【妊娠太りに注意】食べづわりへの効果的な対策とは
妊婦さんにありがちな症状といえば「つわり」です。つわりの種類はいくつかあり、すべてを足すと50%以上の妊婦さんにみられます。そのなかでとくに辛いと言われるのが食べづわり。
お腹が空くと気持ちが悪くなってしまうのです。 何か食べると症状が軽減するため、つい食べ過ぎて不必要に太ってしまうことも。そこでこの記事では、食べづわりへの効果的な対策をご紹介していきます。
また、NIPT(新型出世前診断)に関心のある方は、こちらの記事で詳しく説明しているのでぜひご覧ください。
食べづわりとは
食べづわりとは妊婦さんにみられるつわりの一種です。つわりといえば「吐き気のせいで食べ物が取れず、母親、胎児共に栄養不足になる原因」と考えるのが一般的ですが・・・
食べづわりは、空腹時に吐き気をもよおす症状であり、何かを食べることで緩和されます。そのため、食べづわりの妊婦さんは太ってしまいがち。
健康的に太るのなら問題はありませんが、過剰に太ってしまうと出産に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。
食べづわりの時期
食べづわりを含むつわりの症状は妊娠5~6週に始まります。11~13週目にピークを迎え、その後少しずつ落ち着いていくのが一般的。
妊婦さんの約半数は14週目頃におさまり、22週目頃には約90%の人がおさまります。ただし、臨月までつわりが続いた妊婦さんもおり、おさまる時期に関しては個人差があります。
なお、8~9週目に最もつらい時期を迎える妊婦さんが多いようです。
妊娠時の適正体重は?
前述の通り、食べづわりの問題点は食べすぎて妊娠太りしてしまうことです。そのため、食べづわりがある妊婦さんは常に体重をチェックしておくべき。
日本産科婦人科学会では、妊娠中の体重増加の目安をBMIを用いて次のように示しています。(※BMIの計算式=妊娠前の体重『kg』÷身長『m』÷身長『m』)
妊娠前の体型 | 妊娠前の体型 | 理想の体重増加 |
18.5未満 | 瘦せ型 | 12~15㎏の増加 |
18.5~25.0未満 | 普通体型 | 10~13㎏の増加 |
25.0~30.0以上 | 肥満体型 | 7~10㎏の増加 |
30.0以上 | 高度の肥満体型 | ~5㎏の増加 |
ちなみに、妊娠による体重増加の内訳は次の通りです。(普通体型の場合:約12㎏)
- 胎児の体重 約3㎏
- 子宮内の胎盤や羊水の重さ 約1.5㎏
- 肥大した分の乳房や子宮分の重さ 約1~1.5㎏
- 妊娠により増加する血液や水分の重さ 約2~3㎏
- 出産や授乳に備えて増加した脂肪の重さ 約2.5~3㎏
食べづわりによる悪影響
食べづわりで体重が増えて過度の妊娠太りになると、妊娠高血圧症候群などのリスクが上がります。また、妊娠さんが食べ過ぎてしまうことで胎児の体重が増加し、難産になることもあります。
したがって、無事に出産を終えるには、食べづわりによる過度の妊娠太りを防がなければなりません。
<食べづわりによる悪影響>
- 妊娠高血圧症候群
- 妊娠糖尿病
- 巨大児の分娩
- 帝王切開による分娩
妊娠高血圧症候群
妊娠高血圧症候群とは、妊娠20週以降、分娩後12週までに高血圧がみられる状態をさします。(過去には妊娠中毒症と呼ばれていました)
高血圧・蛋白尿・むくみがおもな症状。特に蛋白尿はより重症に分類されます。
体重の増加以外の要因として、年齢(15歳以下、40歳以上)、合併症、易血栓形成性、出産回数(初産)などがあります。
妊娠糖尿病
妊娠糖尿病は妊娠中に初めて診断された糖代謝異常のことをいいます。(妊娠前から糖尿病と診断されている場合は糖尿病合併妊娠)
日本産科婦人科学会によると、妊婦さんの7~9%程度は妊娠糖尿病とのこと。妊娠糖尿病は胎児にも影響が出るため、定期的な妊婦健診は欠かせません。
なお、過去に4,000g以上の大きな赤ちゃんを出産したことのある妊婦さんは妊娠糖尿病を発症する可能性が高いと言われています。
巨大児の分娩
