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【医師監修】赤ちゃんの心拍確認はいつからできる?確認後に気をつけることも解説


妊娠後、赤ちゃんが元気に成長しているか不安になることはありませんか?お腹の中にいる赤ちゃんは、外から様子を確認できません。そのため、妊娠がわかったら赤ちゃんが順調に成長しているか、定期的に経過観察をすることが大切です。

赤ちゃんの心拍は、妊娠5〜6週以降に確認できます。ただし、妊娠6週を過ぎても心拍が確認できない場合は、流産や病気の可能性があるため注意が必要です。

この記事では、赤ちゃんの心拍や健康状態を確認する方法を紹介します。また、元気な赤ちゃんを出産するために、心拍が確認できた後の過ごし方についても確認していきましょう。

赤ちゃんの心拍確認をする理由は健康状態チェックのため

赤ちゃんの健康状態を知るうえで、心拍の確認は欠かせません。心拍に異常が見られる場合は、先天性疾患の疑いや流産の危険性があるからです。

妊娠初期は体が安定しておらず、流産が起こりやすいといわれています。妊婦さんの約8〜15%は流産を経験しており、そのうち80%以上は妊娠12週未満の早期流産です。

また、赤ちゃんの心拍に乱れがある場合は胎児機能不全(NRFS)や先天性心疾患などの病気が疑われます。大きな異常がある場合や赤ちゃんの重篤な障害を避けるために帝王切開での出産となることも少なくありません。

参照:国立成育医療研究センター:「流産してしまいました。いったいどうして ?
参照:厚生労働省:「流産死産報告書

赤ちゃんの心拍を確認できるのはいつから?

赤ちゃんの心拍を確認できるようになるのは、妊娠5〜6週ごろからです。月数でいうと妊娠2ヶ月にあたり、妊娠初期と呼ばれる時期です。

妊娠4週がすぎると、子宮の中に胎嚢(たいのう)が作られます。胎嚢とは赤ちゃんを包む袋のようなもので、羊水で中が満たされています。胎嚢の中に赤ちゃんが確認できるのは妊娠6週を過ぎたころです。妊娠6週ごろの赤ちゃんは2〜8mm程の大きさで、胎児ではなく胎芽(たいが)と呼ばれています。

他にも妊婦検診では、子宮の中の胎嚢と胎芽を確認したうえで心拍が正常であれば正常妊娠と診断されます。心拍が確認できた後は定期的に妊婦検診に通い、赤ちゃんが健康に育っているかを確認しましょう。

赤ちゃんの心拍は超音波検査で確認できる

赤ちゃんの心拍は、主に超音波検査(エコー検査)で確認します。超音波検査とは、妊婦さんのお腹や膣内に超音波を当てて、赤ちゃんの発育を確認する検査方法です。

超音波検査を受けると、お腹の中にいる赤ちゃんの様子がモニターに映し出されます。妊娠6週以降であれば、胎嚢の中で点滅する赤ちゃんの心拍を目視で確認できます。

また、ドップラー聴診器やNSTで赤ちゃんの心拍を確認することも可能です。ドップラー聴診器とは、超音波を妊婦さんに当てることで、赤ちゃんの心音を耳で聞く検査方法です。

NSTはノンストレステストと呼ばれ、赤ちゃんの心拍と子宮収縮による妊婦さんのお腹の張りを確認します。子宮収縮と赤ちゃんの心拍の動きから、赤ちゃんが出産に耐えられる元気があるかどうかも確認できます。

赤ちゃんの心拍数の平均は?

赤ちゃんの心拍数は、妊娠5週で1分間平均90〜100回程度です。妊娠が進み、9週ごろになると170〜180回程度まで増えます。

年齢別に見る1分間あたりの心拍数は下表のとおりです。参考までに大人の平均心拍数もまとめました。

年齢1分間あたりの心拍数(bpm)
妊娠5週90~100
妊娠9週7~180
妊娠16週160前後
出生時140~180
生後1~2日100~120
生後2週120~140
1ヶ月~1歳120~140
妊娠5週90~100
1歳~5歳100~110
6歳〜12歳80~100
成人70~80
老人60~70

妊娠期間を通じた心拍の正常値は、1分間平均110〜160回です。心拍数がこの範囲内であれば、赤ちゃんが元気に成長していると判断できます。

ただし、赤ちゃんの心拍数は一定ではありません。寝ているときはゆっくりになり、動いているときには心拍数が多くなります。そのため、常に一定の速度でない場合でも、問題はありません。

赤ちゃんの心拍数からわかることは?

