新型出生前診断(NIPT)が日本で拡大してきた背景

コラム

新型出生前診断(NIPT)は2013年に日本で認められました。開始直後は実施しているクリニックの少なさから、当時検査予約が取れなかったり混乱が起きたケースがあります。現代の日本は晩婚化や高齢出産の増加に伴い、NIPTを受診する人が増えている傾向があります。最初は採血だけで受診することができるので、気軽に利用することが可能です。

高齢出産などによって受診者数が増えています

NIPTを受けられるクリニックの数は年々増えていて、検査がスタートした1年目の受診者数は約8,000人でしたが、2年目は約1万人になっています。新型出生前診断を受ける人が年々増加していて、開始直後15ヵ所ぐらいだった認定病院の数は、今では日本で約50ヵ所に増加しました。妊娠した女性にとって以前より身近になってきていると言えます。新型出生前診断(NIPT)は医学的用語において無侵襲的出生前遺伝学的検査と呼ばれており、NITPは医学的名称の略です。妊婦の血液を採取してから血漿中に混じっている胎児のDNAについて読み解くことによって、染色体異常を調べることができます。一般的に「クアトロテスト」などと呼ばれている母体血清マーカー検査などもあります。受診するにはいくつか条件があり、35歳以上の人だったり高齢出産になる人が利用することが可能です。非確定検査と確定検査があり、最初は採血するだけなので母体はもちろん胎児にも影響や負担がありません。受診できるクリニックが増えたこともあり、利用する妊婦の人が増えています。

陽性的中率が高いことがあげられます

陽性的中率は従来の検査より精度が高くなっていて、NITPで調べられる項目としてダウン症や18トリソミー・13トリソミーなどの染色体異常を検査することが可能です。クアトロテストの場合、調べることができるのはダウン症や18トリソミー・開放性神経管奇形などになります。クアトロテストというよく似た検査がありますが、NITPは画期的な検査として話題になっています。いろいろなメリットがありますが、中でも陽性的中率があげられるでしょう。陽性的中率は検査において陽性とされた人が実際に病気である確率のことです。疾患や母体の年齢などによってその値は変化し、クアトロテストの場合ダウン症に関する陽性的中率に関して、母体が40歳で妊娠16週目だと約10%です。しかしNITPの陽性的中率は約94%になり大きな差があります。的中率が90%以上とはいえNITPは非確定診断になるので、陽性が出た場合確定検査を受けなければいけません。確定診断の中でポピュラーなのが羊水検査で、羊水検査を受ける妊婦の人は年間2万6,000人と言われています。羊水検査の場合、母体のお腹に針を刺し羊水中にある胎児の細胞を採取したり検査する方法です。羊水検査は以前からある検査方法で、受診者数は増加傾向にあります。羊水検査は母体に針を刺すので流産の可能性が少なからずありますが、NIPTの場合は安全に利用することができることもあり受診する人が増えているのでしょう。

受診した理由は高齢出産がほとんどです

日本にNITPが導入されてから多くの人が受診していますが、その理由として高齢出産という意見がほとんどです。実際母体年齢と染色体異常の関連性が高いと言われていて、母体が20歳の場合ダウン症の発症頻度は1050分の1の値に対して、35歳の場合は245分の1になります。40歳の場合は70分の1とされていて、晩婚化が進む現在自分の子供が先天性異常を持ちながら生まれてくるというリスクを感じている人は多いでしょう。NITPを利用して陽性と診断されたほとんどの人が中絶しています。日本ではクアトロテストの普及以来、リスクのない出生前診断を受診したい女性が増えました。障害がある人の生存権を奪うことに繋がるというリスクがあるので、新しい非確定検査を20年間受け入れてこなかったという歴史がありました。現在NIPTの導入によって命の選別問題が再燃してきたと言えるでしょう。イギリスでは陽性の内、10人に1人が妊娠を継続しているというデータがあります。非確定検査が広まることによって障害があっても産む人が増えるかもしれないという予想もあり、出生前診断で知りたくないことも分かってしまうことを恐れている人も多いです。確定診断が日本より既に普及しているイギリスにおいて、妊娠中にダウン症と判明した人の10人に1人は妊娠を継続しているそうです。出生前診断について理解したり覚悟を持ったり、サポートするクリニックが増えることによって出生前診断=中絶というイメージが変わる時が来るかもしれません。

