妊婦様からのご相談
NIPT(新型出生前検査)を受ける予定です。
もし赤ちゃんに障害があった場合、費用面が心配で育てていける自信がありません。
ご相談をお受けして
医療費の助成制度
「小児慢性特定疾病(しょうにまんせいとくていしっぺい)※」の医療費助成制度というものがあります。
簡単に言いますと、「国が定めた疾患をもつ子どもの医療費(の自己負担分)の一部を公費負担する」という制度です。
期限はお子様が18歳(場合によっては20歳)を迎えるまでです。
NIPTの検査項目にも、この「小児慢性特定疾病」に該当する疾患があります。
具体的な対象疾患は?
小児慢性特定疾病に該当する疾病は、2024年3月現在で800近くあります。その中で、染色体に起因する疾患は35程度と随分絞られます。
平石クリニックが検査対象としていて、小児慢性特定疾病にも該当する疾患は以下の通りです。
《トリソミー》
・21トリソミー(ダウン症候群)
・18トリソミー(エドワーズ症候群)
・13トリソミー(パトー症候群)
《性染色体疾患》
・ターナー症候群
・クラインフェルター症候群
《微小欠失症候群》
・22q11.2欠失
・アンジェルマン症候群
・プラダーウィリー症候群
・1p36欠失症候群
・4p欠失症候群
・5p欠失症候群
実際には、上記の診断がついた方全員が対象になるわけではなく、また、治療内容によって助成対象か否かが異なる点に注意が必要です。
(詳細は、後述の「小児慢性特定疾病指定医」をご確認ください。)
医療費負担の割合は?
医療費負担の割合は以下の通りです。
就学以降から満70歳未満の方の場合※
①通常の医療費負担:
公的医療保険負担額(7割)+自己負担額(3割)
②医療費が一定以上のとき:
公的医療保険負担額(7割)+〈高額療養費制度+自己負担額(3割)〉
③医療費が一定額以上で小児慢性特定疾病による助成を受けたとき:
公的医療保険負担額(7割)+〈高額療養費制度++小児慢性特定疾病による医療費助成制度+自己負担額(3割)〉
※未就学の場合
上記の公的医療保険負担額(7割)の割合がそれぞれ(8割)となり、より一層手厚い支援が受けられます。
ご承知の通り、医療費の自己負担額の割合は通常3割です。……上記①
高額だった場合には、「高額療養制度」によって自己負担額の割合が低くなることも知られています。……②
小児慢性特定疾病による助成を受けると、さらに自己負担の割合が下がります。……③
①〜③にかけて、自己負担額の割合が小さくなっていることがお分かりいただけるでしょう。
どうやって手続きするの?
おおまかな手続きの流れをご案内します。
1 小児慢性特定疾病の「指定医療機関」を受診
まずは、小児慢性特定疾病の「指定医療機関」を受診します。
医療費助成の対象となるのは、指定医療機関においておこなわれた保険診療のみであるためです。
参照:全国の指定医療機関一覧
2 小児慢性特定疾病「指定医」による医療意見書の作成
次に、小児慢性特定疾病「指定医」に医療意見書を作成していただきます。
助成金の申請に必要な医療意見書の記入は、小児慢性特定疾病指定医しかおこなうことができません。
参照:全国の指定医一覧
3 必要書類を準備し、自治体へ申請
最後に必要書類(上記2を含む)を準備し自治体へ申請します。
必要書類は自治体によって異なる場合があります。そのため、自治体窓口(保健所や保健センター等)への確認が必要です。
「医療費の助成を受けるために必要な書類を教えてほしい」旨をお伝えされると良いでしょう。
参照:全国の各自治体担当窓口
4 審査と受給者証の発行
小児慢性特定疾病審査会による認定審査がおこなわれます。審査に通ると受給者証が発行されます。
認定期間は原則1年ですが、事前に自治体へ更新時期を確認しておくと良いでしょう。
さいごに
「小児慢性特定疾病」──聞き慣れない言葉ですが、このような助成制度があると知ることで、少しでも妊婦様のご安心に繋がりますと幸いです。
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