ダウン症の赤ちゃんを見分ける方法|超音波検査・羊水検査・NIPT
「高齢出産にあたるから、赤ちゃんの健康状態が心配」、「出産前にダウン症を見分ける方法が知りたい」と悩む人は多いですよね。
結論からいうと、妊婦検診で行われる超音波検査(エコー検査)やNIPT(新型出生前診断)で、ダウン症の可能性を調べられます。
超音波検査(エコー検査)でダウン症の可能性が示唆されたら、羊水検査や絨毛検査を行います。その結果ダウン症と認められると、確定診断が下されるのです。
この記事では、出産前のダウン症の見分け方や、出産後のダウン症の見分け方を紹介しています。ダウン症を見分ける方法が知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
妊娠中にダウン症の赤ちゃんを見分けられるのか?
「ダウン症かどうかを出産前に調べることはできないの?」と、赤ちゃんのダウン症について、不安を持っている人は多いですよね。
結論からいうと、超音波検査(エコー検査)でダウン症の可能性を判断できます。
超音波検査(エコー検査)では、ダウン症特有の身体的特徴を有していないか観察します。ただし、超音波検査(エコー検査)で確認できる身体的特徴だけでは、ダウン症の確定診断は下されません。
ダウン症を確定する検査は、超音波検査後(エコー検査)後に行われる、羊水検査や絨毛検査です。
エコー検査(超音波検査) | ダウン症の身体特徴を持っているか観察する |
---|---|
羊水検査 | 子宮内の羊水を採取し、染色体・遺伝子の異常を検査する |
絨毛検査 | 絨毛を採取して、培養する。染色体の形と数の異常を調べる |
超音波検査(エコー検査)でダウン症を疑われたら、羊水検査や絨毛検査が行われます。これらの検査にダウン症の診断が下されてはじめて、ダウン症が確定するのです。
また、超音波検査(エコー検査)でダウン症の身体的特徴を確認できるのは、妊娠11週以降からとなっています。
それよりも前は、赤ちゃんが小さいため、ダウン症の判断をするのが難しいでしょう。
羊水検査や絨毛検査については、下記の記事でくわしく解説しています。より詳細を知りたい人は、こちらもあわせてご覧ください。
ダウン症の赤ちゃんの見分け方
先ほど紹介したように、超音波検査(エコー検査)でダウン症の可能性を判断できるのは、妊娠11週以降です。
妊娠11週以降、赤ちゃんに以下の身体特徴が表れていると、ダウン症の可能性があります。
- 頚のうしろがむくんでいる
- 鼻の付け根が低い
- 頭の横幅が大きい
- 心臓の逆流が見られる
ダウン症の可能性がある胎児には、頚のうしろに強いむくみが生じています。ただし、頚のうしろに生じるむくみは、妊娠初期の胎児によく見られる生理的現象です。
しかし、ダウン症になっている場合、妊娠が進むにつれむくみが大きくなります。
ダウン症の身体的特徴をさらにくわしく解説していきます。
頚のうしろがむくんでいる
先ほども紹介したように、ダウン症の赤ちゃんはお腹にいる間、頚の後ろに強いむくみが現れます。このむくみは、胎児後頸部皮下透明領域(Nuchal Translucency:NT)と呼ばれ、すべての妊娠初期はすべての胎児にみられます。頚の後ろのむくみは、循環器の形成が進む妊娠後期には解消することが多いです。
しかしダウン症の胎児は妊娠後期になってもむくみが解消されず、むしろ大きくなってしまいます。
ただし、頚の後ろにむくみのある胎児すべてがダウン症というわけではありません。
鼻の付け根が低い
ダウン症の胎児には、鼻骨の成長に遅れが見られます。そのため、超音波検査(エコー検査)で観察したとき、ダウン症の赤ちゃんは鼻骨の短さを指摘されることが多いです。
鼻の付け根が低く、平坦に見える場合は、ダウン症の可能性があります。
ただし、遺伝的要因や個人差であることも考慮しなくてはいけません。
頭の横幅が大きい
ダウン症になっていると、頭の縦幅よりも横幅が大きい傾向にあります。
妊娠初期には、この特徴が現れません。通常は、成長によって顔がおおきくなると顔の横幅が小さくなっていきます。
しかし、ダウン症になっていると、成長が進むにつれて顔の横幅が大きく、縦幅が小さくなっていきます。頭の横幅については、ダウン症の赤ちゃんの約半数に見られる身体的特徴です。
妊娠中期以降、超音波検査(エコー検査)で胎児の頭の大き(BPD値)を測定します。
BPD値以外にも、下記の測定が行われます。
- 胎児の頭の横幅(BPD値)
- おなか周り(AC値)
- 大腿骨の長さ(FL値)
BPD値がFL値より明らかに大きい場合も、ダウン症の可能性があります。
心臓の逆流が見られる
ダウン症の赤ちゃんの約半数に、心臓疾患が見られます。そのため、心音や心臓の形に異常が見られる場合、ダウン症の可能性があるため、よりくわしい検査が必要です。
とくに、妊娠11週~13週の間に右心房と右心室の間にある弁に血液の逆流がみられると、心臓疾患が疑われ、ダウン症の可能性が高まります。
胎児の心臓に異常が見られると、胎児心臓エコー検査(心臓超音波精密検査)を行い、よりくわしく赤ちゃんの心臓を観察します。
つわりがダウン症に関係あるという噂は本当?
