不妊症になりやすい人や職業とは?治療に保険や助成金が適用される?
「不妊症になりやすい人や職業はあるのかな?」
「妊娠を希望しているのになかな赤ちゃんを授かれない」
上記のように悩んでいる人は、自分は不妊症かもしれない、不妊症になる人の傾向が知りたいと思っているのではないでしょうか。
一般的に年齢が上がる度に不妊症の確率は高くなります。
この記事では、不妊症になりやすい人や職業、食べ物以外にも、不妊症検査や治療についても解説しています。不妊症について知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
不妊症になりやすい人?
「不妊症になりやすい人の特徴はあるのかな?」と、疑問を持っている人は多いでしょう。
不妊症の原因は男女ともにさまざまですが、共通する点は以下の通りです。
- 肥満ぎみ
- 喫煙歴がある
- 睡眠不足
- 不規則な食生活
- ストレスが多い
上記に当てはまる人は、不妊症になりやすいといえます。
また、女性に限った話では、月経に以上がある人は、不妊症になりやすい傾向にあります。月経になんらかの以上がある場合は、早い段階で婦人科を受診しましょう。
男性不妊になりやすい人は、睾丸が陰嚢内上方や鼠径部付近にある人や、睾丸が小さい人、柔らかい人です。
上記に当てはまる人は、精子所見が悪化しているかもしれません。
気になる症状がある人は、泌尿器科などを受診しましょう。
職業が不妊症に関係するのは本当?
「仕事と不妊症は関係するんだろうか?」と、不安に思っている人もいるでしょう。
結論からお伝えすると、ストレスが多い、ハードな仕事は不妊症を引き起こす可能性もあります。
一般的に不妊症になりやすい仕事といわれているのは、以下3つの職種です。
- 美容師
- 看護師
- 保育士
しかし、必ずしも仕事が不妊症の原因になるとは限りません。
不妊症を誘発する食べ物はある?
妊活をしている人は、不妊症の原因になる食べ物を避けたいですよね。
しかし、妊活におすすめな食べ物はよく取り上げられるものの、不妊症の原因になる食べ物を紹介される機会は少ない傾向にあります。「不妊症の原因になる食べ物ってなんだろう」と悩んでいる人もいるでしょう。
不妊症の原因として挙げられるのは、アルコールです。アルコールは精子の形態異常や精子量の減少を引き起こします。また、女性も妊娠までの期間が延びる可能性を指摘されています。
妊活中は、日常的に大量のアルコール摂取をするのはおすすめできません。
不妊症の人の共通点
不妊症の人には、いくつか共通点があります。
ここからは、全体を通した共通点と、男女別の共通点を紹介します。
まず、全体を通した共通点は以下の通りです。
- 35歳以上(加齢)の人
- 喫煙習慣がある
全体を通した共通点について、くわしく解説していきます。
35歳以上(加齢)の人
妊娠の確率は、年齢を重ねるごとに低下する傾向にあります。
年齢が妊娠の確率を下げる原因は、精子や卵子の質が低下するからです。精子や卵子の質が低下すると、染色体異常を起こしたり、精子や卵子の量が減少します。
そのため、妊娠を希望する人はなるべく早い出産を目指した方がいいでしょう。
喫煙習慣がある
男女ともに、喫煙習慣があると精子や卵子に大きな影響を及ぼします。
女性で喫煙習慣があると、卵巣機能が低下します。その結果、卵子の質が落ち、染色体異常や流産を引き起こす可能性が高くなるのです。
男性の場合は、精子の量や質が低下し、染色体異常を引き起こします。
染色体異常を起こしていると、赤ちゃんにも影響を及ぼすので、喫煙習慣がある人は、禁煙に挑戦しましょう。
不妊症の原因【男性】
不妊は、男性が原因とする割合が半数をしめています。
男性不妊の原因は以下が挙げられます。
- 造精機能障害
- 性機能障害
- 精路通過障害
男性機能の原因をくわしく解説していきます。
造精機能障害
造精機能障害とは、精子の質が低下することです。精子の質が低下すると、運動力や精子の形状が悪くなります。造精機能障害が起こる原因はまだ解明されていませんが、精巣の温度上昇が原因と考えられています。
そのため、サウナが好きな人は、長時間にならないように注意しましょう。
性機能障害
性機能障害とは、EDを代表とする射精障害のことです。
