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帝王切開のリスクとは?メリットや手術日の流れも解説


帝王切開と聞くと「おなかを切るのは怖い」と思う方も多いかもしれません。

もちろん帝王切開はリスクもありますが、メリットもあります。
今回は帝王切開のリスクやメリットについて解説していきます。

他にも

  • 帝王切開の種類
  • 帝王切開の流れ
  • よくあるQ &A
  • 帝王切開の切り方
  • 帝王切開の費用

について紹介します。この記事を読めば帝王切開について網羅的な知識が手にはいるので、ぜひ最後まで読んでみてください。

帝王切開とは子宮を切り開く出産方法

帝王切開とは子宮を切り開く出産方法

帝王切開は出産方法のひとつで、子宮を切り開いて分娩する方法です。

厚生労働省のデータによると「病院で出産した人の25.8%」「診療所で出産した人の14%」が帝王切開で出産しています。件数で計算するとおよそ5人に1人が帝王切開です。
帝王切開が増えた理由は3つほど考えられます。

  • 医療技術の進歩による帝王切開のリスクの低下
  • 高齢出産の増加による自然分娩のリスクの増加
  • 不妊治療によって双子など多胎妊娠が増え、難産が多くなったから

なにが起こるかわからない経膣分娩よりも安全に管理できる帝王切開を望む妊婦さんが増えたということです。

帝王切開の種類

帝王切開の種類

帝王切開には

  • 予定帝王切開
  • 緊急帝王切開

という2つの種類があります。

予定帝王切開

予定帝王切開とは事前の検査などで経膣分娩がむずかしいと判断された場合に、まえもって計画しておこなわれる帝王切開のことです。
以下の対象に当てはまる方は予定帝王切開での出産がすすめられます。

  • 逆子
  • 双子以上の多胎妊娠
  • 胎盤が子宮の出口を塞いでいる(前置胎盤)
  • 子宮筋腫の手術を受けたことがある
  • 2回以上帝王切開をしている
  • 以前に子宮縦切開や逆T字切開という方法で帝王切開を行なった
  • 1人目を帝王切開で出産し、医師から2人目も帝王切開で出産するように言われた

以上の条件にあてはまらなくても、希望して医師に認められれば帝王切開での出産はできます。またおかあさんが疾患を抱えており、経膣分娩だと母体に負担がかかりすぎてしまう場合も帝王切開が行われます。

緊急帝王切開

緊急帝王切開

緊急帝王切開とは経膣分娩を予定していたものの、妊娠の経過中や出産中になんらかの理由で経膣分娩がむずかしいと判断された場合に緊急で行われる帝王切開です。
緊急帝王切開になる場合は、赤ちゃん側とおかあさん側の理由があります。

赤ちゃん側の理由

  • 心音の低下や仮死兆候などの胎児機能異常
  • 赤ちゃんの体がどこかに引っかかるなどの遅延分娩

おかあさん側の理由

  • 常位胎盤早期剥離や前置胎盤の大量出血、臍の緒の脱出などによって予定よりも早く分娩が開始してしまった場合
  • 妊娠高血圧症候群などによっておかあさんの体調が悪化し、妊娠継続がむずかしいと判断された場合

このようになんらかの異常事態で経膣分娩がきびしい状態になった場合に緊急帝王切開がおこなわれます。

帝王切開のメリット

帝王切開のメリット

帝王切開にはさまざまなメリットがあります。

帝王切開のメリット

  • 陣痛がない
  • 出産時間が短い
  • 出産日が事前に決まっている

陣痛がない

帝王切開をおこなう場合は麻酔が使用されます。陣痛を感じずに出産を終えることができるので、おかあさんの精神的な負担はすくないです。

予定帝王切開の場合は局所麻酔、緊急帝王切開の場合は安全に早くおわらせるために全身麻酔になることもあります。
局所麻酔の場合は脊椎麻酔か硬膜外麻酔のどちらかです。
脊椎麻酔は背中に針をさして薬を注射し、硬膜外麻酔では背骨にある硬膜外腔という場所に管を入れて、そこから薬を注入します。

出産時間が短い

出産時間が短い

経膣分娩だと陣痛から出産まで初産婦だと12〜15時間、経産婦でも5〜7時間ほどかかります。

帝王切開をおこなえば、およそ1時間程度で出産を終えることができるので、おかあさんへの負担はかなり軽くなります。
おなかを切るのは怖いというイメージが先行してしまいがちですが、負担をすくなく出産できるなどのメリットにも目を向けてみても良いでしょう。

出産日が事前に決まっている

経膣分娩では自然に陣痛がおきるのを待つので、ある程度のタイミングは把握できても出産日まで予測するのはむずかしいです。

帝王切開ならはじめから出産日が決まっているので、家族も予定が組みやすいでしょう。赤ちゃんを迎える準備を万全にしてから出産できるのはおおきなメリットと言えます。

帝王切開のリスク(デメリット)