「つわりが軽いとダウン症の可能性があるって本当?」とネット上で広がっている噂に、不安を感じている人も多いでしょう。
結論からいうと、妊娠中の生活にダウン症は関係ありません。
つわりは女性ホルモンによって左右されるものです。
そのため、「つわりの有無がダウン症に関係している」とされる医学的根拠はありません。
しかし、高齢出産は先天性異常や染色体異常、流産リスクの高まりなどのリスクが高まります。体調に異常があるときや、出血があるときは、すぐにかかりつけの産婦人科を受診しましょう。
ダウン症の原因
ダウン症の原因は、染色体異常です。
ダウン症の胎児は、22ある染色体のうち、21番目の染色体が1本多く、47本見られます。この状態を21トリソミーと呼び、染色体異常の中で最も発生頻度が高く、誰にでも発症する可能性があります。
ダウン症で起こる染色体異常のほとんどが通常型です。
そのほかにも、転座型、モザイク型があります。
通常型 | 染色体の分離が成功せず、過剰な状態。 |
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転座型 | 染色体の一部が、ほかの染色体の上に移動している状態。 |
モザイク型 | 正常な細胞系列と過剰な細胞系列を持っている状態。 |
胎児に染色体異常が起こると、流産してしまう可能性が高いです。
しかし、21番目の染色体は染色体の中でもっとも小さく、遺伝情報が少ないため、無事に出生を迎えられるのではないかといわれています。
超音波検査(エコー検査)でダウン症の診断をできないことがある
超音波検査(エコー検査)は、確認できる範囲が狭く、胎児の体位によって診断が行えないこともあります。また、超音波検査(エコー検査)だけでは正しい診断が行えません。
そのため、ダウン症を疑われると、羊水検査や絨毛検査が行われます。
超音波検査(エコー検査)だけで正しい診断が行えないと聞くと、不安に思う人も多いでしょう。そんな人には、新型出生前診断(NIPT)がおすすめです。
新型出生前診断(NIPT)は、妊娠10週以降で行える出生前診断です。検査の方法は、お母さんから血液を採取して、赤ちゃんのDNA断片を分析します。
ダウン症に対する検査精度が高く、赤ちゃんの健康状態に不安がある人におすすめです。
ただし、新型出生前診断(NIPT)では確定診断が行えません。新型出生前診断(NIPT)で異常が判明したら、羊水検査や絨毛検査を行う必要があります。
新型出生前診断(NIPT)は、ダウン症以外にも多くの染色体異常・遺伝子異常を調べられます。
調べられる先天性疾患は以下の通りです。
ダウン症 | 21番目の染色体過剰 |
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エドワーズ症候群 | 18番目の染色体過剰 |
パドー症候群 | 13番目の染色体過剰 |
ターナー症候群 | X染色体の欠失 |
トリプルX症候群 | X染色体の過剰 |
クラインフェルター症候群 | X染色体の過剰 |
ヤコブ症候群 | Y染色体の過剰 |
ディジョージ症候群 | 22番目の染色体の欠失 |
1p36欠失症候群 | 1番目の染色体欠失 |
ウルフ・ヒルシュホーン症候群 | 4番目の染色体欠失 |
ねこ啼きき症候群 | 5番目の染色体欠失 |
プラダー・ウィリー症候群 アンジェルマン症候群 | 15番目の染色体の欠失 |
ダウン症の赤ちゃんの特徴
「出生前にダウン症と判断されなかったらダウン症の心配はない」と思っている人いるでしょう。実際に生まれたダウン症の赤ちゃんのうち、出生前に判明していたのは、全体の20%といわれています。
