妊娠中や産後の悩みとして意外と多いのが、抜け毛にまつわる悩みです。中にはお風呂に入って髪を洗うのが嫌になるほど、まとまった抜け毛を経験した方もいるのではないでしょうか。産前産後の抜け毛は致し方ないという一方で、対処次第では和らげることができるものでもあります。ここでは産前産後の抜け毛の原因と、その対処法についてお伝えします。
妊娠中は抜け毛になる人も多い
妊娠中の抜け毛というと、ブラッシングをしたときにいつもより多く毛がブラシにつく程度の場合もあれば、お風呂の排水溝が髪の毛でいっぱいになるほど抜ける場合、まつげや眉毛まで抜けてしまう場合まであります。程度の違いはあっても、髪が抜けるということは決して気持ちの良いものではありませんよね。特に女性の場合、髪が薄くなったかもしれないと感じると自信までなくなってしまうものです。また、妊娠中に抜け毛トラブルがあることを、自分が抜け毛で悩むまで知らなかったという場合も多くあります。そのため、妊娠による体の変化と抜け毛のショックで悩み過ぎてしまう方もいるほどです。
妊娠中の抜け毛で悩む人がいる一方で、逆に髪が抜けなくて不思議に思っている方もいます。髪が抜けないために毛量が増えたようになりますが、初めての妊娠の場合は抜け毛が減っていることには気が付かず、髪を結ぶ束が太くなったと感じるに留まることもあるようです。髪が増えるのは抜け毛で悩む方にはなんとも羨ましいことに思うかもしれませんが、妊娠中に抜け毛が減っている場合、実は産後一気に抜ける可能性もあります。
ほかにも、一人目の妊娠出産のときには抜け毛トラブルはなかったのに、二人目の妊娠では抜け毛が気になるという方もいます。また、抜け毛の有無はおなかのあかちゃんの性別にも関係がないようです。では、どのような要因で妊娠中の抜け毛が起こるのでしょうか。
妊娠中に抜け毛になる原因
抜け毛が起こる原因は、大きく分けて3つあります。
一つ目の原因は、ホルモンバランスの影響です。妊娠すると3種類のホルモンが活発になりますが、そのうちのひとつであるプロゲステロンというホルモンが抜け毛に大きく関与しています。プロゲステロンとは黄体ホルモンとよばれるもので、妊娠の継続に必要不可欠な働きをするホルモンです。高温期を維持して子宮にあかちゃんが定着するのを助け、あかちゃんの成長のために栄養や水分を蓄える作用があります。妊娠中は活発な分泌が続きますが、産後は一旦低下します。
プロゲステロンの栄養を蓄える効果は、髪の毛にも作用します。成長が促されて抜けにくくなるのです。髪の毛は発毛、成長、脱毛を一定のリズムで繰り返していますが、プロゲステロンの働きによって成長期間が長くなり、全体の育毛サイクルが大きく乱れます。育毛サイクルの乱れの影響を受けた髪が抜け落ちてしまうというわけです。妊娠中に抜け毛が減っていた場合は、産後のプロゲステロンの分泌が通常に戻る過程でまとめて抜けるため、産前産後はどうしても抜け毛が増える時期であると言えます。
また、ホルモンの影響で普段よりも長く頭皮に留まって成長した髪は、通常よりもしっかりしています。この毛が抜けると普段よりも抜け毛が目立つように感じるというのも、妊娠中に抜け毛が気になる一つの要因かもしれません。
二つ目の原因は、栄養不足です。妊娠中、体内に取り込まれた栄養のベクトルはとにかくあかちゃんの成長が第一で、母体は二の次となっています。妊娠中は普段よりも多めのエネルギーや栄養が必要となりますが、欲しい栄養が不足すると母体の取り分から捻出して補います。よく、出産すると骨がもろくなると言われますが、これは母体のカルシウムをおなかのあかちゃんに使用するためです。同じようなことが髪にも起こっていて、栄養が不足すると髪のパサつき起こりやすくなり、通常よりも早く抜けたり、まだ産毛の状態で抜けたりするようになります。
三つ目の原因はストレスです。ストレスでの抜け毛は妊娠に関係なく起こる現象ですが、特に妊娠中はストレスを感じやすいため注意が必要です。ストレスは自律神経を乱し、血流を悪くさせます。血流が悪化すると毛根に必要な酸素や栄養が不足するため、抜け毛を引き起こすのです。妊娠中はホルモンバランスの乱れが情緒を不安定にさせる上、つわりや頭痛、体のだるさなどと付き合いながらおなかのあかちゃん優先の生活を何か月も続けなくてはなりません。おなかにあかちゃんを育む幸せな期間ですが、ストレスフルな時期でもあるのです。そのため、ストレスによる抜け毛が起こりやすくなっています。