帝王切開のリスク(デメリット)

帝王切開にはリスクも伴います。

帝王切開のリスク

  • 傷跡が残る
  • 古傷の痛みやかゆみ
  • 癒着リスク
  • 心の傷
  • 次回妊娠時に前置胎盤になりやすい
  • 2人目3人目は子宮破裂のリスクが上がる

傷跡が残る

帝王切開ではおなかを切るので、当然ながら傷跡が残ります。

帝王切開には横切開と縦切開の2種類がありますが、傷が目立ちにくいのは横切開です。そのため予定帝王切開では横切開がえらばれることが多いです。

緊急帝王切開の場合は手術時間をみじかくするために縦切開がえらばれることもあります。縦切開はどうしても傷跡が目立ちやすくなってしまいますが、筋肉の損傷が少なく、術後の回復も早いです。

古傷の痛みやかゆみ

古傷の痛みやかゆみ

帝王切開に限りませんが、皮膚を切開したあとは後遺症として痛みやかゆみが残ります。痛みは皮膚の下の筋肉組織が完全になおっていないため起こると言われています。交感神経と深くかかわっているので、頭痛や吐き気などの症状としてあらわれることもあるでしょう。
運動や呼吸などで自律神経のバランスをととのえ、からだの緊張をほぐして予防するようにしてください。

かゆみに関しては血行の促進や乾燥によってひきおこされます。感染症のリスクがあるので、かゆみを感じてもかいてはいけません。

癒着リスク

癒着リスク

癒着リスクとは開腹した傷跡がなおっていく過程で、本来は離れるべきはずの組織同士がくっついてしまうことです。癒着は90%の確率で発生するといわれています。帝王切開では傷がなおる過程で子宮と膀胱などがくっついてしまうことがあります。

癒着がおこっても後遺症がない場合もおおいですが、稀に慢性的な下腹部痛や膀胱の機能障害、イレウスなど腸の機能障害が発生します。また組織の癒着があるとその後に開腹手術をおこなう際に組織同士を剥ぐ作業が必要です。

癒着しているかどうかは開腹してみないとわかりません。後遺症も必ずおこるわけではありませんが、リスクとして知っておきましょう。

心の傷

帝王切開で出産した妊婦さんのなかには、理想通りの出産ができなかったと後悔する方もいます。特に緊急帝王切開の場合は心の準備もできないまま進んでいくので、後悔する方もおおいです。また周りから心ないことばを言われることもあるでしょう。

このような心の傷はその後の育児に悪影響をもたらす可能性があります。ストレスや不安を感じた場合は1人でかかえこまず、家族や友人に話をきいてもらうようにしましょう。

次回妊娠時に前置胎盤になりやすい

次回の妊娠時に前置胎盤になりやすい

前置胎盤とは胎盤が通常よりも低い位置にできてしまい、胎盤が子宮の出口をふさいでしまっている状態をさします。

通常の分娩では赤ちゃん→胎盤という順番で出てきますが、前置胎盤では胎盤→赤ちゃんという順番になってしまいます。胎盤が赤ちゃんより先に出てきてしまうと胎盤が出る時に大量出血してしまい、赤ちゃんも呼吸ができません。そのため前置胎盤の場合は100%帝王切開でおこなわれます。

前置胎盤の原因はわかっていませんが、帝王切開によってリスクがたかまると言われています。

2人目3人目は子宮破裂のリスクが上がる

2人目3人目は子宮破裂のリスクが上がる

帝王切開を複数回おこなった妊婦さんは0.2%〜0.5%で子宮破裂を発症するといわれています。1度切った組織はどうしても弱くなりやすくなってしまうからです。

子宮破裂が起こった場合、母体が生命の危険にさらされる可能性があります。子宮破裂での死亡率は1%から2%です。

ほぼ子宮破裂が起こる確率はありませんが、リスクの1つとして知っておきましょう。

帝王切開の流れ

帝王切開の流れ

帝王切開は以下の流れでおこなわれます。

  1. 手術前日
  2. 手術当日
  3. 手術後

手術前日

事前に帝王切開が決まっている予定帝王切開では手術の前日から入院になります。

入院後はノンストレステストや健康チェック、手術の説明がおこなわれます。シャワーや排泄は普段通りですが、施術部位の剃毛が必要です。前日の行動制限はありませんので、自由にリラックスして過ごしましょう。

手術当日

手術当日

手術当日は起床後、ノンストレステストや赤ちゃんとおかあさんの健康チェックがおこなわれます。

チェックが終わったら、浣腸や尿管カテーテルなどを挿入し、手術の準備です。術後はからだを自由に動かせませんので、貴重品の管理はこのタイミングで済ませておきましょう。

