確定検査の羊水検査と絨毛検査について

出生前診断における確定的検査とは?

日本では、ライスタイルの変化により晩婚化が進み、35歳以上の高齢妊娠・高齢出産が増えています。医学的に、お母さんの年齢が35歳以上になると胎児が先天性疾患をもつリスクが上がることがわかっています。今までのデータからは、生まれてきた赤ちゃんの約3-5%は先天性疾患を持つことが明らかになっています。
赤ちゃんが生まれる前に、特定の先天性疾患がないかどうか調べることを出生前診断といいます。出生前診断には、大きく分けて確定的検査と非確定的検査があります。確定的検査は、検査で陽性だった場合には赤ちゃんが検査の対象となる先天性疾患であることが確定します。
一方で、非確定的検査では赤ちゃんが先天性疾患を持つリスクが高いことはわかるものの診断は確定できません。もし、非確定的検査で先天性疾患のリスクが高いとわかり、確定診断を希望する場合には確定的検査を行う必要があります。
非確定的検査とは、胎児精密超音波検査、母体血清マーカー検査、母体血胎児染色体検査(NIPT)などのことです。確定的検査には、羊水検査や絨毛検査の2つがあります。

羊水検査とは?

羊水は、子宮の中で赤ちゃんの周りに存在する水のことです。赤ちゃんは、毎日羊水を飲んで呼吸の練習をしています。また、飲んだ羊水をおしっことして排泄したりもしています。羊水の量は、妊娠の経過と共に増え、32週前後には700-800mlになります。
羊水検査では、超音波で赤ちゃんや羊水の量を確認しながら、お母さんのお腹から針を刺して羊水を取って先天性疾患がないかどうか調べます。妊娠初期では羊水の量が少ないので、妊娠15週以降に行うことができる検査です。
羊水検査では、21トリソミー、18トリソミー、13トリソミー、ターナー症候群などの先天性疾患(染色体疾患)の有無を確認することができます。ごくわずかな染色体の異常による染色体疾患は、わからないこともあります。羊水検査は保険が利きません。検査費用は医療機関によって違いはありますが、一般的には約12-18万円です。

絨毛検査とは?

絨毛とは、胎盤の一部のことです。絨毛検査では、妊娠早期に確認できる絨毛を取って特定の先天性疾患(染色体疾患)がないかどうか調べます。
超音波で胎児の状態や胎盤の位置を確認してから、検査を始めます。
絨毛検査には、お腹に針を刺して絨毛を取る方法と膣から絨毛を取る方法があります。どちらの方法にするかは、胎盤の位置にもよるので医師の判断になります。
絨毛検査は医療機関によって多少のばらつきはあるものの11-15週で行われることが多く、羊水検査より早い時期に検査することが可能です。絨毛検査では、羊水検査と同様に先天性疾患(染色体疾患)の有無を確認することができます。絨毛検査も保険が利きません。検査費用は医療機関によって違いはありますが、一般的には約12-18万円です。

羊水検査や絨毛検査の注意点は?

羊水検査や絨毛検査では、子宮の中にある羊水や絨毛を取るのでお母さんや赤ちゃんに影響が出る可能性があります
具体的には、出血、感染、腸管の損傷、流産、早産、破水などが起きる可能性があります。羊水検査では流産のリスクが0.3%、絨毛検査では1%程度あるといわれています。稀ではあるものの、採取した羊水や絨毛の量が不十分なことや胎児の状態を正確に反映していないことなどが原因で再検査が必要になる可能性があります。
羊水検査と絨毛検査は、出生前診断の中では確定的検査と位置付けられていますが、基本的に赤ちゃんの染色体を確認するだけなので、先天的な心臓や消化管の病気など全ての先天性疾患が診断できるわけではありません
羊水検査や絨毛検査は、医療機関によって異なるものの検査結果が返ってくるまでに2-4週間かかります。
非確定的検査である母体血清マーカー検査や母体血胎児染色体検査(NIPT)などで染色体疾患の可能性が高い場合に、羊水検査や絨毛検査を受けることを選択するお母さんもいます。妊娠週数によっては非確定的検査の結果を待っているうちに、羊水検査や絨毛検査のできる時期が過ぎてしまう可能性があるので担当医とよく相談して、検査の予定を立てるようにしてください。
ただし、羊水検査と絨毛検査は、必ず非確定的検査を受けてから検査しないといけないわけではありません。また、母体血清マーカー検査では開放性神経管欠損症の検査も行えますが、染色体のみを調べる羊水検査や絨毛検査では診断を確定できません。開放性神経管欠損症に対しては、確定診断のために、より詳細な超音波検査を行うことがあります。

まとめ

出生前診断の中で、羊水検査と絨毛検査は確定的検査といわれています。もし、検査結果が陽性だった場合には特定の染色体疾患があることが確定します。ただし、染色体のみの検査なので、先天性心疾患や先天性消化器疾患などの先天性疾患を赤ちゃんが持っていないとは言い切れない点に注意しないといけません。
また、羊水検査と絨毛検査はお母さんの子宮の中にある羊水や絨毛を取るので、流産や早産、出血などのリスクがあります。保険が利かない自費の検査ですし、リスクもあるので検査を受けるか受けないかはお母さんやパートナー、家族でよく考える必要があります。

大切な命と安心な出産のために

当院では、ご希望される妊婦様、ご家族様がNIPT検査内容を理解して受けられる環境をご提供します。
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NIPT平石クリニック

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(ヒライシ タカヒサ)


専門は内科、消化器科、スポーツ医学。
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高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPT(新型出生前診断)の重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。


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