食べづわりによる妊娠太りの結果、胎児が巨大化することがあります。身体が大きいのは健康的な証拠と思うかもしれませんが・・・
胎児の体が大きいことで鎖骨骨折や四肢長管骨骨折などの分娩損傷を招く恐れが。
最悪の場合は、周産期仮死になることもあります。過度の巨大化は出産リスクが高くなるということを覚えておきましょう。
帝王切開による分娩
胎児が巨大化して自然分娩が難しいと判断された場合は、帝王切開をすることになります。医学の発達によって帝王切開の安全性が増したとはいえ、腹部や子宮を切開することで術後に血栓症や臓器の癒着などが起こる可能性があります。
ちなみに、日本人妊婦さんにおける帝王切開の割合は約20%です。
食べづわりによる妊娠太りを防ぐ方法
食べつわりによる妊娠太りは出産に悪影響を及ぼすことがあります。とはいえ、食べづわりの吐き気も抑える必要があり、ある程度は食べなければなりません。
そこで、できるだけ妊娠太りを防ぐぎながら食べづわりをおさえていく方法をご紹介します。
食事を小分けにする
食べづわりがくる度に何かを食べるということを想定した場合、1回の食事の量を減らして小分けにするのが有効です。
具体的には1日3回の食事から6回に増やすこと。各回の量を従来の半分程度にすれば、食べづわりと妊娠太りの両方を防ぐことができます。
手軽に食べられる物を用意しておく
食べづわりの症状が現れたときはできるだけ早く症状をおさえたいはず。
そのため、食事は手軽に食べられて、完成状態で保存がきくものにしておくと非常に便利です。「サンドイッチを冷蔵庫に入れておく」「小袋の栄養補助食品を用意しておく」などの工夫をすると良いでしょう。
ローカロリーな食品を選ぶ
「食べづわりのせいでどうしても食べ過ぎてしまう」という人もいることでしょう。食欲を我慢してストレスをためこんでしまっては身体によくないので、食欲旺盛な人はある程度食べなければなりません。
そこでおすすめなのがローカロリーな食べ物。糖質や脂質を控えつつ、腹持ちの良い食品を選んでください。また、添加物の少ないヘルシーな食事を心掛けることも大事です。
空腹を紛らわす食品を利用する
空腹をおさえるにはガムが効果的です。飲み込まずに咀嚼を続けることで脳の満腹中枢が刺激されます。その結果、「今は満腹だ」と脳が誤解し、空腹感を紛らわすことができるのです。
ガムはできるだけ糖質の少ないものを選び、すぐ食べられるように常に持ち歩くようにしましょう。
水分を多めにとる
水分不足は食べづわりの吐き気を悪化させる要因になります。特に夏場は汗をかくことで水分不足になりやすく、こまめな補給は必須。
ただし、冷たい飲み物は胃の活動を減退させ夏バテの原因となるので、できるだけ常温のものを飲むようにしてください。
マッサージをする
食べづわりによる吐き気をおさえるために食べてしまうというのであれば、そもそも吐き気がなければ良いということになります。
その意味で効果的なのが体のマッサージ。マッサージは血行を促進し、ストレスを緩和することができます。精神的なストレスから食べづわりの症状がでるケースは大変多いので、しっかりマッサージしてリラックスすることに努めましょう。
周囲の人の協力を得る
身近な人に食べづわりのことを打ち明け、食べ過ぎを抑制してもらうのも良い方法です。
人は精神的に弱い生き物なので、つい自分に甘くなりがち。それが食べ過ぎに繋がってしまうことは多々あり、身近な人がいればとめてもらえます。また、低カロリーな食べ物に関する知識を共有しておけば、食欲を満たしつつ妊娠太りを防ぐ食生活が可能になります。
食べづわりに効果的な食品・食べ物
同じ食べるにしても、できるだけ妊娠太りしくいものを選ぶのが食べづわり克服のカギ。
そこで、妊娠太りしにくいという観点から、効果的な食べ物をご紹介します。
ゆで卵
少量でも意外と食べ応えがあり、なおかつ栄養価が高いのがゆで卵です。
ゆで卵は良質なタンパク質とビタミンEが豊富。さらに作り置きや持ち歩きもできるということで、食べづわりの妊婦さんには持ってこいです。
ちなみに、ゆで卵1個のカロリーは80キロカロリー。お茶碗にもったご飯の3分の1程度しかありません。
スープ
