妊娠中の食事の注意点!妊婦が食べると良い食べ物とは?

コラム

赤ちゃんはママのおなかの中で、顕微鏡で見るサイズだった受精卵から約3キロの胎児にまで成長します。その間にもらう栄養はママからの栄養だけです。しかし、ママも与えるばかりでは自身の健康を損ねる可能性もあります。そこで今回は、妊娠中に積極的に取りたい食品や控えた方がよい食品についてご説明します。

妊娠中に食べると良いもの

妊娠初期に積極的に取りたい栄養素は葉酸です。葉酸はビタミンの一種で血をつくる栄養素ですが、あかちゃんの二分脊椎症や無脳症などの神経管閉鎖障害のリスクを軽減することがわかっています。妊娠の可能性がある場合や妊娠初期の一日の推奨摂取量は440㎍(0.44g)、授乳期にはさらに+100㎍です。葉酸はほうれん草、ブロッコリー、グリーンアスパラガスに多く含まれますが、水溶性のため茹でたりすると水に溶けだしてしまいます。葉酸はイチゴや納豆にも含まれているので、うまく組み合わせて摂取するとよいでしょう。サプリメントの併用も効果的です。

妊娠中に不足しがちな栄養素として鉄分が挙げられます。妊娠中は生理が止まり出血がなくなるため、貧血になりにくいと思われがちです。しかし、妊娠中は血液の量が通常時の1.5倍になると言われており、生理がなくても体は多くの血液を必要としています。鉄には食物性と動物性があり、体への吸収がよいのはヘム鉄という動物性食物に含まれる鉄分です。ヘム鉄はレバーのほかに赤身肉やカツオ、アサリなどに多く含まれています。

タンパク質も妊娠中に積極的に取りたい栄養素です。最近は妊娠中に飲めるプロテインも流通していますね。タンパク質は血や肉のもととなるため、妊娠中は普段よりも多く摂取するとよいとされている栄養素です。 赤ちゃんのからだを作るためだけでなくママの貧血予防にもなりますので、妊娠初期は一日50g、妊娠中期には60g、後期には75gの摂取を目指しましょう。タンパク質は豚モモ肉や鶏ムネ肉、鮭などの動物性食品のほかに乳製品、大豆製品にも多く含まれます。

現代人にはカルシウムが不足しているそうです。特に女性は妊娠授乳中にカルシウムが不足するだけでなく、長い目で見ると骨粗鬆症のリスクもあります。赤ちゃんの歯や骨の形成とママの体を守るために、積極的にカルシウムを取りましょう。カルシウムは乳製品や干しエビ、モロヘイヤなどに多く含まれます。また、小魚の摂取も有効です。特に青魚にはDHAも多く含まれるため、青魚を骨ごと摂取することでカルシウムとDHAを合理的にとることができます。DHAはあかちゃんの脳の発育に良いとされている必須脂肪酸のうちのひとつです。

妊娠中の食事は、お茶碗1杯~2杯の白米に赤身の肉や焼き魚、緑黄色野菜や大豆製品を使用した小鉢が1~2種類、そこに乳製品や果物を加えるという昔ながらの日本の食卓がちょうど良いと言われています。このような毎日の食事に、今回ご紹介した食品を意識して取り入れることをおすすめします。かといって毎食作るのは大変ですので、お惣菜や作り置き、プリメントなどを活用してみてくださいね。

妊娠中は食べるのを控えたほうが良いもの

妊娠中のアルコールの摂取があかちゃんに悪影響を及ぼすのは言うまでもありませんが、嗜好品として毎日口にすることが多いコーヒーなどに含まれるカフェインの摂取も控えた方がよいでしょう。カフェインの過剰摂取は赤ちゃんの成長を妨げる可能性があります。コーヒーの摂取は一日マグカップに1~2杯にとどめ、飲み足りない方はカフェインレス飲料を取り入れましょう。カフェインはコーヒー以外にもエナジードリンクなどの清涼飲料水にも含まれていることがありますので気を付けてください。

ビタミンAは体の細胞を作る必要不可欠なビタミンですが、動物性食品に含まれるビタミンAには注意が必要です。ビタミンAは脂溶性ビタミンのため、大人でも体に蓄積しやすく一日の上限が定められているほどです。これはあかちゃんのからだも同様で、過剰な蓄積は耳の形成異常につながると言われています。貧血予防に有効はレバーなどにもビタミンAがたくさん含まれるので、積極的に取りたい食品ですが、サプリメントの服用が重なると一日の摂取目標の650~700㎍RAE(マイクログラムレチノール当量)を超える可能性があります。サプリメントを飲む際には成分表を確認してみましょう。

食物連鎖の上位にいる大きな魚には水銀の蓄積があることをご存じでしょうか。水銀もあかちゃんが自力で排出できない成分で、過剰な摂取はあかちゃんの発育に影響を及ぼす可能性があります。水銀は大型の本マグロやめばちマグロには多のですが、同じマグロでも小型のキハダマグロやビンナガマグロにはあまり含まれていません。一度にたくさん食べたからといって即影響があるわけではありませんので、一週間を目安に摂取量を調整しましょう。

