妊娠後期の腹痛どうしたらいい?妊娠後期によくある症状を紹介
「妊娠後期の腹痛は危険なの?」
「妊娠後期にお腹が痛くなったらどうしたらいい?」
妊娠後期になると妊婦さんのお腹も大きくなり、少しの腹痛でも、大丈夫なのか診察を受けた方がいいのかとても不安になりますよね。
実際に妊娠後期には大きくなったお腹にさまざまな症状が起こります。
この記事では、妊娠後期の腹痛について紹介していきます。
また、妊娠中に起きる切迫早産について詳しく知りたい方はこちらの記事を確認してみてください。
妊娠後期のお腹の状態
まずは妊娠後期の妊婦さんの状態についてみていきましょう。
妊娠後期はいつのこと?
妊娠後期は妊娠8ヵ月(28週)〜10ヵ月(39週)の約3ヵ月間
ちなみに、妊娠期間の約10ヶ月を初期、中期、後期の3つに分けており、妊娠1ヶ月~4ヶ月(16週未満)を初期、妊娠5ヶ月(16週)~7ヶ月(28週未満)を中期と呼んでいます。
よく「安定期に入った」という表現をしますが、安定期は胎盤が安定する妊娠5ヶ月以降のことをいいます。
妊娠後期のお腹はどんな状態?
妊娠後期の妊婦さんのお腹はどのような状態なのかみてみましょう。
赤ちゃんの大きさ
出典元:まめこみ
妊娠後期の初期である29週には1000g〜1400gだった赤ちゃんは、妊娠後期の後半である39週を迎えると2500g〜3500gに成長します。
つまり妊娠後期の約10週間で、赤ちゃんは(個体差はありますが)1.5kg〜2kgほど成長するということになります。
妊婦さんの体重増加
理想的な体重増加は1週間に300g〜500gといわれますが、この数値を参考にすると、妊娠後期の3ヶ月(11週)で3.3kg〜5.5kg体重が増えます。
BMI値で見ると妊娠後期では24〜25くらいが理想的で、39週の時点で25くらいが平均値といわれます。
妊婦さんのお腹の中
お腹の中で赤ちゃんが大きくなると、子宮周りの内臓にも変化が起こります。
膀胱
子宮の隣に位置する膀胱は、子宮が大きくなると圧迫されて細長くなってしまうため、尿をたくさん貯められずに頻繁にトイレに行きたくなります。
また、子宮が大きくなることとエストロゲンというホルモンの影響を受けて尿道が広がるため、くしゃみなどで尿もれが起きてしまったりもし始めます。
腸
お腹の赤ちゃんが大きくなると、腸も圧迫されます。圧迫されると腸の動きが鈍くなり、血流も悪くなるので便が出にくくなってしまいます。
妊娠中に痔になるという話を聞いたことがありますか?
妊娠中は血流が良くなり(妊娠前の1.4倍)、肛門周りに集中している血管もそれぞれが太くなるため痔になりやすいといわれます。
上半身
大きくなった子宮の上にある肺や胃、心臓も押し上げられてしまいます。
胃はもともと縦向きになっていますが、お腹の赤ちゃんに押し上げられることで横向きになるため本来の動きがスムーズにできずにムカムカしたり、食欲が出なかったり、ゲップしたいのに吐きそうになったりします。
心臓も押し上げられて扁平になるので、少し動いただけでもハァハァ息切れがしたりします。
妊娠後期の妊婦検診の頻度は?
妊娠35週までは2週間に1回、妊娠36週以降は1週間に1回
厚生労働省では、妊娠24週〜35週までは2週間に1回、妊娠36週以降は1週間に1回の頻度での検診を勧めており、多くの産婦人科も同様の頻度で検診を行います。
妊娠後期のお腹の痛み
妊娠後期はお腹がどんどん大きくなり、お腹にまつわるさまざまな症状が起きます。
張る
妊娠後期には、おなかが大きくなるタイミングで皮膚が引っ張られ、おなかに張りを感じたり、靭帯が突っ張って下腹部が痛くなったりする場合があります。
それ以外にも、長時間座りっぱなしや立ちっぱなしだったり同じ姿勢を続けることでもお腹が張ったり、お腹の赤ちゃんが活発な影響で張ったりすることもあります。
お腹が張ったらまずは横になって安静にすることが一番です。
気をつけたいお腹の張り1
妊娠37週を過ぎると、お腹の張りを感じることが増えてきたり、足の付け根や股関節が痛くなったりするのが前駆陣痛につながっていきます。
前駆陣痛なのか陣痛なのかの区別は難しいため、前駆陣痛だと思っても心配になるような痛みなら、無理せずかかりつけの産婦人科に連絡してアドバイスをもらうとよいでしょう。
前駆陣痛とは?
