検査結果が「陰性」と出たのに不安でたまりません。

相談

妊婦様からのご相談内容

NIPT(新型出生前検査)を受けました。
検査結果は「陰性」だったのですが、安心しきれず不安です。
赤ちゃんのことが心配で仕方ありません。

ご相談をお受けして

陰性の結果が出てもなお安心しきれない、というお声をしばしば耳にします。
大切な赤ちゃんのことですので、ごく自然なことだと思います。

ですが、ご不安を抱え続けた妊娠生活もお辛いことでしょう。

ここでは

⚫︎NIPTにおける陰性の結果はどの程度の安心材料になるのか

⚫︎それでも不安が拭えなければどうしたらよいのか

についてお話します。

NIPTにおける陰性はどの程度の安心材料になるの?

《NIPTにおける陰性とは》

NIPTの結果が陰性だったということは、すなわち「検査対象の染色体異常がある可能性は低い」ということです。

実際にお腹の赤ちゃんに染色体異常がない確率(=陰性的中率)は99.9%以上です。
どの年齢においても変わりません。

したがってNIPTの結果が陰性でしたら、そこで検査終了となるのが一般的です。
確定検査(羊水検査や絨毛検査)に進む必要性はありません。

引き続き、妊婦検診をしっかり受けていくことが大切です。

《先天性疾患のうち、どれくらいが染色体異常なのか》

NIPT(新型出生前検査)は染色体異常をみる検査です。
ご存知の通り、先天性疾患の原因は染色体異常だけではありません。

先天性疾患を持って生まれる可能性は、全妊娠の3〜5%といわれています。
染色体異常はそのうちの約25%、つまり約4分の1にあたります。

NIPTの結果が陰性ということは、「先天性疾患のおよそ4分の1は否定できる」ということです。(※厳密には、「検査プランの該当疾患に関しては否定できる」ということ)

なお、どの検査プランにも該当する
21トリソミー(ダウン症候群)
18トリソミー(エドワーズ症候群)
13トリソミー(パトー症候群)
の3つで、染色体異常の7割を占めるといわれています。

つまり、NIPTにて陰性だったということで染色体異常の70%以上の部分をご安心いただけるということです。

《染色体異常以外の先天性疾患とは?》

染色体異常以外(残り約4分の3、約75%)の先天性疾患の内訳は以下の通りです。

⚫︎多因子遺伝遺伝要因や環境要因が関係する疾患。……約50%

  例:先天性奇形症候群や生活習慣病、精神疾患 等

⚫︎単一遺伝子疾患ある1つの遺伝子異常による疾患。メンデル遺伝病とも呼ばれる。早期発見、早期治  療が可能なものも。希少性、難治性疾患の多くが単一遺伝子疾患に当たる。)……約20%

  例:先天性甲状腺機能低下症、筋緊張性ジストロフィー 等

⚫︎環境 / 催奇形性因子受精から出生までの間に加わった環境要因や、それらの相互作用によって起こる  疾患。妊娠中のアルコール摂取や薬剤・化学物質・放射線・感染等によって起こる。)……約5%

  例:胎児性アルコール症候群、風疹による先天性心臓奇形 等

現状、出生前にこれらすべてを検査し、異常の可能性を見つけだすことは不可能です。
言い換えますと、赤ちゃんの健康を約束されて出産に臨める妊婦様はおらず、そういった意味ではどの妊婦様も平等といえます。

それでも不安が拭えなければどうしたらよいのか

妊婦検診を引き続きしっかり受けていくことが大切だとお伝えしました。
NIPTにて陰性でしたらそれで十分かと思いますが、それでもご不安という方には、以下のご提案をいたします。

認定遺伝カウンセラーとの電話相談を利用
あなたの検査結果を一緒に見ながら、お電話にてお話することが可能です。
NIPTにおける陰性でどの程度安心できるのか?(前述の通り)
母体血のなかに赤ちゃんの成分はどの程度あり、検査に十分な数値だったのか?
検査結果に書かれている語句や数字はどういう意味なのか?
等、専門家から聞くことでご安心いただける方は多い印象です。
また、ご不安を率直に打ち明けることですっきりされる妊婦様もいらっしゃいます。