スープは水分補給と作り置きができる食べ物です。様々な味のスープがあるので、毎食食べても飽きることはありません。
ポイントは腹持ちが良い具材を使うことと、各具材を加熱し過ぎないこと。具だくさんだと栄養価が高いように見えますが、長時間の加熱はビタミンやタンパク質を分解してしまいます。
つまり、煮込み過ぎたスープに栄養価はほとんど残っていないのです。野菜であれば歯応えが残る程度、肉であれば赤っぽい色がなくなる程度で加熱を止めてください。
ヨーグルト
ヨーグルトは分量の割にタンパク質が多い点や冷蔵庫から出してすぐに食べられる点が長所。さらに、免疫力を高めるのにも有効です。
ただし、商品によっては糖質が高いことがあるので要注意。また、免疫力を高めたいなら、毎日食べ続けることが必須となります。
おにぎり
糖質は高めですが、味のバリエーションが豊富で持ち運びできるという点においておにぎりは優秀です。
通常の半分程度のサイズに握るのがコツ。冷凍しておけば電子レンジを使って1~2分で食べることができます。
生姜
オーストラリアAdelaide大学産婦人科が研究したところによると、生姜を摂取した妊婦さんの約53%が「つわりの症状が軽くなった」と回答したそうです。(引用:日経メディカル)
生姜に吐き気を止める作用があることは昔から知られていたことですが、それが学術的に証明されたのは初めてのこと。
妊娠初期の妊婦さんに乾燥生姜粉が350mg入ったカプセルを1日3回3週間飲んでもらたところ、半数以上の人に吐き気止めの効果が表れました。
ちなみに、生姜1日分(350㎎×3回)とはすりおろした生姜小さじ1杯ほどの量です。
野菜スティック
腹持ちの良さとローカロリー、栄養価の高さという観点で優秀なのが野菜スティックです。セロリや人参、キュウリ、大根などをローカロリーなディップ付けて食べれば立派な食事。実際に食べてみると分量の割にお腹いっぱいになります。
意外と手間とコストがかかるのが難点ですが、ビタミンと食物繊維の補給ができるので大変おすすめです。
ゼリー
低カロリーなのにしっかり食べた感覚を味わえるのがゼリーです。ヨーグルトや果汁100%ジュースに寒天を混ぜて固めれば、自宅で簡単に作ることができます。
市販のものより低カロリー・低コストなので、デザート系を食べたい人はぜひ試してみてください。
食べても食べづわりがおさまらない時の対処
食べづわりをおさえるには食べることが有効とご紹介しましたが、稀に食べても食べづわりがおさまらないことがあります。
吐き気が止まらないので非常に厄介なのですが、それ以上食べると妊娠太りに。そもそも、ある程度食べても吐き気が止まらないわけで、さらに食べたところでおさまるとはかぎりません。
そこで、このような場合は次の方法をとってください。
- 静かに寝て過ごす
- 他のことに集中する
静かに寝て過ごす
「横になって静かにしていたら食べづわりがおさまった」という報告例は非常にたくさんあります。医学的に何がどう効果的なのかは分かっていませんが、報告例が多いことから試してみる価値は十分。
ゆっくりとマッサージをしたり好きな音楽を聴いたりと、リラックスできる環境で横になっているとより効果的なようです。
他のことに集中する
子供のころ、「膝を擦りむいているのに遊びに夢中で痛みを感じなかった」、という経験をした人は多いと思います。
これは意識が痛みとは別のことに向いているから。同じことは食べづわりにもいえるようで、「何かに集中しだすと食べづわりを忘れる」と語る妊婦さんは大勢います。仕事や好きな映画、趣味などに疲れすぎない程度に集中すると、吐き気が止まることがあるようです。
食べづわりからくる妊婦太りには要注意
この記事では、食べづわりからくる妊婦太りの影響と対策についてご紹介しました。食べづわりは妊婦初期にみられる症状で、通常は何かを食べることでおさまります。
しかし、食べ過ぎてしまっては母体と胎児の両方に悪影響。そのため、何をどう食べるかが非常に大事です。
本記事でご紹介した食べ物・食べ方やその他の対策を試しつつ、分娩に影響を及ぼすような妊娠太りは絶対に避けるようにしてください。