妊娠中はリステリア菌に感染しやすいと言われています。リステリア菌とは河川側や動物の腸管内にいる細菌です。低温や塩分に耐性が強いという特徴があり、保存のきく加工食品にも少量検出される菌です。例えば生ハム、肉のパテ、スモークサーモンや生タイプのチーズなどが挙げられ、リステリア菌の繁殖した食べ物を口にすると食中毒症状を引き起します。日本国内では感染例が少ないですが、妊娠中や高齢の方には注意が必要です。

また、食中毒のリスクはリステリア菌だけではありません。日ごろから食品の管理には気を付け、なるべく火の通ったものを食べるようにしましょう。

妊娠中の体重管理が大切な理由

妊娠中に体重が増えすぎると「妊娠高血圧症候群」や「妊娠糖尿病」などの合併症を起こしやすく、「微弱陣痛」などのトラブルを招く要因になります。妊娠高血圧症候群になった場合、胎盤に十分な血液が届かなくなり、赤ちゃんの発育が悪くなります。また、母体にも危険が及びます。 妊娠をきっかけに血糖値が上がってしまう妊娠糖尿病は、赤ちゃんが大きくなりすぎて難産になるだけではなく、母体に異常が起こる可能性があります。これらの妊娠特有の症状によって微弱陣痛を起こしてしまうと、陣痛が始まったのに十分に子宮口が開かなくなるのでお産がスムーズにできません。 場合によっては陣痛が起こらなくなったり、陣痛が弱くなってしまったりして、赤ちゃんにストレスを与える可能性があります。 とはいえ痩せ過ぎていると「胎児発育不全」や「低出生体重児」などのトラブルが起きる可能性があります。赤ちゃんが妊娠週数に応じた大きさになっていない胎児発育不全は、赤ちゃんの状態によって入院したり帝王切開したりして対応しなければなりません。 低出生体重児は出生時の体重が2,500g未満の赤ちゃんを指しています。もし2,500g未満で産まれた場合は、集中治療室の保育器でサポートしなくてはなりません。 このように太り過ぎでも痩せすぎでもリスクを抱えるので、妊娠中の体重管理が重要なのです。

妊娠中の食事に関する注意点

体によい食品をとっていても、塩分や糖分が過剰であると本末転倒です。塩分過多では妊娠高血圧症候群に移行する可能性があります。血圧の上が140mmHg 、下が90mmHgを超えるようであると高血圧の指摘を受けるでしょう。妊娠していない女性では一日7g以下が推奨されていますが、妊娠中は摂取カロリーも増えるため一日10gがよいとされています。しかし、日本人の平均塩分摂取量は12g程度なので、普通の生活では少し多いということです。塩分はしょうゆや味噌だけでなく、だしの素やカレールーなどに多く含まれます。塩は生きていくうえで必要不可欠な成分ですが、少し食事内容を見直してみるとよいかもしれません。

糖分はついつい摂取してしまいがちな成分です。お菓子や穀物類に多く含まれます。妊娠中のおやつは一日200kcal以下という指針を厚生労働省が示しています。一日に200kcalというと、ポテトチップスなら半袋、おせんべいなら3~4枚、どらやきなら1個が目安です。洋菓子なら脂質量が少ないヨーグルトやチーズを使ったものがよいかもしれません。

また、妊娠中は普段よりもカロリーが必要です。あかちゃんの成長と共に体内の血液や水分が増え、皮下脂肪もついてくるので体重が増えることを気にする方もいます。しかし、妊娠前のBMIにもよりますが、妊娠中の過度なダイエットは禁物です。食事はバランスよくとり、妊娠後期には普段よりもお茶碗半分程度のごはんを増やすとちょうど良いでしょう。

ここまで食事についてさまざまな説明をしてきましたが、妊娠初期のつわりの時期には無理して食べなくてもおなかのあかちゃんにはあまり影響はありません。つわり中は味覚や臭覚が変わるため、決まったものしか食べられない、十分な食事がとれないと心配になりますよね。でも、胎盤が完成するのは妊娠15週頃なので、妊娠初期のあかちゃんはまだへその緒から栄養をとっているわけではないのです。つわりがつらいときは水分を取り、口にできるものを無理せず食べて凌いでください。体重減少が著しいときや、水も飲めないなど日常生活を送ることが難しい場合は重症悪阻として入院などの適応になる場合もあります。無理せず医師や看護師、助産師などに相談しましょう。

まとめ

ママがからだによい食事をしていると、あかちゃんはストレスなく成長することができます。今まで自分の好きなものを食べていた方も、妊娠を機に一度食事内容を見直してみるとよいかもしれません。過度な心配は禁物で、ゆったりとした気持ちでバランスのよい食事を摂ることが大切です。