無料電話相談の回数制限は設けておりません。
今後も、新たな不安が出てきたときに相談できる専門家がいる、ということでご安心いただけたら幸いです。

「胎児超音波検査/胎児ドック」を受ける

「NIPT」では赤ちゃんの染色体異常を調べるのに対し、「胎児超音波検査」は赤ちゃんの形態異常を調べます
妊婦検診にておこなう超音波検査とは区別されています。

「通常超音波検査」……
通常の妊婦検診でおこなわれる超音波検査。主に赤ちゃんの成長度合いの確認を目的とする

「胎児超音波検査」……
赤ちゃんの体の構造や、成長に関する異常の確認を目的とする出生前検査。
専門医が時間をかけてじっくりと観察する。
妊婦検診で何か指摘された場合に受検されるケースが多い。

 〈検査の時期〉

  妊娠11~13週(妊娠初期)、妊娠18~21週(妊娠中期)、妊娠29週~30週(妊娠後期)の間。妊娠週数に伴い確認できる項目も増える。

 〈流産のリスク〉

  無し。母体、赤ちゃんともに安全な検査といえる。

 〈料金の目安〉

  数千円~五万円程。

 〈別名〉

  「胎児超音波検査」は検査施設によって呼び方が様々である。

  「胎児ドック」「胎児精密超音波検査」「胎児初期(中期・後期)精密検査」「胎児スクリーニング検査」「中期スクリーニング検査」

「胎児超音波検査」は「NIPT」と同じく可能性を判定するスクリーニング検査(非確定検査)です。
内臓の形態や機能の変化においては確定診断ができる場合もあります。)

妊娠中断を検討される場合には、確定診断が必要です。

妊娠継続を選択される場合には、赤ちゃんに分娩後の医療的介入が必要かどうか、最適な備えを検討する材料となります。

NIPTと組み合わせ両視点から赤ちゃんをみることで、よりご安心に繋がるのではないでしょうか。

ご相談をふりかえり

大切な赤ちゃんのことですので、ご心配は尽きないことと思います。

ご不安が拭えない場合には、

●専門家とのカウンセリングや電話相談

●胎児ドック(胎児超音波検査)の受検

も、ひとつの手段としてご提案させていただきました。

しかしもっとお手軽に、すぐ実践できることも2点あります。

インターネット検索から少し離れてみる
少しでも安心したくて情報検索をされると思います。
しかし実際には、ますます不安な情報に目を奪われ、不安が増すこともあります。
その情報は正しいとも限りません。
もし引っかかることがおありでしたら、検索を続けるのではなく、やはり専門家に確かめることをお勧めします。
電話相談はお顔が見えませんが、だからこそ何でも遠慮なく聞きやすいという利点もあります。

美味しいものを食べて寝る
なんだそんなことか、と思われたかもしれませんが、これは非常に大切なことです。
なぜなら人は、「睡眠不足」や「空腹感」「疲労感」を感じているときには、視野がせまくなるからです。
また、夜は考えがマイナス方向に向かいやすい傾向があります。
今日は早めに心身を休め、朝日を浴び、朝食をとられてから考えてみることをお勧めします。
おそらく夜とはまた違ったお考えになることでしょう。

何はともあれ、NIPTで陰性だったのです。
「よかった、残された妊娠生活を楽しもう」というエネルギーが湧いてこられたら幸いです。

赤ちゃんの小さなお洋服を選ぶのも楽しいと思います。
今だけのおひとり時間、あるいはパートナー様との時間を満喫するのもよいでしょう。
上のお子さんに、お母さんをひとり占めにさせてあげる時間をもつのもよいかもしれません。

残りのご妊娠期間、ご家族とともに穏やかで楽しく過ごせますよう
心より願っています。


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検査結果が「陰性」と出たのに不安でたまりません。

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(ヒライシ タカヒサ)


専門は内科、消化器科、スポーツ医学。
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