母体の年齢が高いと新型出生前診断(NIPT)のリスクは高まる?

コラム

晩婚化に伴って女性の高齢出産も増えています。高齢出産が増えるにつれ懸念されるのが障害を持った赤ちゃんが生まれる確率も上がることです。生まれる前にダウン症などを診断することができ、幅広い世代の人が利用していますが母体の年齢が高いからといってNIPTを受ける際のリスクが高まるということはありません。診断自体にいくつかリスクがありますが、年齢に関係なく幅広い世代に当てはまるでしょう。

高齢出産になるといろいろなリスクがあります

高齢出産のリスクはいくつかあり、早産や流産・難産になりやすい傾向があります。ダウン症といった障害を持つ赤ちゃんが生まれるリスクが高くなり、例えば25歳で出産した場合ダウン症の赤ちゃんの確率は1,250分の1です。30歳になると確率は952分の1になり、35歳の場合は385分の1とリスクが高くなる傾向があります。40歳の場合は106分の1になり、45歳の場合は30分の1というデータがあります。25歳での出産であっても染色体異常があるとダウン症の子が生まれることもあり、45歳での出産であっても染色体異常がないと発症しませんが、妊婦の年齢が高くなれば高くなるほど、ダウン症などの子が生まれてくるリスクは高くなる傾向があるのは事実です。そこで事前にダウン症などの染色体異常を持っていないかを調べるのがNIPT診断になります。最初に行う検査は採血になるので、母体にも胎児にも特に影響はありません。少しチクッとするぐらいで通常の血液検査のように受診することが可能です。高齢だからといって検査を受けるのにリスクが高くなるという心配はなく、幅広い世代の人が受診しています。

ダウン症などを確認することができます

過去にダウン症などの子供を出産している場合、2人目も障害を持つ子が生まれて来るのだろうかと不安に感じている人もいるでしょう。2人目も障害を持つ子供だった場合、育てる自信がないと思っている人も少なくありません。少しでも安心して赤ちゃんを出産できるよう、NIPTを受ける人が増えています。3つの染色体異常に関して事前に確認することができる出生前診断で、23組46本ある染色体の内13と18・21番の3組6本を調べることが可能です。お腹の中の赤ちゃんはダウン症ではないと診断されれば、安心して出産日を迎えることができるでしょう。妊娠が判明してから出産するまで30週程の期間に関して、心配したり不安に思いながら辛い気持ちで過ごすのと、安心して過ごすのでは差があります。ただ、出生前診断で把握できるのは3つの疾患のみになるので、検査で異常がないとしても健康面すべてを保証するものではないということを心に留めておきましょう。

エコーなどいろいろな検査方法があります

現在行われている出生前診断の種類にはエコーや羊水、絨毛や臍帯血及び母体血清マーカーなどがあります。エコー(超音波)検査は妊婦の全員が検診の度に受診することができる検査です。検査によって胎児の体や内臓器官の形などが見えるので、形態や発育に異常がないかチェックすることができます。この「異常」という言葉は、疾患や障害などがあることを意味するわけではありません。医師に何かしら異常があるから検査を受けなさいと言われることもあったり、専門医を紹介されることもありますが、必ずしも赤ちゃんに疾患や障害などがあるわけではないでしょう。羊水検査は出生前診断の代表で妊娠15~18週頃に羊水を採取し、その中に混じっている胎児細胞などを集めて培養していきこれらを使って染色体の数や形態を調べることが可能です。一般的に35歳以上の高齢妊娠の場合、若い時と比較すると卵子に染色体数異常が生じやすいと言われています。何かしらの異常を心配する高齢の妊婦がこの染色体検査を希望するケースが多くなっていて、受診する人の数は年々増えています。検査を受けるのに年齢は関係なく、医師の指示の元で安心して検査を受けることが可能です。

受診するための検査費用を準備しておきましょう

超音波(エコー検査)でお腹の赤ちゃんを見ることができますが、10週目になると目や鼻・口などもエコーでチェックすることが可能です。その際三ツ口や鼻の穴、ダウン症児特有の顔貌などを確認することができます。心臓の動きを把握することができ、先天性心疾患などの有無を検査することが可能です。出生前診断は産まれてくる前に障害や病気などがないか診断することを意味しますが、広い意味において超音波で胎児の状態をチェックすることも出生前診断だと言えるでしょう。エコーは母体に負担がなく手軽に受けることができる出生前診断です。超音波検査によって心臓に異常があると分かった場合、NIPTを利用することをすすめられることがあります。費用は採血によるNIPTが20万円ぐらいで、検査で陽性だった場合羊水検査を受ける流れです。この費用は8万~15万円ほどかかりますが、一部のNIPT検査機関には陽性だった場合羊水検査の費用を負担してくれるクリニックもあります。検査後のアフターフォローまで行き届いているクリニックを利用すると安心です。

イギリスでは診断を受けるルールになっています

イギリスの場合、2004年から妊婦が出生前診断を受けるルールになっていますが、今の日本の場合は任意になります。NIPT診断は2013年頃から臨床研究の一つとして行われていて、2018年から一般診療とすることが正式に決定しました。保険診療ではなく自由診療扱いになるので、高額な費用を準備しなければいけません。検査で分かるのは3つの染色体異常になるので、事前に認識しておくことが大切です。出生前診断で異常がないといっても、健康的な赤ちゃんが生まれるという保証にはなりません。ダウン症などの3つの病気は大丈夫だったとしても、他にもいろいろな病気があるので納得してから受診することをおすすめします。妊娠したいと思ったなら、一度遺伝カウンセラーに相談するという方法もあるでしょう。妊活している人なら妊娠する前からNIPT診断をどうするか考慮しておくと良く、妊娠中に考え方などが変わるケースもありますが、考えが変わるとその都度パートナーと話し合うきっかけになります。中絶することができるタイムリミットを過ぎたので産まれたということではなく、十分納得してパートナーと結論を出したいものです。

胎児の細胞からいろいろな調査を行うことができます

母体血清マーカー検査において異常が出たからと言っても、異常がないケースもあります。胎児に障害があるか確認するため、羊水検査を受けると良いでしょう。母体血清マーカー検査の場合、胎児を正常値群と異常値群に区分する検査になるので受診しない人も中にはいます。現在行われているNIPT診断で分かる病気や障害などはそう多くないこともあり、検査も100%確実というとそうではないケースもあるでしょう。人はたくさんの有害物質などに囲まれながら生活しており、否応なく汚染を受けることになるので胎児に何かしらの影響がないか不安になる人も多いです。不安は出生前診断を受けたとしてもすべて解消されるわけではなく、健康的な赤ちゃんが必ずしも生まれるという保証にはなりません。しかし絨毛や羊水、へその緒などから採取した胎児細胞を利用し、染色体の数や形、いろいろな遺伝子の違いなども調査することが可能です。少しの血液で何十何百という遺伝子を調査することができ、ダウン症などは事前に確認することができます。一方ではすべての人が障害や疾患などを起こすだろう遺伝子を持っていることも分かっていて、現在も研究が進んでいます。

母体の年齢が高いからと言って、NIPTを受ける際のリスクが高まるということはありません。高齢出産になるといろいろなリスクがあり、ダウン症などを確認することができるので幅広い世代の人が受診しています。エコーや採血などで胎児の状態を把握することができ、自由診療になり高額な費用が必要になるので検査費用を準備しておきましょう。