染色体疾患とは?異常の種類や特徴を解説します!

染色体疾患とは?

生まれてくる赤ちゃんの約3-5%は、先天性疾患を持つといわれています。先天性疾患には、心臓や消化器、指などの形や機能(はたらき)の異常によるもの、遺伝子の異常によるもの、染色体の異常によるものなどがあります。なかでも、染色体の異常によってさまざまな合併症が起きるものを染色体疾患と呼びます。先天性疾患の中で、染色体疾患は約25%を占めることがわかっています。
ヒトには、2本が1組になった染色体を23組持っています。22組は常染色体と呼ばれ、残りの1組は性染色体と呼ばれます。常染色体には1番から22番まで番号がついています。性染色体は、生物学的に男性か女性かを決定します。ヒトの場合には、もし性染色体がXYであれば男性、XXであれば女性です。
染色体の異常には、数や構造の異常があります。本来、2本1組であるはずの染色体が、1本多い3本になったり、1本だけになってしまうことを染色体の数に異常がある状態と考えます。染色体の構造異常の代表的なものは、欠失(けっしつ)、重複(ちょうふく)、転座(てんざ)、逆位(ぎゃくい)と呼ばれます。欠失は、染色体の一部が欠けている状態、重複は染色体の一部が二重になっている状態を指します。また、転座は染色体の一部が入れ替わっていることで、逆位は染色体の一部が上下逆になっていることを指します。

常染色体の異常による染色体疾患とは?

常染色体の数の異常で起きる染色体疾患には、21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)などがあります。21トリソミーでは、21番目の染色体の数が本来2本であるべきところが3本になっています。18トリソミー、13トリソミーでも同様に、それぞれ18番目の染色体が3本、13番目の染色体が3本になっています。21トリソミー(ダウン症)では、特徴的な顔つきになり、筋肉の緊張低下、成長や発達の障害、心臓や消化管の異常などが起きます。医療技術の向上により、寿命は以前より長くなっていて平均50-60歳です。支援を受けながら成長していくことが多いですが、スポーツや芸術で活躍している方もいます。18トリソミー、13トリソミーは、成長障害、呼吸障害、摂食障害、心疾患などを伴い、生まれたとしても運動面、知的面ともに強い遅れが出ることが知られています。生まれてくる前に子宮内で亡くなってしまうことも多く、生まれたとしても約90%は1年以内に亡くなるといわれています。
常染色体の構造の異常で起きる先天性染色体疾患には、5p-症候群、4p-症候群、22q11.2欠失症候群などがあります。5p-症候群では5番染色体の部分欠失、4p-症候群では4番染色体の欠失、22q11.2欠失症候群では22番染色体に小さい欠失を認めます。いずれの染色体疾患も、重度の精神発達障害を伴い、筋緊張の低下、心疾患なども合併することがあります。

性染色体の異常による染色体疾患とは? 

性染色体の異常による染色体疾患には、ターナー症候群やクラインフェルター症候群などが含まれます。性染色体も2本1組になっており、Xが2本の場合にはXXで女性、XとYが1本ずつの場合にはXYで男性になります。ターナー症候群では、X染色体2本であるはずのものが、X染色体1本となっていることが多いです。クラインフェルター症候群では、XYであるべきところが、XXYになっていることが多いです。特徴的な体つき、心疾患などを合併することがありますが、大人になってから不妊症で医療機関を受診して初めてわかるという場合もあります。

妊婦さんの年齢と染色体疾患の発生率の関係とは?

妊婦さんの年齢が上がると、胎児が染色体疾患を持つ確率が高くなることがわかっています。例えば、21トリソミー(ダウン症)に関しては、出産時に20歳の場合には1/1441、30歳の場合には1/959、35歳の場合には1/338、40歳では1/84の確率で発生すると言われています。

出生前診断でわかる染色体疾患とは?

出生前診断には、さまざまな種類があり、検査によって対象となる先天性疾患が違います。例えば、母体血清マーカー検査では染色体疾患である21トリソミー、18トリソミー、先天性の形態異常である開放性神経管欠損症のリスクを調べることができます。最近日本でも受けることができるようになったNIPTでは、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、染色体の微小欠失など多くの染色体疾患のリスクを判定できます。絨毛検査と羊水検査では、染色体疾患全般の診断を確定できますが、染色体の小さな変化などは見つけられないことがあります。

まとめ

先天性疾患の中で、染色体の異常によるものは染色体疾患と呼ばれます。生まれてくる赤ちゃんの約3-5%は先天性疾患を持つといわれていますが、そのなかで染色体疾患は約1/4を占めます。出生前診断には、さまざまな種類がありますが、主に染色体疾患を調べることを目的としています。検査の種類によって対象となる染色体疾患が異なることや小さな染色体の変化が診断できないことがあるので、事前に検査内容をよく理解しておくようにしましょう。

大切な命と安心な出産のために

当院では、ご希望される妊婦様、ご家族様がNIPT検査内容を理解して受けられる環境をご提供します。
新型出生前診断・NIPTは、お母さまの血液から胎児の3種類の染色体異常を調べることができる、スクリーニング検査です。

詳しくはこちら

運営者情報
NIPT平石クリニック

院長紹介
(ヒライシ タカヒサ)


専門は内科、消化器科、スポーツ医学。
いつでも頼りになる医療を、さらに日々進化する医療を常に身近に、皆様にとって、なんでも相談出来るようなクリニックを目指しております。

高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。


関連記事一覧