつけの問題ではありません。一方で、発達障害の子どもは、幼児のうちから一般的な育児と同じようなやり方で対処するのが難しい場合があります。発達障害をもつ方に対して、周囲が本人の特性を理解することや、職場や学校で本人の能力を生かすために工夫することが大切です。

【出典】文部科学省「特別支援教育について」

https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/tokubetu/main/1376867.htm

発達障害の主な種類

発達障害には、世界保健機関(WHO)による分類と、アメリカ精神医学会による分類があります。WHOによる診断分類は「ICD(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)」、アメリカ精神医学会が出版する精神疾患の診断基準・分類は「DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」です。上記の分類により発達障害の診断名が異なる点を押さえておきましょう。

主な発達障害の種類としては、以下の例が挙げられます。

・自閉症スペクトラム(ASD)・自閉スペクトラム症

・アスペルガー症候群

・注意欠陥/多動性障害(AD/HD)・注意欠陥多動性障害(ADHD)

・限局性学習症(SLD)・学習障害(LD)

上記のうち「アスペルガー症候群」は、DSMの第5版(DSM-5)では名称がなくなり、自閉症スペクトラムの中に収まるようになりました。

発達障害をもつ方のなかには、複数の障害が併存しているケースも多くあります。また、一人ひとりの年齢や生活環境により、症状が変化することも珍しくありません。

発達障害の特徴

それぞれの発達障害の特徴をご紹介していきます。同じ発達障害でも、タイプにより特徴が異なります。一人ひとりの特性を把握するために、特徴を理解しておきましょう。

自閉症スペクトラム(ASD)

自閉症スペクトラム(ASD)の主な特徴は、人とのコミュニケーションが苦手なことです。相手の意図を汲み取るのが難しいため、いわゆる“空気を読む”ことをせずに、対人関係でひんしゅくを買ってしまうケースがあります。人と視線を合わせなかったり、表情が不自然であったりして、周囲の方と上手くやり取りができないこともあるでしょう。

また、特定の物事に対して強いこだわりを持つ傾向にあるのも、自閉症スペクトラムの特徴です。融通が利きづらく、物事が予想外の方向へ進むとパニックを起こしてしまう方もいます。子どもの頃には、自分の要求を言葉で伝えることをせず、相手の手を掴んで直接に対象物のほうへ持っていくような行動が見られることがあります。

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の主な特徴として挙げられるのは、「不注意」および「多動性・衝動性」です。不注意とは、気が散りやすくひとつの活動に集中できない、細かいことに注意を払えないなどの症状を指します。多動性・衝動性では、じっとしているのが難しい、絶えず落ち着きがない、自分の順番を待てないなどの症状が代表例です。

また、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)には、不注意および多動性・衝動性の双方の特徴が見られる「混合型」もあります。なかには、子どもの頃から症状が続いているにもかかわらず、成人してから医療機関を受診して発覚する例も珍しくありません。社会人になり人間関係や仕事の複雑さが増すことで、二次的に精神疾患を発症する方もいます。

限局性学習症(SLD)

限局性学習症(SLD)では、特定の学習能力の習得に遅れが見られるのが特徴です。代表的な例としては、字を読むのが苦手な「読字障害」、字を書くのが苦手な「書字障害」、算数の理解が難しい「算数障害」が挙げられます。たとえば、字を読むのが苦手でも算数の理解にはまったく問題がないといったように、一部の学習で困難が生じるケースもあります。

限局性学習症(SLD)は、子どもが学校へ進学してから発覚することがほとんどです。学校生活で学力に問題を抱えていながら、長期間にわたり周囲から気づかれず、治療や支援を受けられない子どももいます。学業不振が心身症や不登校などにつながる可能性があるため、適切な学習指導や保護者による理解が求められます。

発達障害の診断の難しさと具体的な方法

発達障害にはまだ解明されていない分野が多く、診断を受けるには困難もあります。出生前診断でも調べられないのが現状です。ここでは、発達障害の診断についてお伝えします。

発達障害の診断の難しさ

発達障害についてはまだ解明されていない分野が多く、明確な診断基準がありません。原因は脳の機能の先天的な障害だと考えられていますが、はっきりとした要因は不明です。また、発達障害の症状は一人ひとり異なり、複数の発達障害を抱えているケースも珍しくありません。出生前診断でも、胎児の発達障害の有無を調べることは不可能です。

発達障害は多くの方が幼少期に発覚しますが、なかには大人になってから発覚する方もいます。成人の方の場合、二次障害として抑うつ症状などが起きて発達障害が発覚することがあります。本人の特性によっては見た目で発達障害とわかりにくく、職場や学校で周囲の方から理解を得られず、社会生活で苦労する方も少なくありません。

