年齢による染色体異常のリスクはある?

妊婦様のご状況

NIPT(新型出生前検査)の受検を目前に控えているが、高齢妊娠のため年齢リスクを心配している。

ご相談内容

年齢による染色体異常のリスクはあるのでしょうか。

ご相談をお受けして

NIPT(新型出生前検査)の受検を希望される方の動機として最も多いのは、35歳以上の高齢妊娠(高年妊娠)です。
現代は女性の社会進出が進み結婚年齢も上がっているためか、高齢での妊娠や分娩はもはや珍しいことではありません。全国では4人に1人、都市部では3人に1人が高齢妊娠に該当します。

1.母体年齢が及ぼす影響はある?

高齢化による染色体異常のリスクが、それ以下の年齢に比べて高いことは事実です。
年齢の影響は精子より卵子のほうが大きいのですが、これは、発生の過程が卵子と精子で大きく異なることが理由です。

2.高齢妊娠だとなぜリスクが高まるの?

よく「精巣は精子の製造工場だが、卵巣は卵子の貯蔵庫」といわれます。
男性の精子は新しくつくられ続けますが、女性はまだ母親のお腹にいるときに、生涯排卵する全ての卵子がつくられます。その後新たに補充されることはありません。

女性が母親のお腹の中で5ヶ月目を迎えるころ、原始卵胞(卵子のもと)の数は最も多く、1,400万個も存在します。ところが生まれてくる頃には100万個、排卵を起こす第二次性徴期の頃には約40万個にまで減っています。

原始卵胞は、第二次性徴期以後に排卵されるそのときまで、卵巣にストックされています。
つまり、12歳になった女性が排卵する卵子の年齢は12年プラス胎内での1年程度です。
そしてそこから20年、30年経ち女性が受精のために排卵する卵子は、同じように20年、30年の年を重ねているということです。

長い間体内にストックされていた卵子は、染色体の分裂がうまくいかず、機能エラーを起こしやすくなります。エラーの起こった卵子が受精卵になったとしても、育たなかったり、育っても着床しなかったり、また着床しても染色体の数的異常により流産してしまったり、という事が多くなるのです。

なお、35歳超の妊婦様の場合、妊娠およそ5ヶ月目に約50人に1人の割合で染色体異常があるといわれています。
生まれてきた赤ちゃん全体でみると、約160人に1人の割合です。
そのうちの約6割が21トリソミー(ダウン症候群)、18トリソミー(エドワーズ症候群)、13トリソミー(パトー症候群)のいずれかに該当します。

3.父親の年齢が及ぼす影響はある?

続いて、父親の年齢についてもご説明します。
これまでは父親の年齢は影響しないと考えられてきましたが、現在はそうではありません。
父親の年齢が40歳を超えると、染色体異常ではなく遺伝子の異常が増えることがわかってきました。
精子は卵子とは異なり70〜80日周期で新しく作られ続けますが、年齢が上がるにつれてうまくコピーが作れず、遺伝子の異常が起きやすい為だと考えられています。
具体的には、父親の年齢が高いと小人症や自閉症、統合失調症の確率が高くなるといわれています。

つまり、高齢により卵子は染色体の数や形に異常が起こりやすく、精子は染色体の中の遺伝子に問題が起こりやすくなるのです。

4.年齢別リスクの数字、いったいどれが本当?

35歳以上を高齢妊娠とすることが一般的ですが、35歳における21トリソミー(ダウン症候群)の発症頻度というのは、だいたい300人に1人といわれております。

テレビや妊婦様向け雑誌、及びインターネット等でこのような数字のデータをご覧になったことがあるかもしれません。しかし、このような数字の理解には注意が必要です。
実際に、35歳における21トリソミー(ダウン症候群)の頻度をインターネットでお調べすると、様々な数字が出てきます。250分の1と書いているものもあれば、450分の1と書かれているものもあります。倍近くも異なる数字に、どれが本当なのか混乱される妊婦様も少なくありません。
これほどの差が出てくる理由は、妊娠中の21トリソミー(ダウン症候群) の胎児の流産率が高く、妊娠のどの時期か、あるいは出産時かによって、その頻度が大きく変わってくるためです。

35歳(分娩時年齢)における21トリソミー(ダウン症候群)の出生時および胎児期の頻度は

・妊娠10週時点…190分の1

・妊娠16週時点…250分の1

・出産時…340分の1

です。

また、40歳(分娩時年齢)における21トリソミー(ダウン症候群)の出生時および胎児期の頻度は

・妊娠10週時点…50分の1

・妊娠16週時点…70分の1

・出産時…80分の1

です。

(参照 R.J.Gardner, G.R.Sutherland and L.G.Shaffer, ed. Chromosome abnormalities and genetic counseling 4th ed,Oxford University Press, New York,2012 )

ご相談をふりかえり

高年化による染色体異常のリスクは確かに認められます。
女性の卵子は、染色体の数や形に異常が起こりやすくなり、男性の精子は染色体の中の遺伝子に異常が出やすい傾向です。
したがって、高齢妊娠に該当される場合は、特にNIPT(新型出生前検査)の有用性があるのではと考えられます。

またご承知の通り、高年化に伴って妊娠が成立する確率もぐっと低くなります。
尊い生命に対し心構えと最善の準備をして迎え入れたい、との理由からNIPT(新型出生前検査)を受検される妊婦様も少なくないのではないでしょうか。

NIPTの受検を目前に控えておられるとの事で、検査結果をもって改めてご一緒に今後の事を検討していけたらと思っております。


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