出生前診断を受ける年齢別の割合|30代以上でなければ受検できない?

出生前診断を受ける年齢別の割合|30代以上でなければ受検できない?

この記事は6/16より前に公開された記事になります。
正確な情報は以下を参照ください。
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>2022年6月16日更新:日本医学会の運営委員会より発表
・新型出生前診断の年齢制限が撤廃の方針
・NIPTの認証医療機関を全国169機関に拡大
出典:出生前検査認証制度等運営委員会(https://jams-prenatal.jp/medical-inspection.html)

出生前診断を受けるのに、ためらいや不安を感じていませんか?

この記事では「出生前診断を受ける年齢別の割合」について紹介します。

その他にも「海外での出生前診断(NIPT)の受検状況」や「出生前診断の種類」についても解説するので、出生前診断を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

また「高齢出産の対策やリスク」については、こちらで解説を行っていますのでぜひ確認してみてくださいね。

出生前診断(NIPT)を受ける年齢別の割合

出生前診断(NIPT)を受ける年齢別の割合

胎児の染色体異常などを調べる出生前診断(NIPT)は、国立成育医療研究センターの調査によると、国内実施件数が年々急増しています。

では「どの年代が一番受ける割合が多いのか」とあるクリニックで約1万人の妊婦さんに実施された年齢別の数字は以下の通りです。

年代人数
10代1人
20代1526人
30代前半3478人
30代後半3768人
40代1233人
50代1人

数字を見てもわかるように、30代が圧倒的な割合を占めています。
また、国立成育医療研究センターなどの調査では、出生前診断(NIPT)の実施を希望する妊婦さんは年間で約17万人いることがわかりました。
さらなる調査から、年間で約90万人の方が妊婦となりますが、そのうち34歳以下の妊婦さんが63万人(全体の15%)、35歳以上の妊婦さんが27万人(全体の30%)が出生前診断(NIPT)を希望する結果が出ているのです。

しかし、希望を申し出ていないだけで実際はもっと多くの妊婦さんが希望しているのではないかと考えられているため、あくまでも最低ラインの数字として見ておきましょう。

高齢出産の4人に1人が出生前診断(NIPT)を受診

高齢出産にあたる35歳以上の約4人に1人が出生前診断(NIPT)を受ける傾向にあります。

なぜ多くの高齢出産者が出生前診断(NIPT)をするのか、主な理由は以下の通りです。

  • 赤ちゃんが重篤な病気を持っているかを知るため
  • 赤ちゃんが先天的な奇形を持っているかを知るため

出産前の検査には、形態異常を調べるための超音波(エコー)検査や、染色体異常を調べるための母体血清マーカー検査・コンバインド検査・新型出生前診断(NIPT)・絨毛検査・羊水検査などがあります。これらの検査から赤ちゃんに異常がないかを確認し、出産までの時間を安心して過ごしたいという人が、高齢出産者の4人に1人の割合でいるのです。

過去の指針ではNIPTは35歳以上だったが変更になった

過去の指針ではNIPTは35歳以上

過去の指針としては、NIPTは35歳以上が対象とされてきました。
しかし近年では、日本医学会がの新指針の発表により、検査の年齢制限が無くなることが決まったのです。

そして2022年4月以降からはすべての妊婦がNIPTを受けられるようになりました。

高齢出産とは

高齢出産は35歳過ぎからとされています。
しかし、近年では晩婚化の進行や女性の社会進出により出産年齢の高齢化が加速している状況です。そもそも、高齢出産が一般的に危険視されているのには以下のような理由があります。

  • 妊娠出産能力の低下
  • 胎児(赤ちゃん)が障害を持つ確率の上昇
  • ダウン症の確率の上昇

20代の出産の場合、赤ちゃんが障害を持つ可能性は約1/400以下、ダウン症になる確率は約1/1000以下といわれています。しかし、35歳以上の出産により障害を持つ赤ちゃんが生まれる可能性は1/192、生まれてくる子がダウン症になる確率は1/385となります。
20代で出産するよりもその確率は上昇しているのです。