性機能障害の原因は、ストレスや妊活のプレッシャー、薬剤による副作用が挙げられます。セックスレスも性機能障害の1つと考えられています。
性機能障害は泌尿器科で治療を行えるので、気になる人は診察を受けましょう。
精路通過障害
精路通過障害とは、射精した分泌液に精子が入っていないことです。精子は作られるのに精子が射精されない場合、精管が詰まっていると考えられます。精管が詰まる原因は、生まれつきの構造や癒着、鼠径ヘルニアがあげられます。
精路再建手術で改善できますが、長い間精路が閉塞していた場合は再建が難しいようです。
不妊症の原因【女性】
女性の不妊は、排卵・卵管・子宮・経管・免疫因子が原因に挙げられます。
日本受精臨床学会によると、不妊原因の割合は以下のように発表されています。
- 卵巣因子が20.5%
- 卵管因子が20.4%
- 子宮因子が17.6%
- 免疫因子5.2%
- 男性因子が32.7%
上記からわかるように、不妊の原因は、卵巣・卵管・子宮因子が主にあげられます。
排卵因子
排卵障害が起こっていると、妊娠できる可能性が低下します。
排卵障害の代表は、稀発月経や無月経です。生理周期が長い・短い・乱れている人や、基礎体温に二相性が見られない場合は、排卵されていない可能性が高いです。
排卵障害の原因は、過度なダイエットやストレス、過体重が上げられます。
また、早期閉経によって、排卵が起こっていない可能性も考えられます。
卵管因子
卵管が閉塞していると受精できなくなってしまうため、不妊症になります。
卵管の閉塞は、性感染症による炎症で、卵管が癒着することが原因に考えられます。過去に性感染症に罹患した経験があり、なかなか妊娠をしない人は、婦人科に相談してみましょう。
また、子宮内膜症や虫垂炎などの手術の影響で、卵管周囲が癒着する可能性もあります。
卵管の閉塞は、造影剤を卵管に流すことで改善する可能性があります。
子宮因子
子宮筋腫などで子宮内膜が変形していると、着床しづらくなります。子宮筋腫以外にも、子宮内膜ポリープ・帝王切開歴・生まれつきの変形が子宮因子に含まれます。
子宮内膜の腫瘍は、薬物治療や腹腔鏡手術で改善可能です。
頸管因子
子宮頸管の粘液が少ないと、受精の妨げになり妊娠できる可能性が低くなります。
粘液量が減少する原因は、過去に子宮頸部円錐切除術を受けたことや、性感染症による経管の炎症が挙げられます。
経管の状態によって、ホルモン剤や抗炎症剤を使用して治療することで、改善可能です。
免疫因子
免疫因子の不妊症は、精子を排除する作用のある抗体を作ることが原因に挙げられます。この抗体により受精ができないため、妊娠の可能性は極めて低くなります。
免疫因子の不妊症は、人工授精や体外受精で妊娠可能です。
不妊症の検査方法
不妊症の検査方法は、男性と女性で異なります。
この章では、男性・女性それぞれの不妊症検査の方法を紹介します。
男性の不妊症検査
男性の不妊症検査は、泌尿器科で行われます。検査は短時間で終了するので、なかなか妊娠に恵まれない人は、奥さんだけでなく旦那さんも検査を受けましょう。
男性の不妊症検査で行われる内容は、以下の通りです。
- 精液検査
- 精巣検査
- 血液検査
それぞれの検査内容をくわしく解説していきます。
精液検査
精液検査では、精子量・濃度・運動率・質・形態・感染症を検査します。
7日間程度の禁欲後、自分で精子を採取して検査を受けます。
精子は時間や置かれる環境で質が変化するので、病院で採取するのが理想です。
精巣検査
精巣の検査では、精巣にエコープローブを使って観察します。
精巣の大きさや体積、精巣腫瘍・結石の有無を調べます。まれに、精巣ガンが発見されることもあるようです。
血液検査
血液検査では、ホルモンの分泌について調べます。
男性不妊の血液検査で調べるホルモンは以下の通りです。
- FSH(卵胞刺激ホルモン)
- LH(黄体形成ホルモン)
- テストステロン(男性ホルモン)
血液検査の結果ホルモンの分泌不足が指摘されたら、ホルモン治療を行います。
女性の不妊症検査
次に、女性の不妊症検査について紹介します。
女性の不妊症検査で行われる内容は以下の通りです。
- 経膣超音波検査
- 卵管造影検査
- 子宮鏡検査
- 血液検査
経膣超音波検査
