PGT-Aを受けていてもNIPTを受ける意義はある?

相談

妊婦様からのご相談

不妊治療の過程でPGT-Aを受けました。
PGT-Aを受けていてもNIPT(新型出生前検査)を受ける意義はありますか?

ご相談をお受けして

PGTもNIPTも染色体検査です。
PGTは妊娠成立前、NIPTは妊娠成立後の検査である点が大きく異なります。
「PGT-A」とは?詳しくはこちらの記事をご覧ください⇒『PGT-AとNIPT、どちらの検査がいいの?

さて、PGT-Aを経た妊婦様にとって、NIPTは有意義な検査といえるのでしょうか。
結論からお伝えしますと、医師によって見解が分かれるためどちらともいえません。

つまり、
▶︎PGT-Aを受けていればNIPTは必要ない
▶︎PGT-Aを受けていてもNIPTは有意義である
どちらも正解だといえます。
それぞれの見解をご紹介します。

PGT-Aを受けていたら「NIPTの必要性は無い」派の見解

胚の段階で正常な染色体本数だと確認された場合、NIPTにて改めて同じことを検査する必要性はない、という考えです。
染色体の本数は生涯を通して変わるものではないため、一度の検査で十分だというのが主な理由とされています。

PGT-Aを受けていても「NIPTは有意義である」派の見解

一方で、同じ異数性(染色体の本数に異常はないかどうか)の検査であっても、改めて検査する(=NIPTを受ける)ことは有効だという考えが2点あります。

1点目:二重チェックのため

PGT-Aの検査精度は80-90%といわれており、間違いが起こる可能性を否定しきれないためです。
したがって、二重チェックの意味合いでNIPTにて「トリソミー検査」を受けることは十分に意義がある、という考えです。

ただし、NIPTも非確定検査です。
PGT-Aを経たNIPTであっても、結果は確定的なものではありません。
確実な結果を知るには、羊水検査や絨毛検査(一般的に「確定検査」と呼ばれている検査です)の受検が必要です。

2点目:見ているものが違うため

PGT-Aは染色体の本数変異を調べる検査です。
染色体の構造変異は見ていません。(妊娠成立前に染色体の構造変異を確認する検査は「PGT-SR」です。)
したがって、妊娠成立前にPGT-Aを受けていても、NIPTの「微小欠失検査」にて染色体の形の変異を検査することは有意義だという考えです。

まとめと補足

・PGT-Aを経てNIPTも受けたほうがよいかどうかは一概に判断できない

・染色体数は一生を通じて変化するものでは無いため一度で十分という見解がある

・PGT-Aの結果が間違いである可能性も無いとはいえないため、NIPTは有効という見解もある

・しかしNIPTの結果が「陽性」であっても偽陽性である可能性は否定できない

・確実な結果は確定検査でしかわからない

・なお、NIPTの陰性的中率は99.9%以上であるため、陰性であれば確定検査の必要はない

・PGTやNIPTの判定結果が異なった場合、確定検査の結果が最終的な結論となる

※平石クリニック(または各提携院)にてNIPTを受検され陽性だった場合には、確定検査費用を全額負担しております。

これらの見解を通し、妊婦様とパートナー様が選択されたことが最善です。
不安を取り除く最短の方法は、疑問点を一つずつクリアにしていくことです。
お気軽に、平石クリニック認定遺伝カウンセラーまでご相談ください。


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PGT-Aを受けていてもNIPTを受ける意義はある?

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(ヒライシ タカヒサ)


専門は内科、消化器科、スポーツ医学。
いつでも頼りになる医療を、さらに日々進化する医療を常に身近に、皆様にとって、なんでも相談出来るようなクリニックを目指しております。

高齢出産が増えている傾向にある日本で、流産のリスクを抑えた検査が出来るNIPTの重要性を高く考え、広く検査が知れ渡りみなさまに利用していただける事を目指しております。


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