赤ちゃんの心拍数を見ると、以下の3つのことがわかります。

・脈拍数が速い(頻脈)のは元気な証拠
・妊娠初期で脈拍数が遅い(徐脈)と流産の可能性あり
・脈拍数が安定しない場合は胎児機能不全の可能性あり

詳しく見ていきましょう。

脈拍数が速い(頻脈)のは元気な証拠

赤ちゃんの心拍が速いと、何か病気ではないかと心配になる妊婦さんもいるかもしれません。しかし、赤ちゃんの心拍が速いことは問題ないとされており、順調に成長している証拠ともいえます。

赤ちゃんの心拍は、1分間に平均110〜160回程度であれば正常とされています。妊娠9週ごろになると、1分間に平均170〜180回程度にまで心拍数が増えます。このころの赤ちゃんの心拍は、大人と比較すると約2倍の速さです。

一方で、赤ちゃんが安静にしているときに1分間の心拍数平均が160回を超える場合は、子宮内感染の可能性があります。赤ちゃんを包む膜が炎症を起こす「絨毛膜羊膜炎」から子宮内感染に陥ると、流産や早産のリスクもあります。

病気による心拍の上昇が疑われる場合は、医師の診断を受け、抗生剤などの点滴を早い段階で行うことが大切です。

参照:厚生労働科学研究成果データベース「胎児心拍数モニタリング
参照:国立成育医療研究センター「羊水中の細菌を調べて分娩前に子宮内感染を正確に予測

妊娠初期で脈拍数が遅い(徐脈)と流産の可能性あり

赤ちゃんの心拍が1分間平均110回未満となる状態が続く場合は、早期流産の可能性があります。

また、先天性心疾患や胎児機能不全などで赤ちゃんの心拍が遅くなることがあります。重度の徐脈が見られる場合には、薬を飲んだり注射を受けたりして治療します。

ただし、妊娠5週程の赤ちゃんはさまざまな器官の原型が作られ始める時期であり、徐脈が見られることも少なくありません。脈拍数が遅いと診断された場合は経過を注意深く観察し、医師の意見を確認することが大切です。

参照:厚生労働科学研究成果データベース「胎児心拍数モニタリング
参照:日本産婦人科医会「産婦人科ゼミナール
参照:宮城県立こども病院「「胎児不整脈に対する母体薬剤投与」に関してのご説明

脈拍数が安定しない場合は胎児機能不全の可能性あり

赤ちゃんの心拍が遅くなったり速くなったりと安定しない場合は、胎児機能不全の疑いがあります。胎児機能不全は、赤ちゃんに酸素が行き届かず低酸素状態になることにより起こります。

胎児機能不全に陥る原因は、絨毛膜羊膜炎や赤ちゃんの体にへその緒が巻きつく臍帯巻絡などです。徐脈が続く場合は、赤ちゃんに酸素を供給できるように妊婦さんに酸素を投与します。

また、脳性麻痺の原因となる常位胎盤早期剥離など重度の胎児機能不全と診断された場合は、帝王切開となることも考えられます。

ただし、実際には問題がないのに胎児機能不全と診断されることも少なくありません。診断を受けた後でも元気な赤ちゃんが生まれてきたケースもあるため、心配し過ぎず経過を見守りましょう。

赤ちゃんの心拍を確認できない場合は再検査が必要

妊娠5〜6週を過ぎても心拍を確認できない場合は、再検査が必要です。赤ちゃんの心拍を確認できない理由は、妊娠週数の誤差や赤ちゃんが順調に成長できていないことなどが考えられます。

妊娠週数の誤差は、排卵日のずれから起こります。排卵の時期はストレスや環境の変化からずれることがあり、生理周期が安定している方にも起こりうることです。心拍を確認する超音波検査では、妊娠週数の誤差を正確に確認できます。誤差がわかったら、早めに週数を修正しておきましょう。

また、赤ちゃんの心臓が完成途中であるなど順調に成長できていない場合にも、心拍をはっきりと確認できないことがあります。妊娠5〜6週を過ぎても心拍が確認できない場合は、主治医の指示に従い再検査をしましょう。

赤ちゃんの心拍を確認できない場合は流産の可能性がある

妊娠5〜6週では、赤ちゃんの心拍を確認できないケースも少なくありません。しかし、妊娠7週を過ぎても赤ちゃんの心拍が確認できない場合は、流産の可能性があります。

妊娠初期に起こる流産のほとんどは、赤ちゃんの染色体異常が原因といわれています。仕事をはじめとした、妊婦さん側の日常生活での行動が原因で流産に至るケースはほとんどありません。そのため妊婦さんは、日々の過ごし方への不安を抱えすぎないよう心がけましょう。

また、妊娠5〜6週で赤ちゃんの心拍を確認できたとしても、その後の妊婦検診で心拍が確認できなくなるケースもあります。なかには、妊婦さんに出血や腹痛などの自覚症状がないにもかかわらず、赤ちゃんの心拍が停止する稽留流産が起こることもあります。そのため、赤ちゃんの心拍が確認できた後でも、流産の可能性があることについて理解しておくことが大切です。

