ヤコブ症候群、普通の社会生活は送れる?

相談

妊婦様からのご相談

NIPTの結果、XYY陽性でした。インターネット検索で「ヤコブ症候群」だとわかりました。
ヤコブ症候群の子どもは付きっきりで見る必要性があるのですか?保育園に預けたり、普通学級に入れたり、自立した社会生活を送れたりしませんか?
産むと決めている場合、羊水検査を受けるメリットはありますか?

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「ヤコブ症候群」とは

ヤコブ症候群とは、性染色体異常の一つです。
通常XY(X染色体、Y染色体が1本ずつ)の性染色体において、XYY(Y染色体が1本多くなる)となることで起こる疾患です。
とはいえ、ヤコブ症候群をはじめとした性染色体異常は、疾患ではなく個性の範疇と捉える医師のほうが多いのが現状です。

外的な特徴として、身長が高くなる傾向にあります。
性染色体異常の一つであるXXY(クラインフェルター症候群)は不妊になる可能性が高いと知られていますが、XYY(ヤコブ症候群)においてこのような問題はほぼ見られません。
Gardner, R.J. McKinlay; Sutherland, Grant R.; Shaffer, Lisa G. (2012年)

発達障害や言語発達遅延、多動性障害等の症状が出る可能性はあります。しかしそれは、ヤコブ症候群だからというわけではなく、ヤコブ症候群の方の中にはそのような方もいらっしゃるという程度です。

症状の有無や程度は個人差が大きく、周囲やご本人さえ何も気付くことなく社会生活を営んでいる方のほうが多いといわれています。
また、かつて海外の報告に「攻撃的な方が多い」や「犯罪行為を引き起こす」といったものがありましたが、それは誤りであったことが報告されています。

付きっきりで見る必要性はある?

ヤコブ症候群のように、性染色体に変異があっても保育園や幼稚園に預けたり、普通学級で学校生活を送ったりしている方が大半です。呼吸機能や心臓等に疾患があるわけではないため、親が付き添わなければならないような医学的処置も必要ありません。

集団生活において何か問題があったときには、IQテスト等を経て特別支援に繋がることがあります。しかし、こちらも染色体の本数に関わらず誰でも起こりうることです。
初めての集団生活において馴染めなかったりお友達とトラブルが続いたりといった問題は、起こってから初めて考えるものです。出生前や出生後、事前に予測できることではありません。また、仮にそうだとしても環境でカバーできることも多いため、現時点で特に心配されなくても大丈夫でしょう

産むなら羊水検査は不要?

産むと決めていらっしゃるということですから、羊水検査をするしないはどちらでも構いません。
現時点ではあくまで可能性に過ぎず、実際には何の問題もなくXYである可能性もあります。それは羊水検査をすればはっきりとわかります。一方で、前述の通り羊水検査でヤコブ症候群が確定したところで、症状の程度や頻度までははっきりしません。

それらを踏まえて、妊婦様がどうされたいかが大切です。
なお必要性があれば、赤ちゃんが生まれてからでも染色体検査のチャンスはありますので、この機会を逃したらもう知ることができないということでもありません。

したがって今は羊水検査を受けず、妊婦健診にて赤ちゃんの経過を見ながら健康管理をしていく方法で良いかもしれません。

インターネット検索をすればご不安になる情報がたくさんありますが、お腹の赤ちゃんが今も元気に成長しているということが何より大切な事実です。
ご心配なことはまたいつでも認定遺伝カウンセラーにご相談くださいませ。

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(ヒライシ タカヒサ)


専門は内科、消化器科、スポーツ医学。
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