前駆陣痛は「陣痛かも?」と感じるような子宮の収縮です。しかし陣痛とは異なり、感覚や持続時間が不規則で、強まっていくことはありません。「陣痛かも」と思うような痛みがあったけどよく眠れたといったことがあれば、それが前駆陣痛で、後から振り返ってみると「あれが前駆陣痛だったのか」とわかるような場合が多いようです。
気をつけたいお腹の張り2
前置胎盤といわれている場合はお腹の張りに気を配る必要があります。
前置胎盤の場合、妊娠後期の28週以降に性器出血を起こす頻度が増加してくるのですが、お腹が張ると出血する可能性が高まります。もし大出血を起こすとお母さんと赤ちゃんの命にも関わるため、お腹が張っている時には特に安静にした方がよいでしょう。
前置胎盤とは
前置胎盤は、胎盤が正常より低い、膣に近い位置に付着してしまい、子宮の出口の一部〜全部を覆っている状態をいいます。
出産する時に、通常は先に赤ちゃん、次に胎盤が外に出てきますが、前置胎盤の場合は先に胎盤、次に赤ちゃんが出てくることになってしまいますが、そうすると胎盤が出た後に子宮に残された赤ちゃんに酸素や栄養がいかなくなってしまいます。これを防ぐために前置胎盤の場合は帝王切開で出産します。
前置胎盤では妊娠後期の出血に特に気をつける必要がありますが、それより前でも油断できないので、検診を怠らないようにしましょう。
便秘
妊娠後期には、便秘になりやすいといわれていて、便秘が原因でお腹が痛くなることがあります。
困ったことに、便秘によるお腹の痛みなのか、陣痛なのかも不安になってしまって便を出すために力めないという妊婦さんもいらっしゃいます。
結論としては、便を出すための力みで赤ちゃんが生まれてしまうことはないので安心してください。
便秘によるお腹の痛みの場合、便が出たあとは痛くなくなりますが、便を出した後も痛みが続くようなら陣痛の可能性もあります。
気をつけたい便秘
吐き気や嘔吐を伴ったり、冷や汗が出るような便秘の場合は腸閉塞など病気が隠れているかもしれません。
便秘が気になり始めたら、早めにかかりつけの産婦人科に相談し、対応することをおすすめします。
生理痛のような鈍痛
妊娠後期に生理痛のような鈍痛が起きる場合もあります。
まずは横になって安静にして、痛みがおさまるようなら心配ないといえます。
安静にしていても痛みが治らなかったり、定期的に痛みが続くような場合で、それまでの検診で「子宮の入り口が短い」などの指摘を受けている場合には早産につながる場合があります。
また、鈍痛がどんどん強まっていく場合には陣痛も考えられますが常位胎盤早期剥離(ソクハク)という病気も考えられます。
腹痛に加えて、性器からの出血やお腹の赤ちゃんの動きが少ないなど感じたら、かかりつけの産婦人科に相談しましょう。
常位胎盤早期剥離(ソクハク)とは
妊娠後期に起こる可能性があり、赤ちゃんが産まれる前に子宮にある胎盤がはがれてしまい、赤ちゃんに酸素や栄養が送られなくなる病気です。
進行すると、赤ちゃんに麻痺など症状が残ってしまったり、命に関わる事態を招く場合もあります。
発症の原因はわかっておらず、妊娠高血圧症候群や切迫早産は常位胎盤早期剥離の原因になるとされてはいますが、順調に妊娠が進んでいた妊婦さんに突然発症する場合もあるため覚えておきたい病気です。
妊娠後期に気をつけたい病気
ここからは妊娠後期に気をつけたい病気を紹介します。
これらの病気がどのようなものかを知っておくことで、異変に気がつき早い段階で対応できる可能性が高まります。
妊娠高血圧症候群
妊婦さんの20人に1人が発症する病気で、妊娠34週未満で発症すると重症化しやすく危険だといわれている妊娠高血圧症候群は、収縮期血圧が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上になった場合に診断されます。(重症の判断は、収縮期血圧が160mmHg、あるいは拡張期血圧が110mmHg以上)
原因