赤ちゃんの心拍確認後の過ごし方

赤ちゃんの心拍を確認できたら、以下4つのことを意識して過ごすようにしましょう。

・葉酸を摂取する
・母子手帳をもらう
・出産で利用する病院を決める
・出血に注意する

心拍が確認できたといっても、妊娠初期はまだまだ体が不安定な時期です。元気な赤ちゃんを出産するためにも、詳しく確認していきましょう。

葉酸を摂取する

妊娠初期に葉酸を摂取すると、先天性異常である神経管閉鎖障害のリスクを減らす効果が期待できます。一日に必要な葉酸の摂取量は240μgとされていますが、妊娠初期の妊婦さんであれば400μgの摂取が推奨されています。

葉酸を多く含む食べ物は、ほうれん草やブロッコリー、アボカドやいちごなどです。普段の食事で必要量を摂取できない場合は、サプリメントの利用も検討しましょう。

ただし、過剰摂取には注意が必要です。葉酸を過剰に摂取すると、妊婦さん自身が発熱やじんましんを起こすことがあります。

また、葉酸の過剰摂取によって生まれた子どもが喘息になるリスクも報告されています。元気な赤ちゃんを出産するには、適度に葉酸を摂取しつつバランスのよい食事を心がけることが大切です。

参照:厚生労働省「食事による栄養摂取量の基準
参照:J-STAGE「妊娠期の葉酸サプリメント摂取と児の喘息発症リスクとの関連
参照:e-ヘルスネット「葉酸とサプリメント ‐神経管閉鎖障害のリスク低減に対する効果

母子手帳をもらう

母子手帳は、妊娠8週目以降に医師から受け取りの指示があります。母子手帳は分娩予定日に必要となるため、医師から指示がない場合は自分から確認しましょう。

母子手帳を受け取るには、市役所で妊娠届を提出します。つわりなどで体調が優れないときは、家族が代理で受け取ることも可能です。ただ、母子手帳を交付される際に補助金や子育てに関する情報提供を受けられるため、可能であれば自分で受け取ることをおすすめします。

母子手帳は住民票のある市区町村でしか受け取りができません。里帰り出産の場合は、事前に発行を済ませておきましょう。

出産で利用する病院を決める

赤ちゃんの心拍を確認できた後は、出産する病院を決めましょう。病院によっては、妊娠検査のみで分娩まで対応していない場合もあります。また、産院にはそれぞれ異なる特徴がありますから、自分が安心して出産できる病院を選ぶことも大切です。

たとえば、総合病院や大学病院などの大きな病院では、小児科や内科が併設されています。そのため、出産時に赤ちゃんの健康状態に異常があった場合は、迅速に処置を受けられます。

個人の産院は、小さな悩みでも気軽に相談しやすく、初診から産後まで同じ医師が担当するケースが多いのが特徴です。

人気のある産院は予約が埋まってしまうことも考えられます。出産する病院を決めたら、早めに予約を入れることをおすすめします。また、必要な書類や紹介状などについては、妊娠検査の際に医師に聞いておくと安心です。

出血に注意する

妊娠初期の出血は、流産につながる可能性があるため注意が必要です。妊娠初期は体が安定しておらず、約30%の妊婦さんが出血を経験します。

少量の出血であれば、赤ちゃんが元気に成長していても起こりうることです。しかし、出血が大量であったり腹痛などの症状があったりする場合は、流産の疑いが強くなります。

妊娠初期に起こる流産のほとんどは、赤ちゃんの染色体異常が原因です。ただし妊娠中期になると、母親側のストレスや体の負担などで流産に陥ってしまう可能性があります。

生理のときよりも多い出血が見られる場合や、生理痛よりも強い下腹部の痛みが現れた場合は、早めに医師に相談しましょう。

参照:あさぎり病院「妊娠初期の出血について

赤ちゃんの心拍を確認したら体調をいたわりつつ出産の準備を進めよう

赤ちゃんの心拍は妊娠5〜6週ほどで確認できます。心拍が確認できなかったとしても、すぐに流産と判断せず、再度検査を受けてみましょう。2回目の検査で、しっかりと心拍が確認できることがあります。

また、赤ちゃんの心拍が確認できたらNIPTで健康状態を検査することもおすすめです。NIPTでは、妊婦さんへの採血のみで21トリソミー(ダウン症)・18トリソミー・13トリソミーなどの代表的な染色体異常の可能性を調べられます。

NIRTは一般的に妊娠10週からの受検となっていますが、平石クリニックでは妊娠6週から受検可能です。さらに、当院でNIPTを受検し検査結果が陽性だった場合は、確定検査の羊水検査や絨毛検査の費用を全額負担いたします。

また、NIPTに対して疑問や不安がある場合は、認定遺伝カウンセラーによる無料の電話相談を利用できます。赤ちゃんの健康状態が気になる方や、35歳以上の高齢出産で染色体異常のリスクが心配な方は、ぜひ受検をご検討ください。

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