つまり、80%の人は、出産後にダウン症が発覚したことになります。
想像以上に多くの赤ちゃんが、出産後にダウン症の診断をされているので、驚いた人もいるのではないでしょうか。なかには、「うちの子は大丈夫?」と不安に感じた人もいるでしょう。
そこで、ダウン症の赤ちゃんの身体的特徴を紹介します。
- 目の間隔が広く、つり目がち
- 手のひらや指紋に特徴的なシワがある
- 手の指が短く、屈曲している
- 特徴的な耳の形をしている
ダウン症の身体的特徴について、くわしく解説していきます。
目の間隔が広く、つり目がち
ダウン症を持っていると、鼻骨の発育が遅いため、目の感覚が広く見えます。また、目が細く、つり上がっている「眼瞼裂斜上」と呼ばれる状態の人が多いです。
左右の眼球の向きが異なる、斜視を発症する確率も、通常より多いといわれています。
手のひらや指紋に特徴的なシワがある
ダウン症の人は手のひらに、一直線に深いシワを持っていることが多いです。
両手のひら真ん中に一直線に伸びるシワは、手掌単一屈曲線と呼ばれます。ダウン症だけでなく、先天的な遺伝性疾患の人に多く見られます。
また、通常指紋は円状になっていますが、ダウン症の人は横に流れる模様が生じます。
手の指が短く、屈曲している
ダウン症の人は、手が小さく横に広い人が多いです。小指の関節が1つ少なく、内側に曲がっていることも特徴です。
また、足の親指と人差し指の間が広い傾向にあります。
特徴的な耳の形をしている
ダウン症の人は、耳の形にも特徴があります。
その1つは、耳の位置です。耳介低位と呼ばれ、耳の上辺が目じりよりも下にあります。また、耳が小さく、耳の上部が内側に曲がっていたり、折れていたりします。
これらの変形により、「耳が聞こえにくい」。「難聴になってしまう」こともあるので注意が必要です。
ダウン症の赤ちゃんが生まれたらどう成長する?
「ダウン症の赤ちゃんが生まれたらどうなるの?」と疑問に思っている人もいますよね。
ダウン症の赤ちゃんの大半は、成人を迎えます。しかし、ダウン症ではない人と比べると平均寿命は短く、55歳ほどです。また、低年齢で記憶障害や知能低下、人格変化といった、認知症のような症状が現れます。
小児期は、心臓病と白血病になりやすいため、定期的な検査が欠かせません。
ダウン症が心配な人はNIPT(新型出生前診断)を受けてみよう
高齢での妊娠は、赤ちゃんがダウン症になる可能性を上昇させます。
「赤ちゃんがダウン症ではないか心配だ」と悩んでいる人は、NIPT(新型出生前診断)を受けてみましょう。NIPT(新型出生前診断)なら、お母さんの腕から採血をして検査をするため、流産リスクがありません。
また、ダウン症以外の遺伝性異常や染色体異常を検査できます。
NIPT(新型出生前診断)は、開始から5年間で6万人近い人が検査を受けているものです。
採血のみで検査ができるので、赤ちゃんの先天性疾患が気になる人は、ぜひ検査を受けてみてください。
赤ちゃんのダウン症は出産前に見分けられる
赤ちゃんがダウン症かどうかは、出産前に見分けられます。主に用いられる方法は、超音波検査(エコー検査)です。
しかし、超音波検査(エコー検査)は、胎児の向きによって、正しく診断できないこともあります。また、出生前にダウン症の確定診断が出る確率は20%程度にとどまるため、確実に診断できる方法を探している人もいるでしょう。
そんな人には、新型出生前診断がおすすめです。お母さんの腕から採血することで、高い確率でダウン症の可能性を診断できます。
多くの先天性疾患を検査できるので、赤ちゃんの健康状態が気になる人は、ぜひチェックしてみてください。