妊婦様からのご相談
NIPT(新型出生前検査)を受けた結果、「ターナー症候群」の疑いがあることがわかりました。想像がつかず、妊娠の継続についても悩んでいます。
ご相談をお受けして
ターナー症候群とは
性染色体は、赤ちゃんの性別を決定する役割をもっています。
X染色体がペアになると女の子(XX)、XとYの染色体がペアになると男の子(XY)です。
「ターナー症候群(Xモノソミー、XO症候群)」とは、本来ペアであるX染色体が1本欠けている女の子に生じる疾患の総称です。
▶︎男の子の性染色異常「クラインフェルター症候群」に関してはコチラ
根治的な治療法はありませんが、対処療法はあります。
症状とうまく付き合いながら生活されている方が多いようです。
ターナー症候群の方の特徴と暮らし
ターナー症候群の女性は、一般的に身長が140センチ程と低めです。
9、10歳頃からホルモン注射を打ち始めますが、苦痛を伴うものではありません。
月経の有無や将来的に妊娠できるかどうかは個人差があります。
婦人科に通いホルモン治療をしていくこともできますので、悲観的に考えなくてもよいでしょう。
難聴を伴ったり空間認識が苦手だったりするケースもありますが、こちらも個人差があります。
学校では普通学級に通われている方が大半です。
ターナー症候群陽性だった皆さんはどうしているの? 〜ひとつの判断基準〜
「ターナー症候群」や「クラインフェルター症候群」等、性染色体異常を理由に妊娠中断されるケースは、ほとんど耳にしません。
なぜでしょうか。
理由のひとつが、「性染色体異常による疾患はあくまで個性の範疇」として捉えられているためでしょう。
その証に、大学病院等の認定施設ではNIPTにおいて性染色体検査をおこないません。
性別判明による産み分けを避けるためでもありますが、性染色体異常による疾患を(他と比べて)重くは捉えていないということでもあります。
大人になるまでご本人も周囲も気が付かないケースもあります。
妊娠を継続するかどうか──答えは人それぞれですが、「自立して生活できるかどうか」がひとつの判断基準になるのではないでしょうか。
ご相談をふりかえり
受検者様の多くから、陽性となった際に最も悩むのが性染色異常だとお聞きします。
知らないことは誰にとっても怖いものですから、悩まれるのは当然です。
しかし、正しい知識によって安心できることも案外多いものです。
「産むことは決意したけれど、この子が将来、不妊で悩むことになるのでは?」というご相談もお受けします。
前述の通り、個人差があるためはっきりとした答えは分かりません。
しかし、それはターナー症候群でなくとも同じです。
不妊の原因は、子宮の機能やホルモンバランス等数えきれないほどあり、原因不明で途方に暮れる方も多くいらっしゃいます。
むしろ不妊の原因がターナー症候群だとはっきりわかっているほうが、対処の仕方があるのではないでしょうか。
ターナー症候群ということは生活していく上で懸念事項だと思います。
ですが、それが原因で生活に支障をきたしたり、将来誰かの手を借りなければ生きていけない、ということはありません。
お薬を飲んだり婦人科に通院されたりしながら、上手に疾患とお付き合いしていくイメージでよいのかもしれません。
ご不安なことがありましたら、認定遺伝カウンセラーとの無料電話相談をご活用くださいね。
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