海外での出生前診断(NIPT)の受検状況

海外での出生前診断(NIPT)の受検状況

もともと出生前診断(NIPT)はアメリカで開発されたものです。

今はアメリカをはじめ、イギリスやデンマーク、ここ日本など様々な国で実施されています。
各国の受検状況を見る前に、まず非確定検査と確定検査について知っておきましょう。

非確定検査新型出生前診断(NIPT)・超音波検査・母体血清マーカー検査

母子への負担は少ないが、検査によって感度にばらつきがあり、四角な診断を得るには確定検査が必要です。

確定検査羊水検査・絨毛検査

おなかに直接針を刺して検体を採取します。母子へのリスクが大きく、流産する可能性もあります。

上記の検査は決して国から推奨されているものではありません。確定検査に至ってはリスクが大きく、検査するにも大きな覚悟が必要となるでしょう。

では、どのくらいの国で出生前診断(NIPT)が行われているのか、海外の出産前の診断について詳しく見ていきます。下記のデータを踏まえると、出生前診断(NIPT)の普及は日本ではやや遅れていると言えるでしょう。倫理的な部分を重んじる日本では、出生前診断(NIPT)はできるだけ推奨したくないのかもしれません。

日本の受検状況

日本の受検状況

日本における出生前診断(NIPT)の受検状況は以下の通りです。(2008年調べ)

  • 非確定的検査の受検率ー全体の1.7%
  • 確定的検査受検率ー全体の1.2%

なお日本の方針としては、すべての妊婦さんに出生前診断(NIPT)の説明や推奨はされていません。

アメリカの受検状況

アメリカにおける出生前診断(NIPT)の受検状況は以下の通りです。(2010年調べ)

  • 非確定的検査の受検率ー全体の70%
  • 確定的検査受検率ー全体の5~10%

なお、アメリカでは日本と違い、すべての妊婦さんに出生前診断(NIPT)の説明が行われています。

デンマークの受検状況

デンマークにおいての受検状況は以下の通りです。(2006年調べ)

  • 非確定的検査の受検率ー84.4%
  • 確定的検査受検率ー5.4%

アメリカと同様、デンマークでもすべての妊婦さんに出生前診断(NIPT)の説明が行われています。

イギリスの受検状況

イギリスにおいての受検状況は以下の通りです。

  • 非確定的検査の受検率ー88%(2009年調べ)
  • 確定的検査受検率ー2.9%(2008年調べ)

なお、アメリカやデンマークと同様、イギリスでもすべての妊婦さんに出生前診断(NIPT)の説明が行われています。

21トリソミー(ダウン症候群)の傾向

21トリソミー(ダウン症候群)の傾向

21トリソミーとは、一般的にはダウン症候群と呼ばれていて21番染色体の異常により引き起こされます。

21トリソミー状態としては知的障害、小頭症、低身長、そして特色のある顔になるのが特徴です。

母体年齢と21トリソミー(ダウン症候群)の頻度

21トリソミー(ダウン症候群)の出現頻度は出産時の母体年齢に左右されます。母体の年齢が上がるにつれてリスクは高くなる傾向です。

このダウン症候群児の多くは、35歳未満による出産が多いことから、35歳以上の出産によるダウン症候群児の比率は約20%と言われています。35歳未満よりも少ない数字となるのです。

なお、21トリソミーの出生時リスクは20歳時点で1/2000ですが、40歳時点で1/100となることから出産時の年齢は大きく関係すると言われています。

出生前診断(NIPT)の種類

出生前診断(NIPT)の種類

出生前診断(NIPT)とは、お腹の中の赤ちゃんの染色体異常や先天的な障害が無いかを調べる検査です。

ただし、出生前診断(NIPT)には様々な方法があります。それぞれの特徴や費用について解説していきましょう。

超音波(エコー)検査

超音波(エコー)検査とは、妊婦検診として定期的に行われる超音波を使った検査です。お腹の中の赤ちゃんには直接触れることはできませんが、超音波を使って赤ちゃんの状態を確認できます。
また、エコーの種類には、経膣エコーと経腹エコーがあり、初期と中期以降で使い分けられています。

