ターナー症候群、陽性。今後の方針を立てたいです。

コラム

妊婦様からのご相談

現在妊娠18週目です。妊娠17週目でNIPTを受け、ターナー症候群の項目で陽性となりました。
産むことは決めていますが、羊水検査を受けたほうが良いのか、また今から流産してしまう可能性もあるのか等、いろいろと聞きたいです。

ご相談をお受けして

ターナー症候群の陽性的中率と確定診断の必要性

NIPTにおけるターナー症候群の陽性的中率は約9〜45%とされています。
つまりご相談者様の胎児がターナー症候群である可能性は、多く見積もってもおおよそ半分ということになります。
真偽を確かめるには、「羊水検査」による確定診断が必要です。

では、確定診断を受けるべきかどうかについてですが、結論としては「必ずしも今すぐ必要ではないが、受けることにはメリットがある」と言えます。
医師によって方針が異なるため、以下の点を参考にご判断ください。

今すぐ確定診断を受ける必要はないと考えられる理由

・ターナー症候群の症状があらわれるのは主に第二次性徴期(8〜12歳ごろ)であり、その時点で検査・治療をおこなっても十分対応できる。

・染色体情報は出生後も変わらないため、出生前に確定診断を受ける必要は低い。

今、確定診断をおこなうことのメリット

・羊水検査をおこなうことで、早期(幼少期)から適切な治療を検討できる。(例:低身長を改善するための成長ホルモン療法を2〜3歳で開始する。)※詳細後述

・ターナー症候群ではないことが判明すれば、不要な不安を抱えずに済む。

・羊水検査の費用を弊社が全額負担する。(但し、弊社にてNIPTを利用し陽性だった場合に限る)

最終的な判断について

羊水検査を受けるかどうか、また受けるタイミングは、自由な意思でご決定いただけます。
ご自身やご家族の価値観、安心感、治療への準備などを踏まえて決断されるとよいでしょう。

予測される症状と治療法

ターナー症候群の症状には、低身長卵巣機能不全(二次性徴の欠如や不妊)が挙げられます。
これらの治療として、それぞれ以下のホルモン療法が用いられます。

成長ホルモン療法

・目的:低身長の改善

・方法:成長ホルモンの注射

・期間:2〜3歳で開始し、骨年齢14〜15歳まで継続

・費用:月額10〜15万円(助成金適用可)※詳細は後述

・効果:+5〜10cmが見込める。最終身長は140-150cm前後と推定される。

(ターナー症候群の方の平均身長は145㎝前後で、治療により150㎝程度になるケースが多いとされる。)

エストロゲン補充療法

・目的:二次性徴の誘発、骨密度の維持など

・方法:エストロゲン製剤の経口投与、カウフマン療法(月経誘導)

・期間:11〜12歳で開始し、閉経まで継続

・費用:月額5千円〜1万円(助成金適用可)

つまり、二次性徴の治療は11〜12歳ごろに始めるのが一般的ですが、低身長の治療は2〜3歳という早期の開始が最も効果的であると考えられます。

また、前述のとおり弊社が羊水検査の費用を負担する点を踏まえると、今このタイミングで羊水検査を受けることに十分なメリットがあると言えるでしょう。

さらに、ターナー症候群は「小児慢性特定疾病(しょうにまんせいとくていしっぺい)医療費助成」の対象となるため、自己負担額は実質月額0〜1万5千円程度です。

詳しくは「小児慢性特定疾病」をご覧ください。

今後の流産リスクについて

ターナー症候群の99%は妊娠初期(妊娠9〜12週目)に自然流産となることが知られています。それはターナー症候群に限ったことではなく、「染色体に変異があると妊娠初期に流産となるリスクが高い」ことを意味します。

しかし、ご相談者様は現在妊娠18週であり、この時期になると流産のリスクは大幅に低下します。現時点で妊娠が順調であれば、過度に心配なさる必要はありません。

出産・育児において気をつけること

分娩において

ターナー症候群が確定しても、大きな病院に転院する必要はなく、通常の分娩施設での出産が可能です。
妊婦健診を継続し、特に問題がなければ通常の分娩方法で出産できます。

ただし、ターナー症候群に関係なく、妊娠高血圧症候群などのリスクは一般の妊婦様と同様にあります。定期的な妊婦健診を受け、血圧管理や体重管理に注意することが大切です。

育児において

出生後、すぐに追加の特別な検査をおこなう必要はありません。
ターナー症候群の治療は、必ず幼少期から始めるものというわけではなく、成長の過程で「身長が低めである」「思春期になっても生理がこない」などの症状が見られた場合に、医師と相談しながら治療を検討します。
まずはかかりつけの小児科を受診し、必要に応じて婦人科を紹介してもらう流れになります。

その際、「NIPTでターナー症候群の項目において陽性だった」ことを医師に伝えると、適切な検査や診察に繋がりやすくなることでしょう
治療の詳細については、「2 予測される症状と治療法」でご案内した通りです。

ご両親ができること

ターナー症候群の方は、骨粗鬆症のリスクが高いため、幼少期からの骨密度管理が重要になります。
ご両親ができるサポートとして、以下の点を心がけるとよいでしょう。

カルシウムやビタミンDを十分に摂取(乳製品、小魚、きのこ類など)

適度な運動を取り入れる(骨への刺激が骨密度を高めるため、ジャンプやかけっこなどの運動が有効)

こうした日々の習慣が、将来的な健康リスクの軽減につながります。

将来的に子どもをもてるのか

ターナー症候群の症状のひとつに卵巣機能不全(二次性徴の欠如や不妊)があることを前述しました。
しかし、ターナー症候群の方が必ずしも妊娠できないわけではありません。また、個人差が大きいため、一概に可能性を断定することもできません。

妊娠・出産の可能性には、以下のような選択肢があります。

自然妊娠が可能なケース

体外受精による妊娠・出産

卵子提供を受けた妊娠・出産

現在も生殖医療は進歩しており、お子さんが将来妊娠を考える頃には、さらに選択肢が広がっているはずです。
焦ることなく、お子さんの成長を楽しみながら過ごしていただければと思います。

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ターナー症候群、陽性。今後の方針を立てたいです。

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