胎児の病気が血液検査で分かるようになりました

胎児の染色体異常の有無を調べる新型出生前検査について、厚生労働省は検討会を発足させたり検査拡大の是非や妊婦への情報提供などについて議論しています。妊婦の血液を採取してダウン症など3つの病気を見つけることが可能です。日本産科婦人科学会の指針によって、遺伝医療に詳しい認定病院で行われています。対象は原則35歳以上の妊婦で、ダウン症などは高齢出産によってそのリスクが高まる特徴があります。検査を受ける人が増加している背景には晩婚化の影響があり、注意しなければいけないことは胎児の病気が判明した場合妊婦やパートナーが重い決断を迫られることです。障害を受け入れ、出産したり育てている保護者もいます。現在認定病院において胎児の病気が見つかった場合、約9割の人が人工中絶を選んでいます。妊婦が納得することができる判断をするため、病気や検査などに関する正しい理解や丁寧な説明は不可欠です。しかし相談体制などが整っていないような認定外施設において検査する人が増えています。日本小児科学会や日本人類遺伝学会などは不十分な体制において安易に行われてはいけないと反対しています。今後の焦点として適切な検査を行うクリニックの要件をどのように定めたり、医療機関で徹底するかということがポイントです。不安を解消するには、出産した後のサポート体制に関する情報提供や、家族間での心理的な葛藤に親身になって接するような取り組みが大切になるでしょう。いろいろなクリニックがありますが、認定された機関を利用することをおすすめします。

胎児の命の選別が課題になっています

NIPTは母体の血液に含まれている胎児のDNAを調べ、21トリソミー(ダウン症)や18トリソミー・13トリソミーなどの疾患の可能性を判断することができます。染色体異常は母体年齢が高ければ高いほど、可能性が高くなると言われています。少子化や晩婚化によって妊婦の高齢化が進んでいる日本では関心が年々高くなっている傾向です。しかし染色体異常が病気の一種と言えるのかという、倫理的な問題について以前から議論されています。従来の出生前診断の場合、羊水検査といった妊婦の流産リスクや感染の危険性などがありそれほど普及しませんでした。リスクの少ないNIPTの出現から出生前診断が拡大されましたが、それに伴って命の選別が課題にもなっています。現在認可された医療機関において実施することになっていますが、検査できるクリニックの拡大が予想されています。高齢出産などの関係から出生前診断を考えている場合、かかりつけ医と一緒に検査内容について話し合ったり、検査を受けるか決める必要があるでしょう。

医師とカウンセリングすることができます

第一子を産んだ時の平均年齢について、1975年では約26歳でしたが2015年になると約31歳を記録しています。晩婚化や高齢出産が進む中、年齢が高ければ高いほど妊娠しにくくなったり、障害児などが生まれやすいと言われています。どのくらいの確率でどのような障害を持った子供が生まれてくるのかに関して詳細な情報が伝えられない中、高齢出産のリスクだけが独り歩きしているのが現状です。障害を持って生まれる原因は女性だけにあるのではなく、年齢だけにあるわけでもありません。2013年から日本の病院で導入されはじめた新型出生前検査は、従来の出生前検査とは違っていて母親から血液を採取することで対応することが可能です。リスクが少なく赤ちゃんのDNA検査を行うことによって、13トリソミーや18トリソミー、21トリソミーなどの染色体異常を高い精度で把握することができます。高齢出産になる女性たちの間では検査を受けた方がいいのか、受けない方が良いのかという葛藤を強く持っている人もいるでしょう。受けると決めた後、もし陽性判定が出た場合、障害があると分かっていても産むのか、妊娠を中断するべきかなどいろいろな葛藤が待っています。NIPTはリスクの少ない検査で気軽に受診することができますが、陽性判定が出た場合のことを考慮しておく必要があるでしょう。きちんと認定されたクリニックには専門カウンセリング医が常駐しているので、不安があったり悩んでいるなら一度相談してみることをおすすめします。

NIPTは日本の晩婚化や高齢出産の増加によって、受診する人が増えています。採血するだけで把握することができ、年々受診者数は増加傾向にあります。陽性結果が出たときのことを考えたり、事前に家族と話しあっておくことが必要です。認定クリニックには専門カウンセリング医がいるので、悩みや不安・葛藤など気軽に相談することができます。