妊娠中の抜け毛を防ぐ方法
妊娠に伴うホルモンの変化を止めることは難しいとされていますが、抜け毛を助長する栄養やストレスに関しては対処法があります。妊娠中の抜け毛を防ぐ方法として、まず行いたいのが栄養を十分に取ることです。
妊娠中はタンパク質などを通常よりも多く摂取することが推奨されています。髪の栄養にもタンパク質が有効ですので、良質なタンパク質を積極的に選んで食べるようにしましょう。また、髪を健康に保つミネラルや、女性らしさを保つホルモンであるエストロゲンに似た大豆イソフラボンを多く摂取することもおすすめです。ミネラルは特に亜鉛やカルシウム、マグネシウムといった体を作るために働く成分が不足しないように気を付けましょう。亜鉛は牡蛎や肉類、卵、昆布などの海藻類に多く含まれます。カルシウムは乳製品小魚、大豆製品、海藻類に含まれ、マグネシウムはカルシウムと同様に大豆製品、海藻類のほかに魚に多く含まれる成分です。
つわりで思うように食事がとれない場合や毎日の調理が大変な場合などは、サプリメントで栄養を補うのも合理的です。カルシウムに関しては牛乳や乳製品から効率よく摂取できることが分かっているため、生活に上手に取り入れるのもよいでしょう。食事に納豆などの大豆製品を加え、チーズやヨーグルトをおやつにするなど、取り入れやすい方法で食事を少し変えてみるのがおすすめです。
ストレスについては、あまりため込まず適度に発散することが必要です。ストレスは自然にはなかなか消えません。また、抜け毛を気にし始めると、それがさらにストレスとなって悪循環を招いてしまうことも考えられます。ただ、たとえ問題が直接解決しなくても、気分転換をするだけでかなり変わります。簡単なストレス解消法としておすすめなのは、妊娠中でも行えるヨガやストレッチ、ウォーキングなどで軽く体を動かす習慣をつけることです。軽い運動はストレス解消になることはもちろん、快眠や便秘解消、血流アップなど妊娠中のマイナートラブルの解消も期待できるため、妊娠中はうってつけの方法です。また、友人や家族とおしゃべりをしたり、たまにはご褒美のおやつを食べたり、好きな音楽を聴いてリラックスしたりと、日ごろからストレスケアに気を付けることが必要です。
対策をしても抜け毛が気になるようなら気分転換に髪型を変えるのも手!
対策しても抜け毛が気になるのであれば、髪型を変えて心機一転するのもおすすめです。ここで、産後におすすめの髪型をご紹介します。どんな髪型が産後に選ばれるのか見ていきましょう。
肩より上の結べる長さのボブ
産後はとにかく自分の時間がなくなってしまうので、いつでも結べてアレンジしやすいボブが人気です。長すぎると髪を洗う時間と乾かす時間がかかってしまい、赤ちゃんを育てながらだと少々手間がかかってしまうとの声もあります。美容院でのメンテナンスも少なくて済むので、産後の最適な髪型だと人気です。
ショートカット
髪を洗うのも乾かすのも早くなるショートカットも人気があります。授乳中に髪の毛が顔にかからない、子供に髪を引っ張られないといったメリットもあるので、産後にはおすすめの髪型です。時間短縮になって楽になりますが、寝癖がついたときや美容院でのメンテナンスの回数が増えてしまうデメリットも抱えています。
産後でもおしゃれをしたい人はロングを選択
ボブやショートに比べると人気はありませんが、ロングヘアをプッシュする声もあります。美容院に行けなくても気にならない、髪をまとめられるなど、ロングヘアならではのよいところもありますよね。おしゃれをしたい人や、美容院に行く時間が確保できない人におすすめです。しかし、子どもに髪を引っ張られる、髪を洗う時間・乾かす時間がかかるのは避けられません。デメリットとうまく付き合っていければ、ロングヘアも選択肢に入るでしょう。
まとめ
妊娠中にはさまざまなトラブルが起こりますが、そのなかでも抜け毛は女性にとって特にショックが大きいものです。基本的には妊娠中のホルモンバランスによって起こるものなので、工夫をしても完全に防ぐことは難しいかもしれません。しかし、栄養やストレスケアを行うことによって軽減はできます。女性としての自信を失わないためにも、また、産後きれいな髪のママに早く戻れるように、今から対策しておきましょう。