クラインフェルター症候群をどう判断すべきか?

コラム

妊婦様からのご相談

NIPT(新型出生前検査)を受けた結果、「クラインフェルター症候群」の疑いがあることがわかりました。想像がつかず、妊娠の継続についても悩んでいます。

ご相談をお受けして

クラインフェルター症候群とは

性染色体は、赤ちゃんの性別を決定する役割をもっています。
X染色体がペアになると女の子(XX)、XとYの染色体がペアになると男の子(XY)です。

「クラインフェルター症候群(47,XXY)」とは、Y染色体が1本とX染色体が2本以上ある男の子に生じる疾患の総称です。

▶️女の子の性染色異常「ターナー症候群」に関してはコチラ

出生する男の子の500〜1,000人に1人がクラインフェルター症候群だといわれています。

根治的な治療法はありませんが、対処療法はあります。
症状とうまく付き合いながら生活されている方が多いようです。

クラインフェルター症候群の方の特徴と暮らし

クラインフェルター症候群の方の知的発達は、正常かやや低めです。
学校では普通学級に通うことができ、進学や就職においても問題ないとされています。

身長は180〜190センチと高く、華奢な体型になる傾向があります。
胸にやや膨らみがあり、外見的に気になる場合には保険適用にて治療することも可能です。

外見的にも健康上においても大きな問題はありませんが、骨折や骨粗鬆症、乳がんになりやすい特徴があります。
そのためリスク管理が大切です。

例えば、「テストステロン」という男性ホルモンを補充する療法があります。
2〜4週間に1度の筋肉注射です。
骨密度や筋肉量を増加させるだけでなく、糖尿病の予防にも役立ちます。

また、クラインフェルター症候群の方は精子が無いあるいは少なく、不妊になる頻度が99%といわれています。(射精には問題ありません。)
このため、子どもをもつことを考えた際には不妊治療が必要となるケースがほとんどです。(前述の「男性ホルモン補充療法」は、不妊症に対する効果は期待できません。)

・精子が少ない場合には「顕微授精(ICSI)
・精子が無い場合には、精巣の中から精子を探す「TESE(精巣内精子回収法)
という生殖補助医療があります。

寿命は一般的な男性と同じです。

クラインフェルター陽性だった皆さんはどうしているの? 〜ひとつの判断基準〜

「クラインフェルター症候群」や「ターナー症候群」等、性染色体異常を理由に妊娠中断されるケースは、ほとんど耳にしません

なぜでしょうか。
理由のひとつが、「性染色体異常による疾患はあくまで個性の範疇」として捉えられているためでしょう。

その証に、大学病院等の認定施設ではNIPTにおいて性染色体検査をおこないません

性別判明による産み分けを避けるためでもありますが、性染色体異常による疾患を(他と比べて)重くは捉えていないということでもあります。

大人になるまでご本人も周囲も気が付かないケースもあります。

妊娠を継続するかどうか──答えは人それぞれですが、「自立して生活できるかどうか」がひとつの判断基準になるのではないでしょうか。

このタイミングで知ることができたから

また、NIPTという出生前のタイミングでクラインフェルター症候群の可能性を知ることができたことは、プラスの意味合いが強いのではと思います。

お子様が成長する過程で骨粗鬆症や糖尿病等を発病したり、不妊に悩まされたりすることを想像すると、親として胸が傷むものです。
原因を突き止めるため、一から様々な検査をする必要もあるでしょう。

今このタイミングで知ることができたということは、予防や対処療法をじっくり検討できるということです。

NIPTの結果をご覧になり絶望されたかもしれませんが、悲観的になられる必要はありません。

ご相談をふりかえり

受検者様の多くから、陽性となった際に最も悩むのが性染色体異常だとお聞きします。

ですがNIPTの陽性判定はあくまで可能性に過ぎません。
確定診断を得るには「羊水検査」や「絨毛検査」が必要です。
妊娠中断をお考えの方には、できる限り後悔を残さないため確定診断をお勧めします。

また、妊娠継続をお考えの方は妊婦検診にて経過観察をおこなっていくことが大切です。
(出産をご希望であれば無理に確定診断を受ける必要はありません。お子様の出生後、必要になった際に必要とされる検査をおこないます。)

クラインフェルター症候群ということは、生活していく上で懸念事項だと思います。
しかし、それが原因で生活に支障をきたしたり、将来誰かの手を借りなければ生きていけない、ということはありません

お薬を飲んだり通院されたりしながら、上手に疾患とお付き合いしていくイメージでよいと思います。

ご不安なことがありましたら、認定遺伝カウンセラーとの無料電話相談をご活用ください。


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(ヒライシ タカヒサ)


専門は内科、消化器科、スポーツ医学。
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