出生前診断の検査を受けるための条件とは

コラム

女性の社会進出が進んで、晩婚化になると共に高齢出産も増えました。高齢出産が増えるにつれて懸念されるのが、障害を持った子供が生まれてくる確率も上がるということです。今は、赤ちゃんが生まれる前にダウン症など3つの疾患に限っては、診断することが出来る時代になりました。しかし、この検査は誰でも受けることが出来るという訳ではなく、条件があります。

妊娠10週から22週までの妊婦さん

条件の一つ目は、妊娠10週から22週までの妊婦さんということがあげられています。8週くらいになると、つわりが辛くなって来ます。出生前診断を、妊婦検診の時に受けることができる医療機関もありますが、後日また来てくださいという所が多いです。そうなると、つわりでつらい時期ではなく治まってからと考える人も多いでしょう。12~15週くらいになるとつわりも落ち着いて来るので、この頃に出生前診断をうけるという人が多い傾向があるようです。この時期は、そろそろ赤ちゃんの胎動も感じ始める頃です。胎動を感じ始めると、一層赤ちゃんが愛おしく感じることでしょう。内臓もほぼ完成してお腹の中ではおよそ18センチ、120gの大きさにまで成長しています。胎盤も完成して、流産のリスクも減ってくる時期です。16週頃から、おなかもふっくらとして来るでしょう。20週を過ぎた頃からは、子宮が大きくなって膀胱を圧迫するので、尿も近くなります。お腹の赤ちゃんはより一層動くようになり、羊水を飲んでオシッコもします。時には、オシッコをしている様子がエコーで分かることもあります。出生前診断を受けたいと思う人は、10週から22週までの間で、時期を考えましょう。

過去に染色体異常の子どもを出産している

過去にダウン症の子どもなどを出産している人の場合、2人目も障害を持った子どもが生まれて来るのではないだろうか?という不安は大きいと思います。もし2人目も障害を抱えた子どもだった場合、体力的に育てる自信がないという方も少なくありません。このような人が少しでも安心できるように、赤ちゃんを出産する前に、3つの染色体異常だけですが、事前にチェックすることが出来るのが出生前診断です。23組46本ある染色体のうち、13番と18番と21番の3組6本しか調べることが出来ません。しかし、1人目のお子さんが21番の染色体が2本ではなく3本になっている21番トリソミーとも呼ばれているダウン症の場合は、これが一番心配なことでしょう。「お腹の赤ちゃんは、ダウン症の確率はないですよ」と言われれば、ホッとして出産日を迎えることが出来ます。妊娠が分かってから、出産までの30週程の期間を、不安に思いながら祈るような気持ちで過ごすのと、ホッとして安心して過ごすのとでは雲泥の差でしょう。しかし、ここでしっかりと認識してもらいたいことがあります。出生前診断で分かるのは、上記の3つの疾患の可能性だけだということです。この検査で異常がないということは、イコール健康な五体満足な赤ちゃんが生まれてくるという保証にはならないということを心に留めておく必要はあります。

妊婦が35歳以上の高齢出産である場合

高齢出産のリスクとして早産や流産、難産になりやすいなどがありますが、それ以外にダウン症などの障碍を持った子供が生まれるリスクも高くなる、ということがあげられます。25歳で出産した場合にダウン症の子どもが生まれてくる確率は、1,250分の1ですが、30歳になると952分の1、35歳だと385分の1と一気にリスクが高くなり、40歳だと106分の1で45歳だと30分の1だというデータがあります。25歳の出産であっても、染色体に異常が有ればダウン症の子どもが生まれるし、45歳の出産であっても染色体の異常がなければダウン症は発症しません。 上のデータからは妊婦の年齢が高くなればなるほど、ダウン症の子どもが生まれてくるリスクも高くなっています。そこで、35歳以上の人はお腹の赤ちゃんが出生する前にダウン症やその他の染色体異常を抱えていないかどうかを調べるのが、出生前診断です。一番最初に行う検査は採血のみで済むので、お母さんが一瞬チクッと感じる程度です。母体にも胎児にも影響はありません。但し、採血されると気分が悪くなるという人は、倒れて頭など打つと危険なので、そのことを看護師などのスタッフに伝えて、座って採血をするのではなく、寝た状態で採血してもらいましょう。

両親のいずれかが特殊な染色体を有している

夫か妻か、どちらかが特殊な染色体を持っている場合、「産まれてくる子供に遺伝して、障害を持った子供を産むことにならないだろうか」と、とても心配も大きいだろうとお察しします。妊娠したと分かってもこのような不安から素直に喜ぶことが出来ないでしょう。そこで不安を抱えたまま出産するのではなく、出生前にダウン症と13番トリソミーのパトー症候群と18番トリソミーのエドワード症候群の3つの染色体異常を調べることが出来るのが、出生前診断です。採血をして調べるNIPT検査で陰性であった場合は、99%上記の3つの疾患に関しては発症しないとされています。 陽性の場合も、まだNIPTの段階では確定ではありません。診断確定は羊水検査となります。NIPTで、40%の確率でダウン症の子どもが生まれてくるという結果が出て、羊水検査を受けたところこちらは陰性で無事に健康な赤ちゃんを出産したというケースもあります。日本では出生前診断は任意となっているので、この検査を受けるかどうかは夫婦で話し合って決めましょう。ちなみに、日本で出生前診断を受けている妊婦さんは、およそ2%ほどです。

超音波などで胎児に異常があるかもしれない場合

妊娠すると、定期検診の時に超音波(エコー検査)で、お腹の中の赤ちゃんを見ることがあります。10週くらいになると、赤ちゃんの目や鼻や口などもエコーで確認できるので、三ツ口になっていないか、鼻の穴はちゃんと2つあるか、ダウン症児特有の顔貌ではないか、なども見ることができます。心臓の動きもわかるので、先天性の心疾患などがないかといった事も見ています。出生前診断と言うのは、産まれてくる前に病気がないかを診断することを言いますが、広い意味では超音波でお腹の中の赤ちゃんの状態を見るのも出生前診断だと言っても、間違いではないです。エコーは母体にも負担が無く、手軽にできる出生前診断の1つと言っても良いでしょう。もしも、超音波検査で心臓などに異常が有ると分かった場合は、出生前診断を受けることを勧められるケースがあります。

検査に必要な費用をきちんと支払うことが出来る人

出生前診断の費用は、採血によるNIPTがおよそ20万円前後です。もしもこの検査で陽性だった場合は、羊水検査を受けることになりますが、この費用が8万~15万円程度です。出産のための費用だけでも何かと大変なのに、その上にプラス20万円などという金額を捻出するのは容易ではないでしょう。親に借りたいけど、相談すると色々と言われてそれがストレスになるからイヤだという人も多いです。 検査のための費用が捻出できるかどうか、検査代をきちんと支払えるかどうかも、重要な条件と言えると思います。
また、NIPT検査機関の一部には陽性だった場合の羊水検査費用を全額負担してくれるところもありますので、できるだけそのように検査後のフォローまで行き届いている検査機関で受けることをおすすめします。