医療機関で発達障害の診断を受けたら、その後は自分の特性と生涯をかけて付き合うことになります。家族や同僚をはじめとした周りの方は、本人の特性をよく理解するとともに、安定した暮らしを送るためにサポートを行っていく必要があるでしょう。本人と周囲が、社会生活のなかで起こり得る二次障害の予防に努めることが大切です。

発達障害の診断方法

子どもの場合

子どもの発達障害の診断は、小児科や児童精神科の医療機関のほか、地域の療育センター、発達障害者支援センターなどで相談できます。各施設では、問診、面接・行動観察、心理検査、発達検査、知能検査などを行い、発達障害の有無を総合的に判断していきます。診断のためには2~3カ月がかかり、それまでには1~2週間に1回のペースで通院が必要です。

大人の場合

大人の発達障害を診断できる医療機関はあまり多くありません。発達障害の診療を行っている精神科や心療内科の医療機関へ相談するのが一般的です。大人の場合は、自覚症状や困っている症状をヒアリングします。そのほか、問診、心理検査、生理学的検査を踏まえて、発達障害の有無が総合的に判断されます。問診では幼少期についても聞かれますが、正確な情報が得られないことが多く、子どもの場合よりも診断が難しい傾向にあるのが難点です。

発達障害の治療方法

主な発達障害の治療方法をご紹介します。発達障害は根本的な治療ができませんが、治療を受けて症状が軽減されることがあります。必要な治療について理解を深めましょう。

自閉症スペクトラム(ASD)

子どものときに自閉症スペクトラム(ASD)と診断された場合には、基本的に「療育」の治療が行われます。療育とは「治療教育」のことで、一人ひとりの特性に合わせて個別のプログラムが提供されるのが特徴です。適切な療育を受けると、子どもが自分の特性について理解を深めて自己肯定感が向上し、二次障害の予防につながると考えられています。

また、自閉症スペクトラム(ASD)の症状に対して薬を処方する、薬物療法が行われることがあります。たとえば、不安症状に対して抗不安薬が処方されたり、うつ症状に対して抗うつ薬が処方されたりするのはその一例です。自閉症スペクトラム(ASD)そのものは薬物療法で治せないものの、症状については薬で軽減できる可能性があります。

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の治療では、基本的に心理社会的療法と薬物療法が行われます。子どもが治療を受けると、学校生活やその他の活動に参加しやすくなることから、できるだけ年齢の低いうちから始めるのが望ましいとされています。治療を受けることで注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の影響を最小限に抑えることが目的です。

子どもが心理社会的療法を受ける場合、保護者や教員をはじめとした関係者が本人の特性や適切な対応を学ぶ環境調整や、社会生活を送るうえで必要な社会性を学ぶソーシャルスキルトレーニングなどが行われます。本人と身の回りの方が注意欠陥/多動性障害(AD/HD)への理解を深め、症状をコントロールして適切な行動が取れる状態を目指します。

大人の場合は、心理教育を通して注意欠陥/多動性障害(AD/HD)の一般的な症状について学び、対処法を身につけていくことが可能です。環境調整では、自分の特性を周囲に説明して理解してもらったり、得意なことを生かして仕事に取り組んだりする方法を学びます。治療を受けて社会生活を送るうえでのストレスをできるだけ減らしていきます。

限局性学習症(SLD)

限局性学習症(SLD)の子どもには、一人ひとりに適した学習方法でスキルを習得していく、療育が行われます。通常の学習方法で学ぶのが難しい場合、保護者や教員が本人に合った学び方を提供し、スキルの習得と併せて成功体験を増やすことが大切です。子どもが言葉や社会性を学び始める段階で、できるだけ早く療育を始めるのが望ましいとされています。

本人に合った学び方を探すうえでは、学習環境に配慮したり、代替手段で対応したりする方法が有効です。たとえば、学習に使用するプリントの文字を大きくしたり、重要な部分に色を付けたりして、読みやすくする方法があります。黒板を書き写す代わりにタブレットで撮影したり、端末の音声読み上げ機能を使用したりと、代替手段に工夫しても良いでしょう。

発達障害の特性を理解し対処しましょう

発達障害は、脳機能の発達に関する障害の総称であり、「病気」ではなく「特性」として考えられています。代表的な発達障害の種類には、「自閉症スペクトラム(ASD)」「注意欠陥/多動性障害(AD/HD)」「限局性学習症(SLD)」などが挙げられます。症状には個人差があることが多く、一人ひとりに合わせて個別の治療が行われるのが一般的です。できるだけ年齢の低いうちから治療を受けるのが理想的だと考えられています。

発達障害の原因は、脳の機能の先天的な障害だと考えられているものの、まだ解明されていない分野が多くあります。出生前診断でも、胎児の発達障害の有無を調べることができません。根本的な治療方法は今のところありませんが、治療を受けると症状を軽減できる可能性があります。治療による自己肯定感の向上や、ストレスの低減が、二次障害の予防につながると考えられています。本人や身の回りの方が特性を理解し、対処することが大切です。

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