予定帝王切開は局所麻酔なので、赤ちゃんの産声をきくことができます。

手術後

麻酔がきれるとお腹の傷が痛みだします。痛みが我慢できない場合は痛み止めを処方してもらいましょう。

安静にしておいた方がなおりが早いと思われがちですが、経過が良ければ少しずつからだを動かした方が回復は早くなります。

  • 当日か翌日から赤ちゃんへの授乳開始
  • 食事はだいたい翌日から
  • 抜糸や医療用ホチキスをはずすのは約1週間後
  • シャワーは術後1週間後から
  • 入院期間も1週間〜10日程度

帝王切開でよくあるQ&A

帝王切開でよくあるQ &A

続いて帝王切開でよくあるQ &Aを紹介していきます。

  • 1人目が帝王切開なら2人目も帝王切開の方が良い?
  • 高齢出産は帝王切開の方が安心?
  • 帝王切開の傷口のケアは?
  • 帝王切開でも後陣痛は起こる?

1人目が帝王切開なら2人目も帝王切開の方が良い?

2人目も帝王切開になるかどうかはケースによって異なります。

経膣分娩が可能なケース

  • 帝王切開が1回のみ
  • 以前の帝王切開が横切開で、経過に関しても問題がない場合
  • 母体の骨盤が広い
  • 双子など多胎児ではない

経膣分娩ができないケース

  • 帝王切開を2回以上している
  • 双子などの多胎児
  • 子宮の傷跡に薄い部分がある
  • 前回の帝王切開時に医師から次回も帝王切開するようにすすめられている

2人目の出産を経膣分娩でおこなう場合は、子宮破裂のリスクが高まります。また帝王切開の回数は多くなればなるほど癒着のリスクが増えるので、特に3人目まで考えている方は注意が必要です。

高齢出産は帝王切開の方が安心?

高齢出産は帝王切開の方が安心?

高齢の妊婦さんは産道がかたく、難産になりやすいといわれています。場合によっては医療の力が必要になることもあります。ですがお産は自然の営みであるため、特に問題がなければ基本的には経膣分娩です。

帝王切開は手術なので、ただ不安というだけで行うことはできません。高齢出産だと帝王切開の方が安心と考える方も多いようですが、必ずしもそうとは限りません。
自然分娩と帝王切開のリスクを見比べて、よりリスクのすくない方を選ぶことになります。

帝王切開の傷口のケアは?

帝王切開の傷口のケアは?

傷口のケアで最もポピュラーな方法はテープを用いるテーピング法です。傷口を清潔にたもつためには傷口の固定と安定、そして乾燥させないことが重要になります。両方を同時におこなってくれるのがテーピング法です。

テープを無理にはがそうとするとその際の刺激で傷跡が残りやすくなってしまうので注意しましょう。

帝王切開でも後陣痛は起こる?

帝王切開でも後陣痛は起こる?

帝王切開でも後陣痛は起こります。

後陣痛とは出産した後の子宮がもとのサイズに戻ろうとして起こる痛みです。帝王切開でも子宮が広がっていたことに変わりはありませんので、自然分娩と同じように後陣痛は発症します。

帝王切開の切り方の違い

帝王切開の切り方の違い

帝王切開には2種類の切り方があります。

  • 縦切開
  • 横切開

縦切開

縦切開はヘソから下に向かって切る方法です。昔からおこなわれている方法で、傷口が目立ちやすいというデメリットはありますが、腹直筋を傷つけるリスクが少なく、子宮の筋肉をしっかり広く切れるというメリットがあります。

以前に帝王切開をしたことがあるひとは、傷跡の上から切開していきます。

横切開

横切開は予定帝王切開でよく使われる方法で、アンダーヘアーの少し上あたりを横に切ります。

傷が目立ちにくいというメリットがありますが、腹直筋と癒着しやすくなってしまい、次の帝王切開の時に傷口がかたくなって切開が難航することもあります。

帝王切開の費用

帝王切開の費用

帝王切開は手術の診療報酬点数がつくので追加の費用が必要ですが、健康保険が適用されます。

そのため自己負担額は予定帝王切開で60,420円、緊急帝王切開で66,600円です。それに加えて入院費がプラスされるので、およそ10万〜20万円程度負担額が増えると考えてください。

帝王切開のメリットとリスクを見極めよう

帝王切開のメリットとリスクを見極めよう

帝王切開はおなかを切るのでおかあさんへの負担がかかると思いがちですが、手術自体は短くなるのでむしろ負担は減ります。ただリスクがあるのことも事実なので、帝王切開するかどうかはお医者さんとしっかり話して決めるようにしましょう。

実際に帝王切開の準備をする際は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。

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