上の子がダウン症だと、次子にも再発リスクあり?① ~妊娠中の場合~

相談

妊婦様のご状況

第一子がダウン症候群(21トリソミー)を患っている。
現在第二子妊娠中。
NIPTの結果「陰性」だったが、第一子の影響を受け同じ疾患を持つ可能性が高いのではと懸念されている。

妊婦様からのご相談内容

第一子がダウン症候群です。
今回の妊娠でNIPTの結果「陰性」だったのですが、第一子のこともあり不安です。
第一子がダウン症だと、次子も影響を受けるのでしょうか?

ご相談をお受けして

「出生前検査」を受ける動機として、高齢妊娠に続いて多いのが

染色体異常が原因で以前に流産したことがある

上の子が染色体異常をもっている

という理由です。
今回ご相談の妊婦様と同じ境遇の方は少なくありません。

1.下の子(胎児)の染色体異常を確認する方法は?

胎児の「ダウン症候群(21トリソミー)」等を含む「染色体異常」を検査する方法は色々とあります。※

なかでも、「NIPT(新型出生前検査)」は検査精度が高く、流産等のリスクも無い安全な検査として近年注目を集めています。

※超音波検査や母体血清マーカーテスト、絨毛(じゅうもう)検査、羊水検査、NIPT等があります。
受検できる期間や検査の方法、リスク、検査精度、費用等、それぞれの検査で異なります。

今回ご相談の妊婦様は、すでにNIPTを受検し「陰性」の検査結果を受け取られています。
検査項目の中には、懸念されている「ダウン症候群」も含まれています。
つまりお腹の赤ちゃんはダウン症候群を含め、「NIPTで調べた範囲は99.9%以上の確率で陰性」という認識で問題ありませんので、ご安心ください。

2.染色体異常はきょうだい間で影響する?

そもそもダウン症候群を含む染色体異常は、遺伝によってもたらされるものなのでしょうか。
答えは概ねNOです。
染色体異常の多くは遺伝しません。

染色体異常は、遺伝情報を次世代へ伝える役割をする細胞(「生殖細胞」といいます)が分裂し卵子や精子ができる際の、偶発的な変異が原因です。

したがって、上のお子様がダウン症候群であったとしても、一般的には次子に遺伝するリスクは低く、あまり心配する必要はありません。

ですが、厳密には医学的に例外的なケースもあります。(※1)

また、既にご妊娠されている場合にはNIPT等で調べる方法がありますが、今後ごきょうだいの妊娠を考えている方にとっては、妊娠前にある程度のリスクを把握されておきたいことでしょう。

次子への再発リスクには、染色体の「パターン(核型)というものが深く関係し、上のお子様やご両親の核型を検査することで、ある程度再発リスクを知ることが可能です。(※2)

これら(※1、2)に関しましては、やや専門的で複雑な内容になりますので割愛し、別ページ続編にて詳しくご案内いたします。

ご相談をふりかえり

上のお子様が何らかの疾患を抱えておられると、お腹の子にも疾患があったら育てていけるのだろうか、とご心配になることでしょう。

〜現在すでにご妊娠されている場合〜
胎児の「ダウン症候群」をはじめ、染色体異常を調べる方法のひとつにNIPT(新型出生前検査)があります。

NIPTを受検される方のなかには、「NIPTができなければもう子どもは持てなかった」とおっしゃる方もいます。
それほど、疾患を抱えたお子様をもつ親御様にとって、次子の情報は大事なものなのだと感じます。

上のお子様が染色体異常による疾患を抱えておられても、一般的には次子にそれほど深刻なリスクがあるわけではないとご説明いたしました。
しかしごく稀に例外もありますので、NIPT等の出生前検査を受けることに意義があると思われます。

〜今後ごきょうだいを考えられる場合〜
次子への再発リスクを知る方法として、上のお子様やご両親の染色体をお調べし、核型(パターン)をご確認いただくという方法があります。
もし「転座型」(核型のひとつ)でした場合は、次子への再発リスクがある程度認められます。
よって、遺伝カウンセリングを通してリスクを把握されることが安心材料のひとつとなることでしょう。→詳しい解説はこちら『上の子がダウン症だと、次子にも再発リスクあり?② ~妊娠前の場合~

知らない、わからない、という状態はときに不安なものです。

親御様や上のお子様にも関わる大切なことでしたらなおさらです。

基本的には遺伝の心配はあまり要らないことをご理解されたり、または具体的な再発リスクを把握されたりすることで、ご安心いただけましたら幸いです。

参考:「出生前診断の現場から 専門医が考える『命の選択』」室月淳著 集英社発行


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上の子がダウン症候群。次子にも影響する?〜胎児の再発リスク〜

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(ヒライシ タカヒサ)


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