経膣超音波検査は、膣にプローブを挿入して、子宮や卵巣の異常を調べます。
経膣超音波検査では、以下の病気が判別されます。
- 子宮筋腫
- 子宮内膜症
- 卵巣のう腫
排卵前後に経膣超音波検査を行うと、排卵の状態を調べられます。
卵管造影検査
経膣超音波検査で異常が見られなかった場合、卵管造影検査を行います。
卵管造影検査は、子宮口から造影剤を注入して、子宮や卵管の状態を観察する検査です。
卵管が閉塞している場合、この検査で閉塞が解消される可能性が高いです。
子宮鏡検査
子宮鏡検査は、子宮にカメラを入れて、直接内部を観察する検査です。
子宮筋腫やポリープ、癒着を確認できます。
少しでも出血があると行えないため、月経終了直後に検査予約を取るのがおすすめです。
血液検査
女性の血液検査では、ホルモンの働きや甲状腺機能、卵巣の予備能力、抗精子抗体を調べます。
検査内容によっては、検査機関に血液を送る必要があるため、検査結果がわかるまでに時間がかかります。
また、ホルモン検査は月経周期によって異なるため、月経期と黄体期に分けて検査しなくてはいけません。
不妊症の治療方法
不妊症は、ステップごとに治療を進めていきます。
不妊症の治療ステップは以下の通りです。
- タイミング法
- 人工授精
- 体外受精
- 顕微授精
それぞれの治療方法をくわしく解説していきます。
タイミング法
タイミング法は、もっとも負担の少ない治療方法です。排卵予定日前に経膣超音波検査で卵子が入っている袋の大きさを調べます。
袋の大きさから排卵日を予想して、タイミングをあわせて性交渉を行います。
排卵日に合わせて妊活ができるので、妊娠の可能性が高いです。
人工授精
人工授精は、精液を採取して、排卵期に合わせてチューブで子宮に注入する治療方法です。
人工授精で成功する確率は50%です。1回で10%、約80%の人が3回以内の人工授精で妊娠に成功しています。
体外受精
体外受精は、精子と卵子を採取して体外で受精させる治療方法です。
授精に成功したら、体内に移植して着床を促します。体外受精による妊娠の確率は30代までが45%とされていて、年齢が上がる度に低下します。
顕微授精
顕微授精は、精子と卵子を採取して、顕微鏡で確認しながら受精を行う方法です。
顕微授精による受精は、通常の体外受精にくらべてはるかに高く、従来は難しかった男性不妊へも対応しています。
ただし、流産率・早産・低出生体重児・染色体異常の割合が、自然妊娠もより高いことが指摘されています。
一部不妊治療は保険で治療が受けられる
2022年4月から、一部不妊症治療が保険適用になりました。
保険が適用される治療は、以下の通りです。
- 人工授精
- 体外受精
- 顕微授精
ただし、不妊症治療が適用されるのは、一定の条件をクリアした人のみです。
その条件は、以下の通りです。
- 治療開始時の女性の年齢が43歳未満
- 子ども1人につき胚移植6回まで(40歳未満)
- 子ども1人につき胚移植3回まで(40歳~43歳未満)
これまで、不妊症は金銭的・精神的負担が大きく、途中で治療を諦めてしまう人も多くいました。
しかし、保険適用となったことで、多くの人が不妊治療を受けられるようになりました。
不妊治療は助成金の適用になる可能性がある
各自治体は不妊症に対する助成制度を設けています。お住まいの自治体で不妊症に関する助成制度を設けている場合、不妊症治療の助成が受けられます。
助成の一例を以下に紹介します。
- 特定不妊治療(体外受精・顕微授精)の医療保険が適用されない費用を一部助成(東京都港区)
- 43歳未満の女性が、指定医療機関で特定不妊治療(体外受精・顕微授精)を受けた場合、費用を一部女性(埼玉県)
不妊治療の開始を検討している人は、お住まいの自治体ホームページ等で、助成が行われているか確認してみてください。
不妊症は女性だけのものではない
WHOが発表している不妊症の男女比は、女性のみの不妊が41%、男性のみの不妊が24%、男女ともに不妊が24%です。
この結果からわかるように、男性・女性の不妊割合は半々で、決して女性が原因とは限りません。
不妊治療は、年齢が若いほと成功の確率が高くなります。なかなか子宝に恵まれず悩んでいるご夫婦は、早い段階で医療機関の受診を検討するのがおすすめです。