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妊娠中の葉酸欠乏症とは?葉酸不足になりやすい時期や必要量

葉酸欠乏症とは?

葉酸はビタミンB群に属する水溶性ビタミンで、赤血球やタンパク質の産生、細胞の増殖などに関わります。
成長が著しい胎児の時期には、細胞の分裂や増殖がさかんに行われるので十分な量の葉酸が必要だと考えられています。
葉酸欠乏症では、十分な葉酸が摂取できていないことにより息切れ、めまい、顔面蒼白などの貧血に関連する症状が出たり、重度になると味覚低下や体重減少、赤くただれた舌などの症状が起きます。

日本人において、一般的な食事をしていれば1日に必要とされる240µgの葉酸は摂取できていることがわかっています。
しかし、アルコールを大量に飲む人や抗てんかん薬などの内服をしている人は不足しがちになります。

また、妊娠中は胎児の成長のために通常より多くの葉酸が必要になります。
今までの研究結果から、妊婦の葉酸摂取量が不十分だと胎児の神経管閉鎖障害のリスクが上昇することがわかっています。

葉酸不足によって起きる神経管閉鎖障害とは?

妊娠4-5週頃に、脳や脊髄などの神経の元である神経管が作られます。
神経管は本来閉じるものですが、葉酸不足や糖尿病、抗てんかん薬の内服などが原因でうまく閉じない、いわゆる神経管閉鎖障害が起きることがあります。
神経管の下の方が閉じない場合は二分脊椎症、上の方が閉じない場合には無脳症となります。
二分脊椎症とは、脊椎の中に存在すべき脊髄が脊椎の外に出ているため手足の麻痺や感覚障害などの症状が起きる病気です。
無脳症は、名前の通り脳が正常に作られないので子宮内で胎児が亡くなってしまうことも多いです。

妊娠中で葉酸不足になりやすい時期は?

日本人が一般的な食事を取っている場合には、1日に必要な量は摂取できるといわれています。
しかし、妊娠中は胎児の成長がさかんに行われている時期なので葉酸の必要量が増加します。
そのため、いつもと変わらない食事をしていても葉酸不足になっている可能性があるので注意が必要です。
また、授乳中も赤ちゃんの成長のために葉酸が必要なので葉酸不足になることがあります。
まとめると、葉酸不足になりやすい時期は妊娠中から卒乳までの期間となります。

葉酸の必要量は?

日本では、18歳以上の男女における葉酸の1日の推奨摂取量は240µgとなっています。
妊娠中は葉酸の必要量が増加すると考えられているので、付加量として240µg、つまり通常の倍量である480µgが推奨されています。
授乳中は、付加量が100µgなので合計で340µgの葉酸を摂取するとよいです。

しかし、特に妊娠中は葉酸の必要量が増加するので、食事のみで1日に必要な葉酸を摂取することが難しい場合もあります。
食事中に含まれる葉酸の吸収率は、約50%ともいわれているので、より多くの食材を摂らなくてはいけません

今までの研究から、妊娠に気づく前から葉酸のサプリメントを飲んでいると胎児の神経管閉鎖障害を予防できることがわかっています。
そのため、厚生労働省は妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性がある女性はサプリメントなどの栄養補助食品から葉酸を400µg摂取することを推奨しています。
ただし、サプリメントで葉酸を過剰に摂取するとかえって妊婦や胎児の体に悪影響が出る可能性があります。
日本では、摂取量の上限は1000µgとされていますが、サプリメントに記載されている用法用量を正しく守るようにしてください。

葉酸を摂るべき時期は?

厚生労働省は、妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性がある女性に対してサプリメントなどの栄養補助食品から1日400µgの葉酸を摂取するように推奨しています。
今までの研究では、妊娠1か月前から妊娠3か月までに葉酸のサプリメントを400µg摂取すると胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクが減ることが明らかになっています。
また、妊娠3か月までの妊娠初期だけではなく、出産までの全妊娠期間において胎児の成長のために十分な葉酸が必要と考えられています。
そして、授乳中も赤ちゃんの成長のために通常よりも多くの葉酸が必要と考えられています。
つまり、妊娠1か月前から卒乳まで葉酸を意識してとるべきといえます。

ところで、アメリカやカナダなどの諸外国では、小麦粉やパスタ、シリアルなどに葉酸が添加されています。
国をあげて対策したことによって、結果的に神経管閉鎖障害を持つ赤ちゃんが減ったと報告されています。

日本でも、母子手帳に葉酸の記述を載せるなどの対策が行われていますが、妊娠に気づいた時にはすでに葉酸が必要な時期になっていることが多く、妊娠を希望する女性への知識の啓蒙が必要と考えられています。

妊娠と葉酸いついてまとめ

胎児の成長が盛んに行われる時期には、特に葉酸が必要といわれています。
妊娠を計画している女性、または妊娠の可能性のある女性は意識してサプリメントなどから葉酸を1日400µg摂取することが推奨されています。
小麦粉やパスタ、シリアルなど日常で良く食べる食品に葉酸を添加している諸外国もある中で、日本ではまだ知識の普及が十分とはいえません。
妊婦の葉酸摂取量の不足は胎児の神経管閉鎖障害の発症リスクを上げることがわかっているので、予防するためにも少なくとも妊娠1か月前からサプリメントで葉酸をとるようにしましょう。

参考文献
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-002.html
https://www.ejim.ncgg.go.jp/public/overseas/c03/02.html
https://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-10904750-Kenkoukyoku-Gantaisakukenkouzoushinka/0000041955.pdf

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(ヒライシ タカヒサ)


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