検査にかかる費用は一般的に約2~3万円。

自治体によっては妊娠健診で無料で検査してくれるところもあります。出生前診断(NIPT)の非確定的検査のひとつで、すべての妊婦が受けられる検査です。

母体血清マーカー検査

母体血清マーカー検査

母体血清マーカー検査は、妊娠15週から18週の妊婦が対象の血液検査です。血液検査でも血液中の3種類の成分を測定するトリプルマーカーテスト、4種類の成分を測定するクアトロテストがあります。
血液中から、ダウン症、エドワーズ症、パトウ症などの染色体異常を調べられます。

検査にかかる費用は約1万円です。

出生前診断(NIPT)の非確定的検査のひとつで、希望者のみが受けられます。

コンバインド検査

コンバインド検査は、妊娠初期に超音波検査を行う時期に、染色体変化のスクリーニングを同時に行う胎児染色体異常を確認する検査です。胎児の首の後ろのむくみの厚さを計測し、さらに妊婦の採血検査を組み合わせてリスクを計算します。

検査にかかる費用は約3~5万円。

出生前診断(NIPT)の非確定的検査のひとつで、希望者のみが受けられます。

新型出生前診断(NIPT)

新型出生前診断(NIPT)

NIPT検査は、妊娠10週から14週ごろまでに実施する検査です。母体の血液中にある赤ちゃんのDNA断片を集めて、染色体異常の可能性を検査・診断します。

検査にかかる費用は約15~20万円。

新型出生前診断(NIPT)も非確定的検査のひとつで、希望者のみが受けられます。

絨毛検査

絨毛検査は、妊娠10週から13週ごろまで実施可能な検査です。赤ちゃんの胎盤の組織の一部である絨毛を採取し、胎児の染色体異常や遺伝子疾患を診断します。

検査にかかる費用は約10~15万円。

出生前診断(NIPT)でも確定検査に分類され、リスクの高い検査となります。

羊水検査

羊水検査

羊水検査は、妊娠15週から16週以降に受けられる検査です。子宮に長い針を刺し羊水を採取し、羊水中に含まれる胎児の細胞を調べ、ダウン症候群、13トリソミー、18トリソミーなどの染色体異常を診断します。

費用は約10万円~15万円。

羊水検査も確定検査であるため、母子にとってはリスクの高い検査です。

認定施設で受検する場合の条件

出生前診断(NIPT)は30代前半では受けられない可能性

認定施設で受検する場合は、以下の条件に該当していなければ受検可能となります。

  • 胎児超音波検査で、赤ちゃんが染色体異常の可能性が示唆された
  • 母体血清マーカー検査で、赤ちゃんが染色体異常の可能性が示唆された
  • 染色体異常のある赤ちゃんを妊娠したことがある
  • 両親のいずれかが均衡型ロバートソン転座で、赤ちゃんが13トリソミーまたは21トリソミーとなる可能性が示唆される場合

高齢出産の定義と年齢による染色体異常

高齢出産の定義と年齢による染色体異常

35歳以上であれば高齢出産とされていますが、「高齢出産」には厳密な定義がありません。 近年では晩婚化や晩産化が多くなっています。

しかし事実として、女性の年齢が上がるほど、妊娠による何らかのリスクは高まってしまうと受け入れなければなりません。 特に赤ちゃんに染色体異常が起こる可能性には、母親の年齢が大きく関わっていると考えられています。

とはいえ、妊婦さんの年齢が30代・40代になったからといって、必ずしも赤ちゃんに異常が起こるとはいえません。しかし、染色体の異常が起こる確率は、20代の若い時と比べると高くなることは知っておきましょう。

NIPT(新型出生前診断)は年齢に関わらず受検可能

出生前診断は年齢に関わらず受検可能

現在、NIPT(新型出生前診断)は、認定施設・認定外施設いずれにおいても年齢制限はありません。

認定施設、認定外施設それぞれにメリット・デメリットがあるので自分に合った施設探しを行うようにしてきましょう。

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