妊娠高血圧症候群になる原因の研究は進んでいますがはっきりした結論は出ていないため、現状では誰でも注意が必要です。
とはいえリスクが高い人はわかっているのでこちらで紹介しておきますね。
妊娠高血圧症候群のリスクが高い人
- もともと糖尿病
- もともと高血圧
- もともと腎臓の病気を持っている
- 40歳以上の高齢出産
- もともと肥満
- 家族に高血圧の人がいる
- 多胎妊娠
- 初めての妊娠
治療方法
高血圧だと薬を飲んで血圧を調整するイメージがありますが、降圧剤の影響で赤ちゃんの状態が悪くなることがあるためお医者様も薬の服用には慎重で、妊娠中は安静にすることと入院が治療の中心になってきます。
切迫早産
切迫早産とは、早産になってしまう危険性が高い状態のことで、具体的には規則的なお腹の張りや痛みが頻繁に起こり、子宮口が開いて赤ちゃんが出てきそうな状態をいいます。
原因
原因の80%は子宮内感染で、膣から子宮へ侵入した細菌によって炎症が起こることで、子宮収縮や破水が起こりやすくなり、切迫早産を引き起こすという流れです。
他にはもともと持病があったり、多胎妊娠、高血圧症候群、高齢出産、胎児機能不全、羊水過多なども切迫早産の原因になります。
治療方法
妊娠後期の場合、赤ちゃんが自分で呼吸できる可能性が高いので、赤ちゃんが細菌などに感染する前に出産し治療を行いますが、妊娠34週より前に破水などの症状が出た場合は赤ちゃんが自分で呼吸できるようになるまで抗菌剤を投与し赤ちゃんへの感染を抑える治療が一般的です。
下痢
妊娠後期になると起こるトラブルは「便秘」と思いがちですが、実は下痢もあります。
下痢の腹痛も妊婦さんにはストレスですし、便秘と下痢に悩まされる妊婦さんもいらっしゃるようです。
原因
下痢になる原因としては、妊娠後期のホルモンバランスの変化によるもの、ウイルスや細菌感染によるもの、鉄剤の服用の影響などが考えられます。
妊娠後期になると出産に向けて女性ホルモンが増えていくのですが、ホルモンの中に腸の動きを活発にするものがあり、これが作用すると下痢になってしまいます。
また妊娠中は抵抗力が低下しているため、いつもよりも感染症にかかりやすく、食中毒や胃腸炎などにかかってしまい下痢になるということもあります。あまりに頻繁に下痢を繰り返すようなら産婦人科に相談しましょう。
治療方法
下痢だけではなく嘔吐などの症状もある場合や、下痢を繰り返して止まらない場合、便に血が混じっているような場合は受診した方がよいでしょう。
妊娠中は、普段使っている下痢止めであっても安易に服用しないことが大切です。
妊娠後期の過ごし方
妊娠後期の過ごし方を紹介していきます。
日常生活
お腹が大きくなって日常生活が思うようにいかない時期で、疲れやすくもなるので無理しないように過ごすことが大切です。
寝る時には、お腹を圧迫しないような姿勢で抱き枕などを使って眠るのもおすすめです。
足元が見えにくくなるため、階段の上り下りは踏み外さないように気をつけたり、布団を持ったりといった重たいものを持つのも避けた方がよいでしょう。
体重は許容範囲で増加するように(増えすぎないように)食べ物にも気を配りましょう。
運動
医師に止められていなければ、運動は無理の無い範囲で行った方がよいといわれます。産婦人科で妊婦さんのヨガなどを行っている場合もありますし、自宅でできる運動なども教えてもらえたりしますので活用してくださいね。
妊娠後期の腹痛を知っておこう
妊娠後期はお腹が張ったり、赤ちゃんの胎動も大きくなったりしてお腹にいろいろな感覚が出てくる中で、「この程度なら」と自分で判断してしまうこともあるかもしれません。
一時的な腹痛であればそれほど心配することもないかもしれませんが、腹痛が続いたり、激痛だったり、自分の中で「いつもと違う」と感じるような痛みなら、産婦人科に相談することをおすすめします。
念の為に相談して、何もなかったら安心ですし、何か病気だったとしても早期発見なら対応できることも多かったりします。
この記事の内容もお役立てくださいね。